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レッツビギン! 闘技大会……なのか?

何とか今日中にあげることができた……(´▽`)

『お前ら! 盛り上がる準備はできてるかあああああああっ!!?』


 ――ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!


 魔法式拡声器によって、カトレア円形闘技場の全体にこだますテンションの高い女性特有のソプラノボイス。そして、それに大歓声でもって応える観客達。


『年々闘技の形が崩れている闘技大会が始まるぞぉおおおおおお!!』


 ――イェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


 空を切り裂かんばかりの実況少女の声と観客の叫びが相手となると、選手控室の防音仕様すら無意味と化すようだ。それでも聞こえてくる音量はそこまでではないため、耳を塞ぐ程ではない。


 そんな部屋をフェレイラの計らいにより、たった四人で独占しているカケル達。四人で使うには広すぎる控室で、闘技大会の開始を談笑しながら待っていた。


 大会概要については、予めフェレイラから聞かされたカケル達。そして今、実況少女が説明していることで、自分達の理解が正しいかを確認している。ちなみに、控室には専用のスピーカー型アーティファクトがあり、音量を一定までカットした実況の声がそこから発されている。


 カトレアで行われる闘技大会は、本来の闘技大会とは趣が違っている。どちらかと言えば、闘技大会よりも競技会という方が合っているだろう。


 大会参加総数は二千人超。大会は四日にわたって開催される。一日目と二日目は第一予選。A~Tの二十グループに分かれて行われ、各グループで指定された競技を勝ち抜いた上位三十人が三日目の第二予選へ勝ち抜ける。


 そして、第二予選は本戦出場を掛けた決勝トーナメント。ここは単純にトーナメント形式で参加者同士が戦って勝敗を決めていく。勝者は本戦出場が近付き、敗者はそこで大会終了。単純明快なルールである。第一予選で一・二位通過者は決勝でしか当たらないように調整される。所謂シード枠というものが与えられるということだ。


 第二予選の決勝戦まで勝ち進んだ二人が大会四日目最終日の本戦に出場できる。勿論、決勝戦は行われ、第二予選の順位もしっかりと決められる。最終戦の詳細は当日発表になっている。


『さあ、まもなく闘技大会の開幕です! 実況は私、アラケルが努めさせていただきます! 解説は、なんとビックリ! フルール皇国が誇る皇国五星魔導の一人、クロノス様です!』

『よろしくお願いするよ』


 解説席には黒髪の男。野生の獣を彷彿させるような鋭い目と雰囲気。であるにもかかわらず、筋肉質ということもなく、かと言って柔らかいわけでもない。引き締まった体付きをしていて無駄が全くない。野生的でありながら日本刀のような鋭さを併せ持つかなりのイケメンだった。


『そして、毎年恒例! 一日ごとに違うゲストをお呼びするこの実況席! 本日のゲストは、SSランク冒険者にして、ギルドカトレア支部のマスターであるミカエルさんに来ていただきました!』

『よろしくお願いします』

『それでは! これより闘技大会の始まりです!』


 大会一日目は第一予選前半。A~Jまでの十グループが競技を行う。競技は、魔法によって作られた《ゲームボード》と言われる異空間ですることになる。空間それぞれに全く異なる種目が用意され、一つとして同じものはないし、同じ競技が二度くることもない。ぶっつけ本番でやるしかないのだ。


 グループ分けは公開されていない。競技の直前、転移魔法で飛ばされた《ゲームボード》にいる参加者達が同じグループの選手ということになる。


『では早速。予選Aグループの皆さんを《ゲームボード》へ転移!!』


 そんなアラケルの掛け声を引き金に、カケルの足元に魔法陣が展開された。他の三人を見れば、誰の足元にも転移魔法陣は展開されていなかった。とりあえず、三日目までは戦うことなく済みそうでホッとするカケルであった。


「カケル。一番じゃなかったらデコピンよ」

「頑張ってね。カケルくん」

「グッドラック」

「おう」


 三者三様に発破を掛けられ、苦笑交じりにサムズアップするカケル。魔法陣の光が増し、夕姫達の姿すら見えなくなった直後、カケルの目の前には森が広がっていた。後ろを見れば、カケルと同じように転移してきたであろう選手の数々がいる。これがカケルと同じグループの参加者だろう。


 足元には参加者全員を囲い込むように展開されている魔法陣。淵に沿って見えない壁があるらしく、魔法陣の範囲外に出ることができないようだ。


『さあ、ただいま転移しましたAグループの皆さん。聞こえますか?』


 それらを確認し終わったと同時に、アラケルの声が響いてきた。


『聞こえない方は手を挙げて!』


 誰も挙げない。というより、そもそも聞こえてなければ手を挙げるという行為そのものができないと思うのはカケルだけだろうか。いや、他にもいるに違いない。


『申し訳ありません。間違えました。聞こえてる方は手を挙げて!』


 それには全員が手を挙げる。


『オーケーです! 皆さん聞こえているようですね! それでは! 競技を発表します!』


 空中に魔法陣が浮かび上がり、それが文字を形作っていく。数秒で完成したその文字をアラケルが読み上げる。


『競技は――ハンティングランカー!』


 ハンティングランカー。


 Aグループが転移した《ゲームボード》上には、冒険者ギルドが独自に設定した脅威度FからSSSの魔物が放たれている。とは言っても、空間の外には何ら影響がないため、危険度という面で心配することは特にない。


 脅威度のランクごとに層が分かれており、森の奥に行けば行く程魔物は強くなっていく。ただし、各ランク層ごとにノルマがあり、そのランク帯で十体以上の魔物を倒さなければ先には進めない。ノルマを達成せずに先へ行こうとしても、不可視の壁が進行を阻むように設定されている。


 選手達は、ノルマを達成しながら奥へと進んでいく。制限時間は一時間。一時間の間にどれだけ奥に進めたかによって順位が決められ、上位三十人が第一予選通過となる。もしくは、脱落者が多く、人数が三十人になった時も競技終了となる。


 だが、このルールだと順位決めは難しい。ランクは九つしかないのだから、必ず何人もの選手が同じランク帯にいることになるだろう。その時の順位の決め方は、討伐数だ。倒した魔物の数が多ければ多い程、上の順位になる可能性が高まる。ただし、あくまでも到達ランク層の方が優先される。


 一例として、Sランク到達者が五人、Aランク到達者が十五人、Bランク到達者が二十人いたとする。その場合、Sランク到達者とAランク到達者を合わせても三十人に達していないため、全員が予選通過となる。しかし、Bランク到達者が残り人数的に十人オーバーしている。


 その時、Bランク到達者の中で最も討伐数の多い十人が予選通過。それ以外の十人は敗退となる。


「意味合いはちょっと違うけど、質を取るか量を取るかって感じかしら?」

「多分そうだと思うよ」

「奥に進めるって思った奴は進んじまえばいいし、ムリだって判断すりゃノルマだけ達成しつつ討伐数を増やして、時間ギリギリで次のランク層に踏み込みゃいいってことだろ?」


 魔法式ディスプレイを見つつ出した夕姫達の答えはカケルと全く同じである。


『魔物一個体の討伐難易度が跳ね上がっていることもあり、Sランク層からは一体倒せば先に進むことができます』


 そして、絶対に外してはならない二つの原則が、この競技には存在する。


 一つ、他の選手に対して故意に攻撃を仕掛けることの禁止

 一つ、回復系及び強化系アイテムの使用禁止


 この二つを破ると、即刻脱落となる。そして、脱落条件はもう一つ。HP全損。要するに、現実で死ぬのと同じ状態になった時は脱落となり、復帰はできない。この場合、本当に死ぬわけではなく、不死結界を生成するアーティファクトの応用によって、空間外に弾き出される。


 見事に第一予選を通過した時は、カトレア円形闘技場のフィールド内に転送される。それが第二予選への出場権獲得の証明となる。ここに関しては、全ての競技で共通しているところだ。


『以上でハンティングランカーの説明を終わります! 質問はありますか?』


 そこでカケルが手を挙げる。


『どうぞ! 英雄様!』


 その一言で普通に質問する気を失くしてしまうが、どうしても訊かねばならないため、頑張って訊くカケルくん。


「例えばの話だが、魔物に対して発動した魔法とか投擲した武器とかが他の選手に当たった場合はどうなるんだ?」


 これはカケルにとっては重大な問題だ。何と言っても飛び道具を使うのだから、弾丸が遠くの選手を撃ち抜くとか、大爆発に他の選手を巻き込むとか、そういう可能性はゼロじゃない。この質問の答え如何では戦闘方法を完全に変えなくてはいけない。


『おぉ。いい質問ですね! こほん。この《ゲームボード》には審判権限があります。それにより、故意か否かを判断し、故意だった場合は空間外へ弾き出します。否だった場合は、そのまま競技を続行してもらって構いません。これは競技で定めたルールですので、反対意見は認められません』

「了解した」

『他に質問はありますか?』


 誰も手を挙げない。特に疑問はないようだ。


『では、他に質問もないようですので、競技を開始したいと思います。これから一分間のカウントが始まります。カウントがゼロになると、皆さんの足元にある魔法陣が消え、行動が可能となります。一分の間にできるだけ精神を統一して全力で競技に挑んでくださいね!』


 各々が自分なりの精神統一を行い、遂にテンカウントとなり、アラケルがカウントダウンを始める。


 ――残り七秒。カケルは大きく息を吸う。


 ――残り四秒。吸った息を全て吐き出す。


 ――残り一秒。戦闘モードに意識を切り替える。


『ゼロ! ハンティングランカー! スタートッ!!』


 選手達が一斉に飛び出すと同時に、本当の意味で闘技大会が幕を開けた。カケル達が狙うのはただ一つ。優勝のみだ。

ほぼ説明回みたいですみません。次回から戦闘入りまーす。

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