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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2588年(1928年)

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初対面

皇紀2588年(1928年) 12月20日 大英帝国 ウッドストック ブレナム宮殿


「余人を交えず話をするにはここが良いだろうと思って呼ばせていただいた。さて、そちらの軍人はどなたかな?」


 有坂総一郎は東條英機大佐とともにロンドンを離れオックスフォード近郊のウッドストックにあるブレナム宮殿を訪れていた。


 無論、ここの主マールバラ公爵チャーチル家に連なる人物、大英帝国大蔵大臣ウィンストン・チャーチルによる招待によってだ。


「駐英大使……松井男爵の方だが、彼から本国から新任大使が来るから交渉はそれまで待つ様にと伺っていたが、まさか、その随員に君が来るとは思っていなかった。そして、私は君と結奈君だけを呼んだつもりだったが、まさか陸軍軍人を連れてくるとはな……」


 チャーチルは不満そうに言う。


 元々、総一郎はチャーチルから個人的な晩餐にと招待を受けたが、それがただの晩餐会であろうはずもないと考え、東條を連れてきたのである。


「チャーチル卿、こちらの東條英機大佐は我が帝国陸軍でも開明的な人物であり、関東大震災において今上陛下の覚えめでたい方でもあります。いずれ、大英帝国において首相の座に就くであろうチャーチル卿との面識をと考えお連れした次第」


「ほぅ、だが、日本陸軍はドイツ贔屓で有名であると聞く。我が大英帝国とは関係が薄い……東條大佐もドイツ駐在が長かったと聞く……そんな彼が私と会って何か得るモノがあるのかね?」


 総一郎の紹介にチャーチルはそっけなく答えたが、やはり相手がだれかくらいは事前に知っていた様だ。


「そうですな。私だけでなく、我が帝国陸軍ではドイツ偏重の傾向がありますが、かと言って、同盟関係は解消されたとしても友邦である大英帝国を蔑ろにしておるわけではありません。明治の御代からの伝統……しかし、同じ島国……通じる部分は多いと考えております」


 チャーチルの嫌味に近いそれに流暢ではないがキングスイングリッシュで答えた。まさか東條がキングスイングリッシュで会話に入るとは思わなかっただけに総一郎は慌てた。


挿絵(By みてみん)


――え? この場で英語駄目なの私だけなのか?


 総一郎は妻の有坂結奈に視線を向ける。


――プイ。


 が、その瞬間結奈は顔を背けたのである。


 東條だけでなく結奈にまで裏切られた総一郎の表情は絶望の色に染まっていた。

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