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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2587年(1927年)

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ドレッドノート・ショック

「このはと」お知らせ イギリス海軍新型巡洋艦コンペ開催

ビヤ樽男と変態紳士の国の弩級巡洋艦についてコンペを開催しようと思う。


〇コンペの開催趣旨

ビヤ樽男が場の空気を読まない発言をして世界が凍った件について、その後始末をする必要があるため。


〇仕様

ビヤ樽男が満足しそうな性能で、従来の巡洋艦を凌駕しつつも、史実ワシントン・ロンドン両条約の条件を逸脱しない範囲で、極力1920年代後半の水準で建造可能な常識の範囲の巡洋艦。


〇変態どもの要望

植民地が広いから巡回するのに適したもの。

攻守のバランスが取れたもの。

建造コストと期間が常識的かつ出来ればいい感じで。


〇コンペ募集期間

4月30日まで。

5月連休中に公式に選定と評議を行う予定。

皇紀2587年(1927年)7月1日 スイス ジュネーヴ


 アメリカ大統領カルバン・クーリッジは頭を抱えていた。


 日英とフランスの激しい攻防が繰り広げられてアメリカ代表団の発言機会が奪われてしまっていたことはこの際良しとするが、由々しき事態になってしまった。


 巡洋艦建造を中断し、国内インフラ整備に予算を回していた帝国海軍が交渉のテーブルをひっくり返すかのような巡洋艦建造再開を示唆し、それに呼応するかのようにウィンストン・チャーチルまでもがイギリス代表団すらも度肝を抜くような弩級巡洋艦建造示唆をした。


――これでは量的制限どころの話ではなくなってしまう。欧州の安定には英仏の協調が必須であるが、先年のドイツでのルール占領以来、英仏の関係は非常に微妙でありながらもなんとか協調してきたというのに軍縮条約という枠組みが原因で協商関係が崩れるなど……それは非常に困る。我が合衆国にとっても戦時債権の取り立てに影響する……。


 世界最大の植民地大国である英仏が事を構えるなど世界大戦の引き金を引くようなものであり、その原因となったのが表向き平和を願っての軍縮条約であったというのでは洒落にも笑い話にもならない。


――日本は外交音痴であったはずだが、ここ数年の日本は非常に強かになった感がある。ワシントン会議も日本のペースでかき回され、いつの間にかグルであったはずのイギリスが日本と結託していた。それどころか、日英関係はそれを境に明らかに好転して、チャイナにおける問題が発生してからは明らかに同盟関係同然の状態だ。


 クーリッジの感想は半ば当たっているが、実際には偶然の産物によるところが大きい。純粋に日英の利害が合致しただけのことなのだ。


 もっとも、ワシントン会議からジュネーヴ会議に至るまでの帝国海軍の動きは明らかに大角岑生の思惑によって左右されているが、アメリカの諜報能力がそれなりにあったとしてもそこまでは把握は出来ない。


――強引にこの会議をリードして空中分解させるよりも、落としどころを探る戦術に転換するべきかもしれない……。再びドレッドノート・ショックなど起こされてはたまったものではない。あれこそが海軍軍拡の引き金を引いた元凶なのだからな……。

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