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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2586年(1926年)

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以心伝心?言わないと伝わらない……特にあの馬鹿には

皇紀2586年(1926年)5月5日 ドイツ=ワイマール共和国 ベルリン


another view Yuina


――まったく、彼には呆れる。いや、もう慣れたことである。だが、それでも怒り……いや不快感を覚えるのは慣れない。


 有坂結奈は電報を見ながら相変わらず考え込んでいる愛する夫(バカヤロー)へ色々な感情が湧き上がっては消えていた。


――いつものこととはいえ、思い付きで欧州……ドイツくんだりまで付いて来させられたにも関わらず、あの馬鹿はいつも通りで歴史改変(遊び)に夢中だ。少しは私のことも考えてくれたらいいのに……。


――それなのに、「風呂好きの結奈には湯船に浸かれないのは……」ですって……大事なところはそこじゃないのよ。まぁ、確かに毎日シャワーばかりでウンザリはしているけれどね……。


 結奈にとって面白くないのは夫である有坂総一郎が妻である自分を蔑ろにまではしていないとしても、構ってくれないことだった。


 本国にいる時、総一郎は時折三越などに連れて行ってくれるし、箱根や熱海の温泉にも連れて行ってくれる。現代と違うが、この時代で楽しめるであろうところへ彼なりに連れ出してくれていたのだが、今回の訪独ではそれが全くない。


――毎日毎日、ドイツ企業に訪問して、通訳して、秘書役をこなして……全然楽しくないじゃない。あの馬鹿にとっては趣味全開、人生満喫なんでしょうけれど、私は全然面白くない。


――折角、ベルリンに居るのにサンスーシー宮殿すら見学に行っていないし、見たのはプロイセン王宮やブランデンブルク門くらいなもの……ベルリンフィルハーモニーのコンサートすら鑑賞できていないなんて、どんな罰ゲームよ!


 この一ケ月、総一郎は結奈を引き連れ有名企業に挨拶回りや会議、在独軍関係者との会見などに費やしていた。


 それゆえに総一郎……そして大日本帝国にとっては大きな成果は上がっていたが、付き合わされている結奈は全く楽しむところがなかったのだ。


――やはり、あの馬鹿は気付きもしないから言わないと伝わらない……。


「旦那様!」


 結奈はなおも東條英機大佐の真意を測りかねる総一郎に向き直って口を開く。


「私、この一ケ月、観光名所どころか、買い物にも連れて行ってもらっていないのだけれど、そろそろ私のことも構ってくださいな!」


another view end

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― 新着の感想 ―
[一言] そう、言わないとわからないのだよ。 就活で不採用になった時、面接官に聞いても、「不採用になった理由?自分で察しなければ、次も同じ結果になるだろうね」と言うが、わからねーから聞いてんだよ!と何…
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