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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2585年(1925年)

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大正維新

皇紀2585年(1925年)8月26日 帝都東京 有坂邸


 第二次加藤高明内閣発足の翌日。恒例の有坂邸謀議が今日も行われている。


 この日の謀議の話題は憲法改正と行政改革についてだった。


 第二次加藤高明内閣は統帥権問題と内閣制度の不備を改善する必要があることを公式に認め、これに対処すべく憲法改正を目指す考えを示したが、重臣会議によって前総理大臣山本権兵衛が海軍の暴発に激怒したことから、早急に取り組むべしと枢密院の内諾も得て検討に入ったことで公式発表することが出来たのである。


「憲法改正は、すんなりといかないでしょうねぇ」


 政府発表の内容が一字一句書き換えられずに掲載され、真なる報道がされ始めた読売新聞を広げながら有坂総一郎はメンバーの意見を窺う様に言う。


「有坂君、総理は本気で取り組むつもりでいるよ……閣僚1人更迭するのに大袈裟な茶番をやらないといけないのだからね……あんな馬鹿げたことして幣原を追い出すのに一体どれだけ税金が吹き飛んだことか……そして改憲の本丸は統帥権の政府統制下に置くことだ、それをやらねば意味がない」


 鉄道大臣仙石貢は総一郎の現実性がないという見方に反発するように閣僚として内閣を擁護した発言をする。


 仙石は最近になって有坂邸謀議の正式メンバーとなったのだが、いよいよ有坂邸謀議が国家を裏から動かす黒幕的な組織の体を為してきた。政界、軍部、財界とそれぞれの業界でリードする人物がここには集っているからだ。


「それに山本前総理も軍部が陛下の名を騙って統帥権だの編成権だのと宣うなど許されないと激怒していてね、改憲議論が始まったら特命担当大臣として改憲担当を担ってもらうことになった」


「特命担当大臣ですか……」


「あぁ、正式には無任所国務大臣なんだが、便宜的にそう呼称することになった……のだが、当の山本さんが大正維新だと妙なやる気を見せてしまっていてね」


 大正維新……平成の御代を知る総一郎としては維新の名がつくもの、騙るものにロクなものがないと知っている。


――なんか、一波乱きそうだなぁ……。維新なんてロクなもんじゃないし……。


 名乗っている当の本人たちは錦の御旗のつもりだろうが、振り回される側にしてみればたまったもんじゃない。


「変な連中が山本さんの周囲に集まらないように警戒が必要ですね……」


「あぁ、そうだな……」


 この場にいるメンバー全員が山本を旗印に新たな火種にならないか心配になってきた。

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