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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2586年(1926年)

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237/910

彼らにとっては、商工省あっての日本

皇紀2586年(1926年)10月21日 帝都東京 商工省


「やられた……」


 商工省の若手官僚のエース、岸信介は呻き声をあげる。


 満鉄が朝鮮総督府領域で何かコソコソと調査しているのは知っていたが、朝鮮総督府及び南満州鉄道は内閣直属の外局である拓務局の管轄であり手を出せなかったのだ。


 しかも朝鮮総督である斎藤実海軍大将が満鉄の動きに同調し、外資の受け入れを満鉄の会見の直後に声明したこともあり商工省の若手を取り仕切る岸やその上司である吉野信次、木戸幸一などは機先を制された形となったのだ。


「北鮮は資源地帯であると認識はあったが、開発に時間が掛かると思い後回しにしたツケがこういう形で支払わされるとは……」


 岸はこの時大きな勘違いをしていた。


 満鉄が動いたタイミングと非公式会談の決裂が連動していたのは東條-有坂枢軸の方針転換によるものであるが、あくまで時流が変わったことによる場当たり対応でしかない。


 だが、岸は朝鮮総督の斎藤と東條-有坂枢軸に属する軍令部長鈴木貫太郎大将のつながりかを疑っていたのだ。海軍人脈による国際協調派による外資受け入れと勘違いしたのだ。


「しかし、連中も巧妙な時機を狙って事業化するとは……短期的には兎も角、長期的には明らかに支那の影響力は削がれるだろうし、何より国際資本が流れることで資金調達や機械導入も単独で進めるよりも遥かに有利だろう……」


 岸は弟である佐藤栄作に会ってみることを思いつく。


「あいつなら大臣秘書をしていることだし、何か情報を得られるかもしれないな……」


 岸の判断は間違ってはいなかった。


 佐藤は実際に鉄道大臣仙谷貢の右腕、もしくは懐刀ともいえるほど活躍しているのだ。総一郎の鉄道省私物化に最も貢献しているのは実は彼であると言っても過言ではない。


 それゆえに有坂邸謀議にも仙石の名代として顔を出すこともある。


「いずれにせよ、重要基幹産業の統制を進めることで産業の育成と保護をしなくてはならん……そのためには一時的には不利益になろうと外資を締め出すこともしなくてはならんのだ……。いざ戦時になった時に引き上げられては戦をする以前になるからな……」

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