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この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》  作者: 有坂総一郎
皇紀2584年(1924年)

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虎ノ門事件

皇紀2584年(1924年)1月7日 帝都東京


 皇紀2583年12月27日……この日、帝都を揺るがす大事件は史実通りに発生したのであった。


 震災処理と日ソ停戦及び国境画定、鉄道政策の転換を主な議題とした臨時国会である第47回帝国議会が閉会し、続いて開催される通常国会の第48回帝国議会がこの日に貴族院にて開会する予定であった。


 帝国議会開会に際し、今上天皇の名代として摂政宮である皇太子裕仁親王は午前10時半過ぎに赤坂離宮を出発、霞が関にある仮議事堂へ向かっていたが、その途上、虎ノ門を通過中に無政府主義者によって狙撃されたのである。


 幸いにして史実通りに事態は推移し、東宮侍従長入江為守は軽傷を負ったが裕仁親王は無事であり、裕仁親王を乗せた御召自動車はそのまま仮議事堂へ向かい、その後、約1時間遅れではあるが予定通りに貴族院にて議会の開会式が行われた。


 開会式を終えた直後に総理大臣の原敬以下主要閣僚が揃って赤坂離宮へ参内し、事件発生に際して引責する旨を伝え、内閣総辞職とし、辞表を提出することとなった。


「此度の事件に内閣には落ち度などない……考え直すように……」


 裕仁親王は原にその様に伝え、その場で慰留すると同時に改めて進退を決することとして原以下の閣僚を下がらせることとした。


 犯人である難波大介はその場で警察よりも先に群衆によって取り押さえられ袋叩きにされ、警官が身柄を確保しようとした際に迂闊にも私服警官が飛び込んだために群衆は手柄を横取りされるかの様な反応を示し逆に私服警官が袋叩きに遭った。群衆の暴発に警察も流石にこれ以上は不味いと考え、群衆を難波から引き離し身柄を確保し、群衆の殴打から庇う羽目になったのであった。


 同時に憲兵隊も動き、裕仁親王の往復路周辺で徹底捜査を行い、不審な動きをしていた者たちを検挙、警察とは別に無政府主義者や社会主義者などへの捜査を開始したのである。


 翌28日、裕仁親王は元老を招集、原内閣の辞職方針を伝え、これを諮った。


「確かに警備上の問題など責任はあると考えますが、内閣総辞職までは必要ありますまい」


「震災復興、政策転換、次期総選挙と斯様な時期でありますから交代などあっては人心の混乱を招きます」


 西園寺公望公爵、松方正義公爵の2人の元老は総辞職の必要を認めず、遺留すべきと決まったのであるが……。


 翌29日、改めて参内した原に元老らの意見として総辞職の必要なしと伝えられたが……。


「人心が離れた結果の出来事である以上、臣の責任と感じますれば、何卒お認め下さいます様……」


 原の意志が固いことに裕仁親王は慰留を諦め、辞表を受け取ったのであった。


 年を明け、帝国議会が再開された1月7日、正式に原内閣の総辞職が受理され、後任に予備役海軍大将である山本権兵衛に大命降下し組閣が命じられた。


 山本は前内閣の閣僚をそのまま留任させ、原を無任所国務大臣として閣内に留め、前内閣の政策継続を議会冒頭で宣言した。


 閣僚名簿は以下の通りである。


 総理大臣 山本権兵衛 予備役海軍大将 伯爵

 大蔵大臣 高橋是清 子爵

 外務大臣 内田康哉 伯爵

 内務大臣 後藤新平 男爵

 陸軍大臣 山梨半造 陸軍大将

 海軍大臣 財部彪 海軍大将

 司法大臣 大木遠吉 伯爵

 文部大臣 中橋徳五郎

 農商務大臣 山本達雄 男爵

 逓信大臣 野田卯太郎

 鉄道大臣 仙石貢 

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