表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2589年(1929年)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

415/910

世界恐慌と無関係の国<2>

皇紀2589年(1929年) 10月31日 ソビエト連邦 モスクワ


 クレムリンの主、星凛……もといヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリンは報告書を見ながら笑っていた。


「資本主義の犬どもが慌てふためいて右往左往しておる様は実に面白い」


「同志スターリン、この機会にアメリカにおける共産主義を広めるための……」


 スターリンは側近がそう言い掛けた時に執務机の引き出しからピストルを取り出し、ドアを打ち抜いた。


「おぉ、すまん。銃が暴発した。同志よ、怪我はないか?」


「……大丈夫であります」


「それで、なんだったかな? アメリカがなんだって?」


 スターリンは側近にわざとらしく尋ねる。


「……同志スターリン、アメリカでのスパイ活動を強化することで我らに大きな利益があります……かの地で活動するスパイたちにトロツキーの暗殺や監視を命じることを提案致します。また、日欧の圧力をかわすためにもアメリカを我らに近づけるべきかと……」


「ふむ……同志が言うことは尤もだ。わかった。そうしよう」


「ありがたき幸せ」


 冷や汗を流しつつも応じる側近にスターリンは声を掛ける。


「あぁ、そうだ。同志、君はどうも疲れているようだ。良い医者を紹介するから一度訪ねることを勧める。私にとっても同志はなくてはならない存在だからな」


「……お気遣いありがとうございます」


 この時の彼の表情は凍りきっていた。そして、対照的にスターリンの表情は柔らかい笑みを浮かべたものだった。


 側近が退出した後、スターリンはラヴレンチー・パーヴロヴィチ・ベリヤを呼んだ。


「同志、お呼びですか?」


「あぁ、良い医者を紹介して欲しいのだが、頼めるか?」


「同志のお命じとあれば……して……」


「激務で体調を崩した側近が居てな……心配なのでな」


「承知いたしました」


 そういうとべリヤはすぐに退出した。


 窓べりに歩いて行ったスターリンは曇る窓ガラスを拭き外を見ると呟いた。


「邪魔者はまだまだ多い……消さねばな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ