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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2592年(1932年)

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イワンとニコライ<3>

皇紀2592年(1932年) 4月30日 帝都東京


 例によって折り合いの付かない列強間の調整を行うため列強の大使級会談が帝都東京において開催され、連日の討議を行っていたが、欧州列強とアメリカ合衆国との溝は深く逆に大日本帝国が仲裁することもしばしばであった。


 一向に進まない妥結にしびれを切らした正統ロシア帝国の外務尚書アレクセイエフ・フョードロフが来日、東洋のセシル・ローズと称される外務大臣森恪と会談を持ったことで事態が少しではあるが進展することになった。


 イワンとニコライの公称要目が発表され、大日本帝国外務省を経由して各国駐日大使館へとそれが知らされたのである。


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公式艦名発表せず(仮称イワン及びニコライ)

全長:231m

全幅:34m

主砲:60口径12インチ砲3連装4基

副砲:50口径6インチ砲連装6基

速力:30ノット

基準排水量:3万トン

========================


 主要要目が通達されると英米が懸念していた16インチ砲搭載艦でないということもあり、安ど感が漂ったのではあるが、それはそれ、アメリカ側は別の問題点への対処をしなくてはならなくなったのである。


 昨年から建造が進められているアラスカ型戦闘巡洋艦の先を越されてしまったことで、仮に妥結した場合日本側にこの2隻が渡されてしまうと自分たちの海軍力の優位性を失われてしまうことに気付いたのである。


 超巡洋艦(スーパークルーザー)の建艦競争では唯一出遅れているのが日本であり、その日本に対して圧倒的優位を保つのがアラスカ型戦闘巡洋艦であるはずだった。しかし、この2隻が日本側に譲渡されてしまえばその前提が崩れてしまい、結果として軍縮条約という枷を課した意味がないのだ。


 ただし、英仏からすれば日本側にこの2隻が譲渡されることは艦艇数を最低でも1万5千トン級を4隻も制限することが可能であり東南アジア植民地圏のパワーバランスを維持する上で好都合だった。


 日本側にとっては列強が扶桑・山城を偽装したこの2隻を超巡洋艦と錯覚させ、戦艦枠に含めず保有出来れば上出来というものだったのだ。仮に戦艦枠に含むとしても主砲を換装したと称して41cm砲を公称することで、長門型2隻と含めて41cm主砲を合計40門も戦列に並べることが出来るのだ。これはコロラド型4隻を保有するアメリカの合計32門に比べても優勢に立てるという計算である。


 どちらにしても日本側にしてみれば勝利条件は相当に低いと言えるものだった。


 英独仏伊の視点ではアラスカ型戦闘巡洋艦を戦艦枠に入れないという前軍縮条約の解釈を適用する限り、12インチ砲ならば同様に巡洋艦扱いに出来、特にドイツにとっては今後の海軍拡張を考えるとザイドリッツ級襲撃艦を戦艦枠に入れさせないためにも多数派工作は必要だったのだ。


 また、イタリアもドイツ同様に地中海を高速で疾駆する襲撃艦と同じコンセプトの超巡洋艦を望んでいたこともあり戦艦枠認定などさせるわけにはいかなかった。


 こういった事情から戦艦の不拡散という大前提では各国は同意するものの、これを戦艦枠にするのか巡洋艦枠にするかで駆け引きが行われていたのだ。もっとも、欧州列強は同床異夢でありながらも思惑は一致していることもあり巡洋艦枠適用でまとまっていたこともあり、アメリカは甚だ不利であった。

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