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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2592年(1932年)

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イワンとニコライ<2>

皇紀2592年(1932年) 4月25日 国際情勢


 正統ロシア帝国と正式に国交を持つ国は保護監督権を有する大日本帝国を始め大英帝国、ドイツ=ワイマール共和国、フランス共和国、イタリア王国、ハンガリー王国、北欧三国、スペイン、ポルトガル、スイス、ベネルクス三国、ルーマニア王国、ブルガリア王国である。


 少し前まではチェコスロヴァキアやポーランドも国交があったが、今は経済相互援助会議(コメコン)を結成したことで国交を断絶している。また、ユーゴスラヴィア王国は政府が崩壊したこともあり公館が閉鎖されている。


 南北アメリカ大陸に存在する国家が国交を結んでいないのはアメリカ合衆国が正統ロシア帝国の成立と承認をしていないことに遠慮してのものであったが、対日関係を重視するブラジル・アルゼンチン・チリの南米3ヶ国は事実上の政権が存在することを認め、正式な国交を樹立していないが利益代表部の設置を行っている。


 それら在外公館が立ち並ぶのはウラジオストク中心街やウラジオストク駅の周辺だが、金角湾に面している軍港施設などは市内各所から視認は可能である。


 突如として現れた巨大戦艦2隻の存在に英仏の駐在武官たちは事態の把握と本国への報告というドタバタ劇を演じることとなり、それまで一切確認出来なかった戦艦の建造というそれに慌てふためいたのである。


 彼らを驚かせた戦艦2隻は出港準備を整えるとすぐさま出航し、行方をくらませてしまったのであった。


 正統ロシア帝国に存在する軍港はこのウラジオストクとナホトカ、ニコライエフスク・ナ・アムーレくらいなものであるが何れも駐在武官が存在する総領事館、領事館があるが、入港の確認が出来なかった。彼らが掴んだのはイワンとニコライという艦名であることだけだった。


 軍縮条約の枠組みの外で戦艦を保有する国家は南米3ヶ国とスペイン、トルコ、ソ連だけであり、そのいずれもが旧式戦艦であり実質的に列強にとっては脅威とならないと判断されていたものだが、ここに正統ロシア帝国が目測で3万トンを優に超えると考えられる巨大戦艦を同時に2隻も就役させた事実はパワーバランスをひっくり返しかねないものであると考えられた。


 だが、軍縮条約の枠外の国家に不当な制限を要求するのもはばかられ、列強各国が取りえたのは保護監督権がある大日本帝国に事情聴取を行い場合によっては引き渡す様に要求させるというものであった。


 無論、表向き大日本帝国政府はこれに関わっていないこともあり列強同様に驚いて見せ、彼らに同調する姿勢を示した。しかし、正統ロシア帝国は大日本帝国を通さずに正式に戦艦イワン、ニコライの保有を宣言したのである。


 彼らの言い分は以下の通りだった。これを受け入れるのであれば2隻の戦艦を引き渡しても良いと宣言している。


1,正統ロシア帝国をアメリカ合衆国を含む全列強によって承認、独立の保障を行う。

2,列強各国は独立保障を担保するため侵略者と共同して戦う義務を負う。

3,これらを列強が受け入れると同時に大日本帝国へイワン・ニコライ両艦を引き渡す。

4,引き渡した後の海上防衛は大日本帝国が請け負うこと。

5,アメリカ合衆国はオホーツク海を経由した対ソ支援を取りやめること。


 この5項目をすべて認めるのであるならば戦艦の保有制限、海軍戦力の制限を受け入れる声明を出したのだが、英仏独伊は概ねこの提案を妥当と判断し、引き渡された戦艦を軍縮条約の枠内に組み込み金剛型の代艦として編入を認めると水面下で合意に達していた。


 だが、アメリカはこの提案に難色を示していた。


 アメリカ政府、フーヴァー政権そのものは否定的ではなかったが、財界や民主党がこれに反発を示し、日本側の陰謀であると一大キャンペーンを張ったのだ。


 特にオホーツク海における対ソ支援を封じるために戦艦2隻がオホーツク海で活動をしているという現在地報告には一方的な反発を示したのであった。

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― 新着の感想 ―
>北欧三国 スカンジナビア三国なのでしょうか。デンマークをお忘れではありませんか。
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