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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2583年(1923年)

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ロシア帝国正統政府樹立

皇紀2583年(1923年)5月3日 シベリア 沿海州


 浦塩派遣軍は着々戦備を整え、約1年の雌伏の時を過ごしてきた……だが、守りに徹してきた時は遂に終焉を迎える。


 第8師団に与えられていた新装備は現場からのレポートによってより使いやすく、より壊れにくく、より量産しやすい様に改良がくわえられ、試製八三式自動小銃、試製八三式機関短銃として事実上の量産体制に入り、制式化されてはいないが浦塩派遣軍へ続々と送られ、第8師団、第9師団には完全充足するに至った。


 また、三年式機関銃の量産も国内銃器メーカーが総力を挙げて行った結果、ウスリースク臨時要塞の要塞守備隊だけでなく、TGE-A型トラックを簡易改造したテクニカル部隊(自走機関銃)を現地で臨時編制するまでになった。


 そして、年が明けてからは第7師団、第10師団が増援として送られ、いよいよ攻勢に出ることが出来る状態になったのである。


 3月にはハンカ湖畔のスパッスクダリニーにまでシベリア鉄道に沿って北上、これを制圧するに至った。


 極東共和国にとってスパッスクダリニーは南下する上で非常に重要な拠点であった。特にシベリア鉄道による補給が可能であるという戦略的要地であったが、この1年に及ぶウスリースク周辺での小競り合いや大規模攻勢において悉く失敗し、人的資源が枯渇しつつある状態での浦塩派遣軍の最初の攻勢に耐え切れず、守備していたハンカ正面集団は死守命令を無視して逃亡を図ったのであった。


 この勝利によって、ウラジオストク、ナホトカ、ウスリースク周辺の地方都市は悉くが浦塩派遣軍に帰順する姿勢を見せ、同時に自警団や青年団などがパルチザンやそれらに与する者を袋叩きにして追放または私刑に処し、この地域の赤化勢力は事実上浄化されるに至った。


 帝国政府は情勢の好転を契機にフランスに亡命中のキリル・ウラジーミロヴィチ大公へ盛んにウラジオストクにおいてロシア帝国正統政府を樹立、帝国摂政へ就任し浦塩派遣軍占領下の地域の統治を行う様に秘密交渉を行っていた。


 キリル大公は「ロシア帝位の保護者」を自称し、ニコライ・ニコラエヴィチ大公の「全ロシアの皇帝」と並立している状態であった。


 ニコライ大公は反共側の開催した全国会議でロシア皇帝に推戴されていたが、ロシア皇帝の継承順位的にはキリル大公がより上位であったことから正統性を鑑み、帝国政府はキリル大公を神輿に担ぐこととした。これにはキリル大公には継承者が存在しており、継続して国家元首として担ぐことが可能であるという利点があった。


 ウスリースク臨時要塞による度重なる攻勢の頓挫による極東共和国とパルチザン勢力の求心力低下によって帝国政府の密使は説得と懐柔を推し進め、この4月に遂にキリル大公はその御座所を帝都東京へ移すに至ったのである。


 この結果、瓦解して亡命した白軍関係者や革命時に国外逃亡したロシア帝国政府関係者などが次々と来日し、キリル大公の元に集結し、彼らは腰の重いキリル大公へ正統政府樹立を迫ったのであった。


 そして、5月3日、日本海を挟んでウラジオストク・ナホトカと対面する鳥取県鳥取市にロシア帝国正統政府は臨時首都を設置、鳥取県は鳥取城跡を提供、旧藩主家の池田侯爵家は城内にある別邸仁風閣を帝国摂政行宮として提供することとなった。帝国政府は、以後、ロシア帝国正統政府を鳥取政府と通称することとなる。

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