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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2587年(1927年)

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舞台裏

皇紀2587年(1927年)6月27日 神奈川県 箱根


 有坂総一郎が興奮気味に装甲列車の自慢をしている頃、別室で湯上りの火照った体を団扇で扇ぎながらくつろいでいる女性がいた。有坂結奈である。


 彼女がなぜここに居るのか……それを説明すると数日前に遡る。


「数日間、箱根に行ってくる」


 総一郎はいつものように出張する旨を結奈に伝えたのだが、すると彼女は無言で部屋を出ていった。暫くしてから旅行鞄を用意して戻ってきた。


「それで、何日くらいの予定なのかしら?」


「恐らく1週間もしないと思うけれど……そこまで大荷物は要らんだろう? 現地で洗濯だって出来るだろうし、必要なら電話するから届けてもらえばよいだろう?」


 総一郎は彼女が持ってきた旅行鞄が自分の出張用だと思っていた。


「何を言っているの? これは私の鞄よ? あなたのは後で用意するわよ。でも、御自分で言った通り、そんなに着替えは要らないでしょう?」


 どうやら彼女は付いてくるつもりだったようだ。


「え? 仕事で行くんだよ? お偉いさん方と会議をしてくるから結奈の相手は出来ないよ? それでも付いてくるのかい?」


「いいわよ? 箱根に行くのも久々ですし、それに堤さんから招待もあったからお断りするのも角が立つでしょう?」


 結局、そのやり取りで結奈は箱根についていったのであった。


「しかし……思った以上に暇ね……散策しようと思ったけれど、外は雨……」


 悪天候ということもあって結奈の当ては外れてしまった形となってしまい、結局、温泉に入って部屋でくつろぐくらいしかすることがなかったのだ。


「旦那様は……はぁ……絶対今頃はオモチャ片手に楽しんでいるわね。あの人、絶対この調子だと会社潰すわ……。私には全然鉄道の……いや装甲列車の何が楽しいのかわからない……そもそも列車砲? あれなんて戦力の無駄遣い以外の何物でもないのに、なんであんなものを造って陸軍の人たちと一緒になってヒャッハーしているのかしら……」


 しとしとと降り続く雨を眺めつつ結奈は自身の夫が何を考えているのかわからないと溜息を吐く。


「まぁ、でも、あの夢中になってる姿が……駄目ね、アレのせいで許せるなんて……甘いのね、私……」

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