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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2587年(1927年)

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多摩丘陵への鉄道延伸

皇紀2587年(1927年)4月1日 帝都東京


 宇品から出航した陸軍特種船は柱島泊地において支那方面艦隊と合流、帝国陸海軍の支那派遣軍は昼には柱島泊地を出撃した


 その同日、帝都東京は新宿から神奈川県小田原を結ぶ小田原急行鉄道が小田原線を全線を一度に開業させた。


 鉄道省による鉄道事業標準軌統一方針によって当初は狭軌によって建設が進んでいた同線も建設途中に改軌が命じられ、鉄道省の補助金支出によって他の鉄道よりも優先して改軌が行われた。


 これには理由がある。小田原急行鉄道はその性格上、東海道本線のバイパス線として機能するため、将来の直通運転や迂回運転を考慮されていたのだ。そして、建設中であったことも幸いし、工期延長、作業員の増強をすれば開業後の改軌工事をせずに開業当初から標準軌で運用が可能になるためだ。


 そして、それによって東海道本線の工事促進と迂回運転による運休回避を可能にしたのである。


 小田原急行の開業によって東海道本線は当初計画通り、区間運休を実施し、集中工事によって夏までに東京~小田原間の改軌・複々線・電化工事が完了する見込みとなったのである。


 実は鉄道省の当初計画では輸送量の確保の観点から帝都近郊を優先して改軌工事を進める予定だったが、輸送密度が大きいこともあって、改軌工事に伴う運休の影響が大きいこともあり、帝都近郊は後回しとなったのだ。


 輸送密度が大きい東海道本線については弾丸列車線区の工事を優先して、工事が完了した区間を一時的に間借りし、東海道本線の列車を走らせ、並行する東海道本線の工事を行うという方式で地方線区では順次工事が進んでいる。このため、東海道本線と弾丸列車にはアプローチ線がいくつも設けられて相互に行き来出来る様になった。


 これらの工事の結果、運休や区間運休という事態は最低限にとどめられていた。だが、それでも都心部に関しては工事の進捗が悪く、土地接収に強硬に反対する勢力や、それらを支援する反体制派がそれを妨げているのである。


 もっとも、この鉄道建設への反対勢力や反体制派については東條英機大佐がマークし情報提供など憲兵隊や内務省を通して適宜対処していることもあり、徐々に抵抗は排されている。無論、この中には社会主義勢力や共産主義勢力の残党も含まれており、内務省は喜んで協力していたのだ。


 ともあれ、小田原急行は鉄道省からの補助金や工事補助もあったことから余裕があり、史実通りの単線開業ではなく複線開業となった。これによって東海道本線のバイパス機能は格段に強化され、東京駅始発の特別急行列車・急行列車が新宿駅始発に切り替えられ、これによる手数料や線路使用料で大きな利益を得ることになったのだ。


 だが、その事態に黙って傍観しているはずがないのが五島慶太である。


 彼は小田原急行の開業に先駆けて目黒蒲田電鉄や東京横浜電鉄の早期開業によって京浜近郊のバイパス機能を提供し、ベッドタウン開発を推し進めていた。史実では戦後の開発になる田園都市線を40年早く実施し、これも鉄道省から補助金を引っ張っていたのだ。


 この結果、帝都近郊……特に京浜内陸部における鉄道事業と都市開発は史実よりも先行する形となった。もっとも、そのあおりを受けて帝都近郊の鉄道省線の改軌工事は逆に遅れることとなったのは皮肉ともいえる。

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