プロローグ
ハロウィンですね。
人外さんの季節ですね。
予報外れの通り雨。
傘の受けとめる雨音に耳を傾けながら急いで帰る人々とすれ違う。
行き交う人の中で何人もの人々が忙しく追い越していく。
私は足早なその背中を見送りながら普段の町とは違う日常を感じて、微笑みが溢れる。
少し前までは私もその中の1人だったのに今では自分だけが隔離された様な違う場所に取り残されている気分だ。
しかし、時間の流れを気にせずに気楽に生きるのも悪くない。
私はまた雨音に耳を澄ませ、独りごちる。
皆、何かに流され生きている。
ーーそうは思わないか?
何かに取り憑かれたかの様に忙しく行き交う人々を見て私は思う。
突然の雨に悪態を吐く、サラリーマン。
濡れない様に雨宿りをして携帯で誰かに突然の雨を愚痴るOL。
悪口を遮断しようと雨音も強くなる。
どうやら、本格的に本降りになった様だ。
土砂降りの中、足元を濡らして歩く。また、こういうのも悪くないな。
雨は何時もと違った日常を見せてくれる。
今日も退屈な日々の中ーー
ーー私は1人の仔猫と出会った。
それは既に猫の怪奇に堕ちていた西条すずねと言う少女との初めての出会いであった。
さて、私とすずねの出会いを語る前に少し私の事を話しておこう。
妖殺しである私のちょっとした話だ。