ノルマンディ級戦艦の就役
皇紀2586年5月15日 フランス
ワシントン軍縮条約は日欧にとって最良の形で締結された。
これによってフランス、イタリアは元々建造中止、廃艦を求められていたものを免除もしくは代艦建造枠として得ることが出来た。
特にフランスにとってこれは大きな勝利であったと言える。日米英の三ヶ国によってリードされ、自国の要求など半ば無視され軍縮を強要されそうになったフランスにしてみれば日本が代案を提出したことで軍縮条約が半ば仕切り直しになったのはまさに僥倖だった。
この時、フランスが保有する戦艦は欧州大戦以前に建造されたクルーべ級4隻、大戦中就役のプロヴァンス級3隻、前弩級戦艦のダントン級3隻。そして建造中だったノルマンディ級5隻だ。
ここでフランスは思い切った行動に出る。ダントン級3隻の保有を認められていたが、これを廃艦とすると表明し、代わりにノルマンディ級3隻の建造続行、及び2隻の航空母艦改装を要請したのだ。
日本と同じ手法で実を得る方針に切り替えたのだ。また、軍縮条約の進展如何ではクルーべ級4隻の追加廃艦の可能性も示唆、この場合は30年以後に代艦を2隻建造を示したのである。
これには隣国である大英帝国も黙認せざるを得なかった。大日本帝国の提案を呑んだ以上、フランスの提案も拒絶することは出来なかったからだ。
結果、フランスの要求は認められ、ノルマンディ級戦艦は建造が再開されこの年の5月に3隻揃って就役したのである。
元々ノルマンディ級は欧州大戦時には進水していたが、熾烈な地上戦、航空戦、対潜水艦戦闘という状況によって戦艦建造の余裕を失い建造中断となっていたが条約締結後に建造再開してからものんびりと工事が続けられたのである。
この時点で史実と同数の戦艦を有しているが、実際の戦力で考えると遥かに優勢となっている。これは有坂総一郎らにとっての誤算ではあったが、誤差の範囲ともいえるだけにそれほど気にかけてはいなかった。




