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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2585年(1925年)

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羽を伸ばす研究員

皇紀2585年(1925年)9月25日 東北帝国大学



 東京憲兵隊は地元憲兵隊に八木研究室の研究員と学生の監視を引き継いだ。


 憲兵隊は1人当たり2人の監視を付け自宅に一度帰らせ、改めて大学にて合流すると仙台第4連隊差し向けのトラックに分乗し仙台より南西の秋保温泉へと向かった。


「諸君らの待遇は旅館を借り切って暫くの間、軟禁させていただくが、それ以外は帝国陸軍のお客様という扱いをさせていただく」


 地元憲兵は東京憲兵隊からの指示通りに八木研究室の面々に伝え、要望を聞き、出来得る限りの便宜を約束する。同時に便宜的に研究員の1人を研究員たちを統率するリーダーとして任じ、個別ではなく、彼を通して要望を出すように命じ大部屋から退出した。


 憲兵たちが部屋を出ると研究員たちは車座になり今後について話し合いを始めた。


「少なくとも陸軍は我らを害しようとはしていないようだ。折角だから数日は羽を伸ばしてゆっくりと休養を取るとしようか」


「そうだね……」


「温泉なんて大学に入ってから初めてだな」


「芸者くらいは呼んでも罰は当たらんだろう」


 暢気なものだ。害されることはないと踏んだ彼らはつかの間の休日を楽しむことに決めたようだった。


 彼らも日々研究所に詰めて研究に没頭していただけあって久々の娑婆の空気とばかりに気が緩んでいたのかもしれない。




「全く暢気なものだな……盗聴されていると思わんのだろうか」


「思ってたらこちらの仕事がやりづらくなるからこのままで良いさ」


 憲兵隊は隣室に本部を構えていた。


 大部屋だけでなく研究員の寝室となる部屋にも盗聴器は仕掛けてあり、彼らは常時監視され続けることになるのだが、彼らは暫くはこれに気付くことはなかった。




 憲兵隊は頭を抱えて呆然としていた。羽目を外した研究員たちの大宴会の後始末を彼らはする羽目になったのだ。


 旅館側からの苦情が憲兵隊には殺到したのである。


「あいつら酒の飲み方も知らんのか……」


「芸者が逃げるとか大概だぞ」

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