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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2587年(1927年)

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陰謀

「このはと」お知らせ イギリス海軍新型巡洋艦コンペ開催

ビヤ樽男と変態紳士の国の弩級巡洋艦についてコンペを開催しようと思う。


〇コンペの開催趣旨

ビヤ樽男が場の空気を読まない発言をして世界が凍った件について、その後始末をする必要があるため。


〇仕様

ビヤ樽男が満足しそうな性能で、従来の巡洋艦を凌駕しつつも、史実ワシントン・ロンドン両条約の条件を逸脱しない範囲で、極力1920年代後半の水準で建造可能な常識の範囲の巡洋艦。


〇変態どもの要望

植民地が広いから巡回するのに適したもの。

攻守のバランスが取れたもの。

建造コストと期間が常識的かつ出来ればいい感じで。


〇コンペ募集期間

4月30日まで。

5月連休中に公式に選定と評議を行う予定。


<追加>

現在の提案では、皆揃って1万トンの枠で非常に難儀している様である。そのため、少し条件を緩和してみようと思う。

●排水量について、15000tまで許容値とする。

●機関について、ディーゼル機関に変更することも可とする。

●主砲について、25.4cm、23.4cm、20.3cm、18.1cmを基本線とする。

●装甲について、重量軽減目的で削ることもあり、逆に装甲を厚くして武装を減らすという方法もあり。

皇紀2587年(1927年)7月15日 帝都東京


 箱根での東方会議は概ね東條-有坂枢軸にとって都合が良い展開で終幕した。


 永田鉄山の提案によって満州における緊張緩和を目的とする日ソ張の三者会談が奉天において開催するという方針が決定され、陸軍側から日本側全権として田中義一政友本党総裁、芳澤謙吉駐支那公使、吉田茂奉天総領事が出席するという段取りが内定した。


 箱根において永田は特別な動きを見せていなかったが、帝都へ戻ってから陸軍各方面に働きかけを行い始めたのである。


 特に関東軍の武藤信義とは何度も接触しており、武藤が大連へ戻るまで毎日短時間であっても会合を持っていたのだ。


「永田よ、貴様の計画、確かなのだろうな? 表立って俺が何かすることはないが、貴様の準備が出来次第、こちらも動くように取り計らうが、俺から荒木や真崎に何か言わんでもよいのか?」


 大連へ戻る際、東京駅で列車に乗り込む間際に武藤は永田に改めて念押しのために確認する。


「英雄将軍閣下は必ず私が口説き落とします。表向き、参謀本部が関わっておらず、関東軍の治安出動、現地の独断という体裁を取らねばなりません。でなければ、国際社会の我が帝国への風当たりが厳しくなりかねませんからね」


「まぁ、そうだな。貴様らしくない大胆な構想だとは思ったが、これが成功すれば目の上のたん瘤をまとめて始末出来るのだからな。期待しておるぞ」


「閣下こそ、こちらからの増援で上手く事を為してくださいますよう願います……」


「そのためには例の列車砲と装甲列車を早めに接収して朝鮮国境や大連に運び込まねばな……」


「既に各方面に手を回しております……東條ご自慢のオモチャが期待通りの成果を出すか、それが気掛かりですが……まぁ、欧州であの手のモノがそれなりに効果を生んでいるのは事実、ドイツのパリ砲ほどのソレを望んではおりませんが、それなりには仕事をしてくれるでしょう」


 武藤は永田の肩を叩いてから列車に乗り込んだ。永田は列車を見送り敬礼してから改札へと歩む。


――これで現地の兵力を動かすことは可能になった。あとは、必要な機材を送る段取りだ。会談の日時が確定するまでは暫く時間が掛かるだろうが、急がねば……。


 永田は公用車に乗り込むと参謀本部へ回すように指示し、目を閉じた。

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