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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2586年(1926年)

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暴走する研究者とその結果

皇紀2586年(1926年)2月8日 神奈川県城ケ島


 前年の9月以後神奈川県城ケ島へ事実上監禁されここで研究を続けていた東北帝大の2人の教授とその研究チームは遂に八木・宇田アンテナを実用化することに成功した。


 城ケ島監獄と彼らが通称する閉鎖研究施設には有坂系企業集団や陸軍からの資金が必要に応じて投下され、彼ら研究員たちが不自由なく研究を行える環境を整えていたこともあり、考案すると同時に実際にアンテナを製造し、研究と同時に実証を並行して行うことで研究を加速させていたのである。


 八木秀次教授は東北帝大の本多光太郎教授に多様な資材を要求し、それを有坂重工業の支払いで取り寄せ、宇田新太郎教授の指揮の下組み立てと実証を行い、その結果は日々蓄積され史実よりも早い段階での実用化に成功したのであった。


 実用化の成功と同時に秘密特許を出願し、その所有権は有坂重工業に属することとし、両教授と研究員たちには都度報酬を出すことで合意に至った。同時に両教授の国外渡航を禁止すると陸軍省は正式に通達し、彼らの研究についても一切の公表を認めないことを再度書面にて手交し、これの同意書を取った。


 東條英機大佐と有坂総一郎によってこれらは根回しされ、ある意味では彼らそのものを禁輸品、軍機として扱うことになったのだ。


 報告を聞いた東條と総一郎は早速現地に出向き、三崎港から渡し船で城ケ島に上陸したが、そこで二人揃ってポカンとして立ち尽くしてしまった。


「想像よりも早く完成してしまいましたね……」


 総一郎は城ケ島"監獄"に林立する無数のアンテナ群を見て感想を漏らす。


 資金援助したことで研究が加速したのは間違いないが、まさかここまで加速し、実質2年も史実より先行したことに驚きは隠せなかった。


「うむ……しかし、これだけやたら作る必要があったのか?」


 東條もアンテナだらけの城ケ島を見つめて思うところがあったようだ。


 以前、派遣した憲兵や仙台の憲兵からの報告で彼ら研究員はタガが外れると問題行動を起こすと聞いていただけに実際に目の当たりにすると彼ら憲兵の報告が大袈裟でも何でもなく、現実のものであり、しかも、国家予算と私企業からの献金を注ぎ込んで好き勝手した成れの果てだと思うと複雑な気分にならざるを得なかった。


「早速おいでいただき感謝しております……東條大佐、有坂社長」


 呆然とする2人に話しかけてきたのは宇田であった。


「お二人の助力で我々の研究は捗り、この通り、成果を出して見せるに至りました。今後は更なる改良と性能改善を目指しますよ」


 得意満面の表情で案内役を務める気である宇田に対して2人は揃って頷いた。


「「おっおぅ……」」

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