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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2585年(1925年)

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石原、激怒する

皇紀2585年(1925年)9月19日 ドイツ


 駐独武官石原莞爾少佐はこの日、ベルリンを発った。


 駐在武官としての仕事を新任の少佐に引継ぎ、エルンスト・ウーデットの引き抜き工作も成功した今、彼がドイツに残る理由はない。本国陸軍省の命令通りに帰朝するだけだ。


 大角声明から英独は受注獲得せんと競って造船設備、製鉄設備の売り込みを図っていることが欧州でも知られるほど大きく報道され、同時にドイツにおいてもクルップと取引のある企業などがこぞって駐独日本大使館に売り込みをかけていた。


 日独間の交流が活発になり始めた丁度その時に石原はドイツを離れることに少々惜しい気がしたが本国の帰朝命令を無視するわけにはいかない。


「ウーデットも今頃はトリエステに飛んでいる頃か」


 石原の横には本来であればウーデットがいるはずだが、彼は既にミュンヘンからイタリアのトリエステに移動していた。


 ウーデットは愛機にて空路トリエステに立ち寄り、ここで愛機を分解し日本行きの貨物船に積載、発送していたのである。


「さらばオイローパ!」


 ウーデットは石原が到着するまでの数日間、支給されたばかりの前金で豪遊し、石原が合流したころには手元にある資金は限りなく小銭に近くなっていたのである。


 ベルリンを発した列車はミュンヘン、ザルツブルクを経てトリエステに達する。


 石原は列車から降り立ち、ウーデットが待つホテルに向かうと昼間だというのに出来上がった姿の彼を見つけたのである。


「ウーデット、貴様、まともな秘書か副官を雇え。そして、貴様はカネを持ち歩くな!」


 あまりの事態に絶句した石原は激怒してそう言うなり、彼の財布を奪い取った……が、ウーデットはどこ吹く風である。奪われた財布にはそもそもカネが入っていないからだった。


「人選を誤ったか……」


 石原の苦悩は始まったばかりであった。

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