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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2587年(1927年)

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天城型就役とワンワンレーダー

皇紀2587年(1927年)4月1日 瀬戸内海 柱島泊地


 呉にて竣工した航空母艦赤城、横須賀で竣工した航空母艦天城の2隻は出港準備を整えた後、瀬戸内海柱島泊地へと出航、31日夕刻には錨を下した。


 後に軽装甲空母と分類される加賀型2隻、天城型2隻の4隻が柱島泊地で轡を並べたのである。


 史実の加賀・赤城と比べると明らかに姿を異にする。全長の相違もあるが、概ね、イメージとしては艦橋と煙突が一体化した飛鷹型空母のそれに信濃型空母の格納庫を一段増やした様な姿だと理解したらよいだろうか。


 艦橋を大型化した理由は電探室・電算機室の確保という意味もあり、将来的にこれらの増設に対応するように設計されていたのである。もっとも、この空間は現状では作戦室や艦橋要員の休憩所という扱いになっている。


 だが、この天城型2隻には初期的なドップラーレーダーが設置されている。巨大な艦橋の上にアンテナを設置し、ここから電波を発信し、先行する駆逐艦に受信機を設置、これによって早期警戒体制を築くという意図のモノである。史実で言うところの所謂ワンワンレーダー、超短波警戒機甲である。それの試作版みたいなものだと認識されたい。


 敵機の接近を感知するとウワァンウワァンと鳴り出す仕組みで、目標が送信・受信地点を結ぶ線或いはその延長線上空に近づくと脈動が遅くなり、やがて止まった後再び脈動が始まって、次第に速くなる。止まった時が線上空を横切った時というモノだ。


 もっとも、史実海軍はこれを検討はしたものの艦上での運用の価値なしと判断したようであるが、まぁ、それには理由がある。例外なくあらゆるものに反応するため、島だろうが漁船だろうが自軍艦船だろうが飛行機だろうが遠慮なしに反応するのだ。よって、陸地の近いところなどでは鳴りっぱなし状態になるということなのだ。


 だが、有坂総一郎はそれを知ってはいたが、無いよりは絶対に良いと考え、搭載する様に裏で根回ししていたのである。無論、過渡期にあるモノだから何れ新型に換装するという約束で。


 また、総一郎は海軍軍令部長鈴木貫太郎大将を通して第一航空戦隊を構成する加賀型ではなく、新設された第二航空戦隊の天城型の出動を要請したのである。無論、支那情勢悪化に伴う艦隊出動があることを聞いていたからである。


 加賀型の一航戦ではなく、天城型の二航戦を出撃させる意図は言うまでもなくワンワンレーダーの実用性を確認するためだ。対空戦闘の可能性は殆どないが、英米海軍が集う上海沖に近づくだけでも反応して早期発見が可能であろうという水上レーダー的運用として立案したのである。


「闇夜の提灯で先に発見されないか?」


 鈴木は総一郎の意図を理解しつつもそれを懸念したが、総一郎はあっけらかんとして言い放つ。


「今は闇夜の提灯でも大丈夫でしょう。それに相手が何の電波か理解出来なければさして意味を持たんでしょう。逆探知する機械が必要ですしね」


「それもそうか……となると、我々は逆探知機も整備しなくてはならんのだな」


「敵を出し抜くにはこちらが上手でなくてはなりませんよ」


 総一郎の答えに満足そうにうなずく鈴木は後日、電波兵器の開発部署設置を海軍省へ要求するのであった。

超短波警戒機甲

誤字報告があったけれど、超短波警戒機甲は超短波警戒機"甲"で正しいのである。これは甲乙丙の甲だから。当然、超短波警戒機乙もある。

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