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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2595年(1935年)

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Now You Lousy Old Nipponese

皇紀2595年(1935年) 1月1日 アメリカ合衆国


 アメリカ合衆国デュポン社によってナイロンが開発された。これは繊維業界で圧倒的シェアを誇り、特に絹製品における独占状態に近いそれを維持している大日本帝国の牙城を崩す画期的製品の発売となった。


 ナイロンとは伝線しないストッキング用繊維(No run)から派生した造語であると言うが、都市伝説の一つに”Now You Lousy Old Nipponese”というものがある。要するに「旧来の日本製品は時代遅れ」だという隠語である。


 この世界では絹製品だけでなく、綿製品においても不作やブロック経済によってアメリカのそれは明らかに日本によってシェアを奪われ壊滅状態となっていた。それだけにその牙城を崩し、尚且つ一定の品質を維持しつつ「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」というキャッチフレーズによってシェアの奪還を果たすべく大々的に売り出したのだ。


 とは言っても、開発に成功した段階での大々的な広告であり、実際には量産体制にはなく、化学メーカーのプラント建造などを経て正式に売り出される様になるまで今暫くの時間は必要だと日本繊維業界は睨んでいた。


 これには大日本帝国と組んで繊維業界を牛耳る大英帝国も衝撃を持って受け止められていた。だが、彼らは表面的には新技術の発明を受け入れる姿勢を示し、興味を持って受け止めた。


 だが、問題はそこからだった。開発を主導したのウォーレス・カロザースが失踪したのである。デュポン社における開発過程で彼はうつ病の病状悪化に苦しんでいたのである。ナイロン開発においてカロザースが最早職場に適応出来ないとデュポン社は考え、新任者が研究を引き継いで彼を解任したことが最終的にカロザースの限界に達することなったのだ。


 失踪したカロザースはデュポン社の研究施設があるデラウェア州ウィルミントンから逃亡するかの様に欧州との結節点であるニューヨークへ向かっていた。彼を手引きしたのはドイツのIGファルベン社だった。


 彼にドイツへの亡命と協力の見返りに多額の金銭と療養所を提供することをIGファルベン社は提示したのである。心身ともに磨り減って限界に達していた彼には間違いなく休養が必要であった。


 まずはイタリアに渡り、アルプス近くの山荘で心身の回復を待ち、その後、研究に協力するという条件で彼はそれを承諾、IGファルベン社がデュポン社との問題に関して責任を負うという形で合意したのだ。


 そして34年の年末休暇とともにカロザースはウィルミントンから姿を消したのであった。

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