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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2593年(1933年)

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米ソ国交樹立

皇紀2593年(1933年) 11月17日 アメリカ合衆国 ソヴィエト連邦


 水面下での接触により接近しつつあったアメリカ合衆国およびソヴィエト連邦がこの日、遂に国交を結ぶこととなった。


 カムチャツカ=オホーツク鉄道など水面下でアメリカ企業団は投資を行い、カムチャツカ半島に橋頭堡を築き、また、フランクリン・デラノ・ルーズベルトが大統領に就任してから非公式の米ソ軍事交流などで信頼関係を構築していたが、これらの結果、外交関係も樹立するに至ったのであった。


 ルーズベルトはこの国交樹立に先立ち船でムルマンスクに向かい、鉄道を乗り継ぎモスクワに降り立っていた。


 ソ連首相であるヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ・モロトフはムルマンスクにおいてルーズベルトを出迎え、抱き合って歓迎の意を示すと特別列車へ誘い歓談を続け、ルーズベルトをもてなした。これにルーズベルトは自尊心を大きく刺激されたのであった。


「モロトフは我が友である。彼は人民の闘士であり、尊敬すべき人物である」


 過剰とも言えるリップサービスでモロトフを賞賛すると連れてきたマスメディアを前に再び抱き合い、それを米ソ融和の象徴として撮影させ紙面トップにさせるように命じたのであった。


 ソ連側もプラウダ紙やイズベスチャ紙に同様の写真を掲載し、米ソがこれからの時代を牽引していき、旧世界を大きくリードしていくと強い調子の紙面構成で米ソの絆を訴えている。


 明らかな政治ショーであった。


 だが、列強間で明らかに浮いてしまっているアメリカにとってソ連は自国の存在感を示し、牽制する意味でも重要であった。特にアメリカを阻害している日英への権勢にはソ連との融和が効果的であったことから尚更ルーズベルトはマスメディアによる国民感情をソ連へ傾倒させることを望んでいたのだ。


「新世界の新しいリーダーは旧世界による不条理な秩序を公正の名において導くと確信する。我がソ連は彼らと手を携えて異形に挑まんとする」


「旧世界から孤立させられつつある我がソ連とその友好国はアメリカという友人がその手を差し伸べてきたことに感謝するとともに末永い付き合いを願う。彼らの気高く誇り高い精神に驚かされるが、それは彼ら自身にとって当たり前のことであろう。その当たり前がこの世界にはまだ当たり前ではないのだ」


 モロトフの返礼はアメリカという国家、国民の心情をくすぐる言葉を並べ立てていた。見え透いた追従でしかないが、世界恐慌によって自信を失っていたアメリカにとってはモロトフのおべっかが何よりも効果的だったのである。


 その証拠に米ソ国交樹立を前後してのルーズベルト政権の支持率は大きく異なっていた。大統領選挙後、浮かれていた米国民も冷静になってルーズベルトの支持率が低下傾向になっていただけに、外交的な成果と自尊心をくすぐられる言葉の列挙は米国民を大きく満足させたのである。


 その後、モスクワにおける正式な国交樹立式典とその前後に行われた外交交渉もソ連側のペースで終始リードされ、ルーズベルトやアメリカ政府が主導権を握ろうとしても上手く躱され、結局ソ連側に利益がある形で妥結することとなった。


 この交渉にアメリカ本国で共和党を中心に危機感と反発が議会内で行われたが、高い支持率を盾にルーズベルトは押し切った。明らかに国益を損ねる内容が含まれていたにも関わらず、ルーズベルト政権はそれをひた隠すことで議会の追及を乗り切ったのであった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] これでソ連が米帝製戦艦を手にする筋道が付いたな。 さて、米帝はノスカロの代わりにどんな戦艦を建造するんだろうか? 幅33メートルで18インチ搭載艦というプランすらあったのだから、何…
[一言] これはロシアの亡命系文化人や音楽家が 身の危険から再度ヨーロッパとか日本の 招集に応えて流浪する様子が起こりそう…。 ユダヤ系への迫害がそうでもないと、 ドイツに帰ってくるユダヤ人もいそうで…
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