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「問題ない」

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございますm(_ _)m

楠たすく、風邪っぴきであります。

皆さま体調にはくれぐれもお気をtゲッホゲホゲホ

 まともに動けない三機を残してパルチザンが先行する。ドックから出ていったストライダーを逃がすまいと、パルチザンも屋外へ飛び出した。


 直後、前方から迫る複数の熱源反応に対して、パルチザンのコクピットに警告音が響く。左手を伸ばし、機関銃をミサイルに向けて放つ。


 追尾性能がそれほど高くはないものらしく、ユウキが撃ち漏らしたミサイルのうち何発かはドックや周りの建物に命中した。


「くっ、めちゃくちゃじゃないか」


 昨日から遭遇してきたバグズが工場や施設への攻撃を極力避けていたのに対し、ストライダーは周囲への被害などお構いなしであるかにように小型ミサイルをばら撒いていく。


 出来る限りミサイルを撃ち落とすようにしながら追いかけると、やがてストライダーがまた別の建物へ逃げ込んだ。


 後を追ってその建物に入ると、中ではストライダーが待ち構えていた。様々な機材が並ぶ大型の工場で、パルチザンが通るだけのスペースも十分ある。


「誰も見てないし、いいよな……」


 何故かストライダーから只ならぬ気配を感じて、ユウキが左腕のペダルを踏み込んだ。約二日ぶりにホイールが収納され、パルチザンの全高がわずかに低くなる。


 パルチザンはストライダーに向かって駆け出し、一気に距離を詰めにかかる。まるで既に故障してしまったかのように思えるほど動かないストライダー。


 しかし、マギアマグナムを向けユウキが引き金に指をかけたその瞬間、パルチザンとストライダーの間にコックローチが立ちはだかった。


 一機だけではない。それまで何の反応もなかったレーダーを、赤い点が埋め尽くす。次から次へとコックローチやローカスタが現れて、あっという間にパルチザンを取り囲んだ。


「ちっ、誘い込まれた!?」


 退避ようにも、三六〇度バグズに囲まれてしまっているので逃げ場がない。すぐさまマギアマグナムと機関銃で応戦したのだが、装填してあった通常の実弾では、装甲の厚いローカスタを一撃で墜とすことができない。


 一体を撃破してもその後に別の機体が控えていて、強引に押し切ることもできない状況に追い込まれてしまった。


「ぐぅっ!」


 連続して二度の衝撃がコクピットを襲い、コクピットの中でユウキとウィスが激しく揺さぶられる。二機のコックローチに左右から取り付かれて、パルチザンは身動きが取れないよう押さえつけられてしまった。


『面白イ機体ダ』

「喋った!?」

『黙ッテ()ルノニ飽キチマッタダケサ』


 ユウキとウィスが乗っているパルチザン以外は無人機しかない空間で、声が聞こえた。


 機械を通してくぐもった音声に加工されているせいで元の声は分からないが、それは間違いない言葉だった。


『機体ダケ、アレバイイ。遺言ナラ聞イテヤルゾ』

「お前は誰だ! なんでバグズに人間が乗ってる!」

『フッ、秘密ダ』


 鼻を鳴らして声の主が笑った。バグズの群れが分かれ、その間をストライダーがゆっくりとこちらへ近づいてくる。


 ユウキはどうにか逃れようともがいてみたのだが、完全に押さえつけられていて動くことが出来ない。


『悪イナ。塵ニ還リナ』


 ストライダーは狙いを定めるように切っ先をパルチザンの胸元に近付けてから、左腕のブレードを大きく引いた。


 どうにかしようにもパルチザンは銃口の向きすら動かすことが出来ず、焦るユウキの額に汗が一筋流れる。


「ーーあああぁぁぁぁっ!」


 少女の叫びが大気を震わせた。同じコクピットにいるユウキですら、一瞬誰のものかと疑うほどの声量。


 その直後、ストライダーの左腕が真下から跳ね上げられた。続いて、パルチザンの右腕を捕まえていたコックローチが突然体勢を崩し、その拘束が解かれる。


 一瞬の隙を逃さずにユウキはマギアマグナムを左側のコックローチに突きつけ、至近距離からの一発で動力部を吹き飛ばした。


「飛ぶぞ!」


 反転しつつテールバインダーを垂直に立て、スラスターを最大出力で吹かす。


 シールドを前面に掲げながら、手薄になっていた後方に向かって急加速して突っ込む。コックローチを弾き飛ばし、ローカスタごと工場の壁に激突した。


「痛っ……バイパー、動かせたんだな」

「うん、動いた」


 伸びたワイヤーを巻き取っていくと、最後にブレード状の先端が腰の射出口に返ってきた。


 ローカスタは壁に押し付けられた衝撃で壊れたらしく、パルチザンが離れると壁にもたれながらずるずると崩れ落ちた。


「もうコツは掴めたか?」

「問題ない。小規模だけど、障壁の術を張ることも可能」


 バイパーが鎌首をもたげた毒蛇のようにゆらゆらと動いている。その先端のブレードは徐々に熱を帯びていき、カーマインのヒートエッジと同じ鮮やかな赤色になった。


「高性能だな。じゃあ、撃ち漏らした敵は任せる」

「分かった」


 マギアマグナムから弾倉を外し、マギアクリスタルの詰まったマガジンに取り換える。じりじりと近づいてくるバグズに向けて光弾を放つ。


 先頭のローカスタとそのすぐ後ろにいたコックローチが光弾に貫かれて爆発を起こした。パルチザンが爆炎の中を突き抜けて包囲網を脱する。


 すれ違いざまにマギアマグナムと機関銃で左右のバグズを一機ずつ片付けつつ、パルチザンがストライダーに詰め寄った。

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