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Cross Load Online  作者: 書音フミ
3/5

003 驚天動地

〜〜



「おまっ、女になってない?」


そうタマキの容姿が女の子へと変わっていた。もともと声も容姿も中性的ではあったが、いったい何がどうなってるのか、カズヤは困惑してしまう。例え、中身があの珠希であっても、女の子は女の子なのだ。女の子に対して免疫0の和俊にとって、ただの苦行でしかない。


「これは、空が戻った時に一緒にこうなってました。それと先輩をギルマスにしたのは、ギルマスが女性だと、ギルメンを集めるときに面倒なことになったり、これから、レイドを組んでボスに挑む時に色眼鏡を使われたりしそうなので、そういう意味での面倒を避けるために先輩にお願いしました。あと私よりも他のギルドと交流ありそうですし。」


いつもと変わらないテンションで話すタマキを最初から女だったのかと錯覚してしまいそうで、本人は何も気にしてる風ではないのに自分が気にしてるのが馬鹿らしくなってくる。


「さてと、納得していただいたところで、本職の確認をしましょうか?多分先輩、私の職勘違いしてると思うので。私の本職は、ハイプリーストです。アークメイジとスナイパーの資格も持っていますが。」


ハイプリーストとはプリーストの上位職である。また、アークメイジはメイジの、スナイパーはアーチャーのそれだ。どのゲームにもあることだが、職や種族には強いと言われる人気のものと不遇、ドM等と言われる不人気のものがある。タマキの職の場合、アークメイジは前者であり、ハイプリースト、スナイパーは後者である。複数の職を持つプレイヤーは多いが、それは強職を複数することが大抵で、タマキのように不遇職を複数することは稀である。故に、カズヤは驚きを隠せない。さらにハイプリーストとは、魔法支援。アークメイジは魔法火力。スナイパーは、射撃火力。ここから分かる通り、タマキは近接職を一つも持っていないない。


「おま、もしかしなくても、俺と戦闘している間、スキル使ってなかったってのか!?‥いや、そんな当たり前だろみたいな顔でこっちを見るな。」


やれやれといった様子でタマキは言葉を紡いだ。


「私の実家が道場をやっているのはご存知ですよね?表向きは剣道の道場ですが、実際には、先輩なら耳にしたこともあるかもしれませんが、若葉神刀流という殺人術の流派なんです。スキルに頼ったプレイヤーには私の剣術は負けませんよ。」


そう、タマキは近接戦闘スキルを一切使わずにカズヤと戦闘をしていたのだ。若葉神刀流は歴史好きなら誰もが聞いたことのある名だ。この流派を擁する側が常に勝利してきた常勝無敗の集団であり、それ故、平和の世に忌み嫌われてきた。剣術だけでなく、ありとあらゆる殺人術を内包したその流派は平和に支配された現代でも連綿と受け継がれてきたとネットなどでは噂されていた。そんな流派に所属している人物が目の前にいて、しかも先ほどまで自分と模擬とはいえ戦闘をしていたとは夢にも思わない。


「‥俺今すごくね?」


「やっぱり先輩はおかしな人ですね。普通の人なら、この時点で2通りの反応をします。一つは、信じられないに基づく行動、一つは、事実を受け入れることと受け入れられないことに板挟みにされた行動です。」


言葉が回りくどすぎて全くわからない。


「チンパンジーよりも頭の悪い先輩でも分かるように説明すると、前者は『ありえない。そんな馬鹿げた話があるはずがない』といった現実逃避をしている場合で、後者は『こいつの振る舞いや表情、声には一切の淀みがない。こいつは嘘を言っていない。でも、噂でしか聞いたことない流派が本当に存在するのか?あれはお伽話、歴史を彩る虚実だと思っていたのに‥』と言ったように思考が綯い交ぜになってある種の混乱状態に陥っている場合です。」


こいつの言葉はいつも小難しい。お前は学者か何かかと問いたくなるほどだ。そもそも面倒くさがりの俺はそんなに頭使って日常を送りたくないのだ。


「理解できなくても、私は何も困らないので構わないのですけど。最後に、先輩にだけは伝えておきますが、私はVITとMENにSPを振っていません。それだけは知っておいてください。」


「はっ?えっ?タマキさん?とんでもない発言聞こえたけど、それまじ?」


「私が嘘ついたことありますか?」


相変わらず淡々と返答するタマキに畏怖の念すら覚える。VITはVitalityの略で物理防御力に、MENはMentalityの略で魔法防御力に、影響する。つまり防御0、攻撃100の火力全振り脳筋野郎ということになる。さらにタマキの種族はレア種族のヴァンピールで攻撃力や敏捷性が高くHPが極端に少ないのが特徴なのだ。ボスエネミーからの攻撃はおろかモブエネミーからの攻撃がクリティカルで当たっても死ぬだろう。それなのに、目の前の少女は平然とした顔でカズヤを見つめている。


「一応聞いておこう。今までどうやってソロでやっていったんだ?」


首を傾げながら少し思惟して、タマキは答える。


「先輩の考えている通り、私は攻撃を受けることができないので、まずは相手と自分の現状と武器を頭に入れて、相手の動きを見ながら、捌くか避けるかします。そろそろ外に出てみましょう。全てとは言えませんが、おそらくこの辺りのトップギルドのメンバーは、落ち着いたと思いますから。」


さっさと用意して外へ向かうタマキの背中をカズヤは慌てて追いかけた。




パラメータについて少し。種族や職については別途、閑話として投稿します。

戦闘用パラメータ

「SPであげられないもの」

HP:HitPoint 体力。種族によって異なる。

MP:ManaPoint マナ。体力と同じ。

「SPであげられるもの」

STR:Strength 物理攻撃力。

INT:Intelligence 魔法攻撃力。

VIT:Vitality 物理防御力。

MEN:Mentality 魔法防御力。

AGI:Agility 素早さ、回避率、逃走成功率。

TEC:Technic 命中率。

LUK:Luck 全ての確率計算に影響する。


非戦闘用パラメータ

調理

裁縫

彫金

細工

栽培

錬金







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