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異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』  作者: アーエル


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第三章・前編



「これが『最後』」



エルルが聖衣に触れる。




聖衣に込められていた

『聖魔法』が

エルルの体内に吸収されて


全身が黄金色に光り輝く。



しかし

それもすぐに収束して


『聖衣』はただの修道衣となっていた。




「エルル。アルマ。キミたちは一体・・・」


『すべて集め終わりましたね。エルル。アルマ』



オラフの問いを

別の声が遮る。



それと同時に

オレたちは転移をしていた。



「何よ、ここ・・・」


「ここはどこですか?」



ミリアと

探索サーチ魔法を

使ったとおぼしきユルグが


目の前に立つ女性に声をかける。



「・・・『ジェシカ』」



オレの呼びかけに

仲間たちは驚きの声をあげる。



「ちょっとまって!『ジェシカ』って、あの『伝説の賢者』の?!」


ミリアの声に

目の前の『ジェシカ』が微笑む。





「さあ。エルル。アルマ。旅は終わりですよ」


「残念。もう終わりかぁ」


「でも、楽しかったね」


「うん。楽しかった」



『ジェシカ』の言葉に

エルルとアルマは顔を合わせて笑い合う。



「じゃあね。みんな」


「待って!アルマ!」


「行かないで!」




ミリアとセリアが

アルマに駆け寄ったが

間に合わず



アルマは

オレたちに笑顔で手を振ると


光の玉になって後ろへと飛び去り

大きな青水晶へと吸い込まれた。




水晶から強い光が放たれ


その中に

眠っているルーナの姿が現れた。



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -






「え?・・・アルマ?」


「ルーナ!」


「ルーナ?」


「どういうことだ?」




カミュたちの声は

水晶の中にまで

届いてはいないようで


ルーナは

変わらず眠り続けていた。




「ねえ、カミュ。僕達の『正体』に、初めから気付いていたでしょう?」



エルルの言葉に

カミュは「ああ。なんとなく」と頷く。




「やっぱり、ね」



エルルはルーナを見上げる。



「みんな、安心して。大丈夫だよ。アルマは消えていないから」



アルマはね

『ルーナが見ていた夢』なんだ。







あの日


傷ついた

ルーナが強く『願った』のは



『ここではないどこか』へ


『私を知らない』場所へ行きたい。



『私だと気付かない』姿になりたい。





『あの日』に戻って


『馬の追いつけない』道を逃げて


捕まらなければ・・・





小さな村の


『普通の子』

だったら・・・





そうしたら


私は・・・・・・



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -






『ジェシカ』が

水晶に向けて手を掲げると



水晶の中から

ルーナの身体が抜け出してきた。




オレは水晶の下へ行き

手を伸ばして


ゆっくりと降りてくる

ルーナを受け止めた。



「・・・・・・ルーナ」




久しぶりに感じた

ルーナの温もり。







・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・





「ンっもう!」


「焦れったい!」


「「『眠れるお姫様』を目覚めさせるのは『王子様のキス』でしょ!」」





それは『おとぎ話』だ!




・・・ったく、お前たちは。






オレたちのやり取りを

楽しそうに笑う

『ジェシカ』とエルル。




フワリと浮いたエルルは

カミュに抱かれたルーナの頭を

何度も優しく撫でる。




「ねぇ、ルーナ」


ボクも

キミの『夢』の中では

『一人の子供』になれたよ。


ありがとう。


今度はボクが

キミの『夢』を叶えてあげる番だよ。




「エルル・・・」


「あなた一体・・・」




エルルが

みんなの方へ向く。




「ありがとうみんな」



一緒に旅ができて

楽しかったよ。




「エルル。あなたまでいなくならないで」




セリアの訴えに

エルルは首を振る。



「ダメだよ。ボクは『ジェシカ』たちの『願い』だったんだから」



やっと

『ボクの願い』が叶うんだ。





だから



みんな



最後は笑ってね。




- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -






「じゃあね。みんな」




エルルを中心に

強くて優しい光が部屋の中を満たした。




『カミュ。ルーナのこと、任せたよ』



「ああ。大丈夫だ」




オレの

アタマに直接聞こえた声に

返事をすると


エルルが嬉しそうに笑った。




『いいこと教えてあげる。カミュ、キミはね・・・』




エルルの姿がブレていき

光が収束すると


金色に輝く魔石・・・

『聖石』が浮かんでいた。




聖石は

ゆっくりと『ジェシカ』の手の中に収まる。






『魔石が『聖石』になれば、壊れた『魔力の底』が修復されるでしょう』





「長かったわ・・・」







やっと・・・


・・・修復できる




- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -






『ジェシカ』は

手にした聖石を

ルーナの胸にあてる。




聖石から

柔らかい光の粒がこぼれ出して

ルーナの中に入っていく。



すべての聖光が

ルーナの中に吸い込まれると

聖石が色を失くして『魔石』に戻る。



今度は

ルーナの中から

黒い煙があふれ出して

魔石の中に

すべて吸い込まれていく。



黒い煙を吸い込んだ魔石は

光の粒子となって

天へと昇っていった。





「『ジェシカ』・・・これで『終わった』んだな」



「ええ。今までルーナのことありがとう」



『これからもお願いね』



最後の言葉は

カミュの耳に直接届いた。



「ああ。」



カミュの言葉に

『ジェシカ』は涙を浮かべて頷く。



そして

カミュの腕の中で眠るルーナの額に

キスをおとす。



「幸せになってね。ルーナ」


愛してるわ・・・



『ジェシカ』が

涙と共に消え始める。



『ジェシカ』は

ルーナごと

カミュを抱きしめる。



『いつまでも愛してるわ。二人共。カミュ。貴方も『私たちの子』よ。』



「今までありがとな『ジェシカ』」


オレたちを

みんなを見守ってくれて。



ルーナの額と

カミュの頬に

キスを落として


『ジェシカ』はもう一度

二人を強く抱きしめて

消えていった。



それと同時に

周囲の風景が薄れていった。




涼やかな風が吹いて

周りの風景が風に乗って去っていくと



カミュたちは

草原くさはらの中で

朽ちた木の前に立っていた。



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