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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2586年(1926年)

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国益のリレー分配

皇紀2586年(1926年)5月20日 北樺太 新北斗(旧名オハ)


 シベリア出兵の勝利によって完全かつ永久に大日本帝国領土として割譲された北樺太は東北や北陸からの移住者が続々と入植し、ロシア領であった頃の名残は急速に消えつつあった。


 北樺太は割譲によって樺太庁に属することとなり、その際に旧来の地名も日本名へと変更がなされ、オハは新北斗と改称され、同時にオハ油田は北斗油田となった。


 この時、北斗油田の権益は一時的に国有化されていたが、財政難であった大日本帝国政府はその権利を払い下げすることで国庫を潤そうと考えたのである。


 その際に名乗りを上げたのは日本石油などの在来の石油会社であったが、各省のキーマンたちは有坂重工業を指名し、入札に異議を唱え、利益よりも国益を求めている有坂こそ払い下げに相応しいと周旋をしていたのである。


 この周旋活動には有坂邸謀議に参加する財界人たちも賛意を表明したことで財界全体としても有坂推挙の空気が次第に支配的になったことによって入札なしでの払い下げとなったのである。


 だが、本来であれば入札がないため最低落札価格で払い下げとなるところを有坂重工業は本来応札するはずだった価格を支払うことで批判的になりつつあった世論を躱したのである。


 その北斗油田には未だまともな港湾設備がなく、大規模操業と出荷にはいささか不利な条件であったが、有坂重工業の設営部門は仮設のシーバースを設置し、貧弱な港湾施設の代用として夏季限定で利用出来る様に準備をしていたのである。


 冬季の積み出しを考えると新北斗からよりも、大泊から積み出す方が適当であるため、現在は敷香・豊原を経由した原油パイプラインを建設中である。


 数日前、出光商会へ引き渡されるはずだった第一出光丸が姿を現したのである。


 1万トン級の大型タンカーである第一出光丸は仮設シーバースから原油を積み込むとすぐに徳山港へ向かったのである。目的地は鈴木商店系の石油会社、旭石油の徳山製油所である。


 有坂総一郎の狙いは生産が軌道に乗り始めた北斗油田の原油を鈴木商店に流し、精油した後、出光商会に流し、これを持って出光商会の体力をつけ、民族資本の石油企業を育てるというものであった。


 そして、売るべき相手は最終的には佐世保にいる大英帝国東洋艦隊である。もっとも、間には帝国海軍が入ることで海軍同士の絆を深めるというオマケつきである。

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