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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2588年(1928年)

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スタンピード殲滅戦

皇紀2588年(1928年) 5月26日 支那 山東省 青島


 連合軍司令部は石原莞爾中佐率いる教導飛行団(ウーデットサーカス)による毒ガス航空攻撃の実施を認可、金塊を放出して餌とすることとし、膠州近郊の村に運び込ませたのであった。


 ウーデットサーカスは盛んに北伐軍上空を飛行し、ビラをばら撒いた。


 膠州湾を望むところまで侵攻していた北伐軍征南軍だが、当初はビラを謀略として無視するように通達を出していたが、一部の部隊が動き出すとそれに釣られるように我先にと金塊があるとされている村に群がっった。


 とは言っても、金塊など数万の大軍に行き渡る数などなく、金塊を巡っての同士討ちが狭い村の中で始まった。先行した部隊が金塊が実際にあったと報告したばかりに金塊を狙っての幹部同士の駆け引きもあり味方でも容赦なく殺すことを彼らは命じていたからだ。


 凄惨な同士討ちが始まってから1時間……。


 満を持してウーデットサーカスの各機は村落と周辺に展開する征南軍に対して航空攻撃を開始したのである。彼らは風を読みつつ被害が大きくなるように鮮やかな攻撃を仕掛けた。


 包囲するかのような爆撃によって逃れる道を求めて征南軍の将兵は我先にと殺到するが、そこには焼夷弾を積んできた爆撃機による空襲が待っていたのである。


 よく燃える様にとガソリンと焼夷弾を投下することで彼らは風上の毒ガスと風下の業火に追い立てられたのである。


 中には知恵の回る者もいて毒ガスの薄くなった場所からの離脱を考えた者が居たが、第三波の焼夷弾攻撃によって風上も次々と炎上し、まさに関東大震災における火炎合流のそれが現出したのである。


 そこには最早地獄絵図としか言いようのない光景が広がっていた。


 この作戦指揮を執った石原は爆撃機に搭乗し、直接上空で指揮を執っていたのだ。それによって的確に、そして確実に文字通りの殲滅戦をやってのけたのである。


「帝都大空襲のアレが参考になるとはな……しかし、ちとやり過ぎたか……だが、この魔獣どもが襲い掛かってきたらいくら兵器が優秀であっても少数の我らでは支えきれんからな……」


 機上にて石原は呟く。


 数時間後、地上から斥候が送られ徹底した殲滅戦となった戦場において2万にも及ぶ兵士の遺体が確認された。ここに征南軍は地上から消滅したのである。

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