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「なら俺は、普通じゃない」

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

いやぁ、同じアニメなのにこうも作画が違うというのは……

そしてやはり、俺はハーレムものが苦手だ。

ご意見ご感想、ブクマに評価、「そういうのはアニメ化してから言え」ってツッコミから「ハーレムするほど女の子キャラ出てねぇだろ」というツッコミまで、何でもお待ちしております!

 このチームの進行速度が段違いになっている主な要因がアレンだった。工場の立ち並ぶ入り組んだ地形を利用して、上手にバグズを巻いては奇襲をかける。


 ミサイルを装備した個体は見当たらず、影へ逃げ込んだカーマインを建物ごと撃つ、などということもしない。極力設備に損害を出さないようプログラムされているのか、アレンはそこを突いて次々にバグズを葬っていく。


「おたくのアタッカーさんは、いつもあんな感じなのか?」

「あんな感じって言えばあんな感じだけどよ、あそこまでじゃねぇな」

「ですね」


 話をしながらも、ユウキは横道から飛び出してきたローカスタに反応してトリガーを引いた。今はドミニクが後衛にまわり、サビーノとユウキで中衛をしている。


 戦闘音を聞きつけて集まってきたバグズのうち、アレンの後方に現れたものはユウキの担当し、空中のモスやメイフライはサビーノが撃ち落とす。回り込んできたものはドミニクが対処することになっていた。


「あの、アレンさん。前衛変わりますよ? ずっと気を張りっぱなしではーー」

「問題ない」


 また一機、コックローチを撃破したアレンが短く返事する。撃たせないような工夫もしているが、絶えず砲火に晒されているアレンの疲労度は想像以上だろう。


 カーマインの装甲も銃弾がかすめて塗装が剥がれた箇所がいくつかあり、左腕のシールドには大小さまざまな弾痕がついている。


「ああいうタイプには、それじゃ弱いぜ。もっとグッといかないとな。アレン、ユウキとポジションを変更だ」

「こちらは問題なーー」

「リーダー命令だ」

「……了解」


 ゆるゆると速度を落としながら、カーマインはオベディーのところまで下がってきた。入れ替わってパルチザンが先行し、シールドと実弾のマガジンが挿入してあるマギアマグナムを構え直した。


「現状は会社付きかもしれないが、君だって元はデバッカーだろ? もっと肩の力を抜いてやればいいじゃないか」


 真横を走るカーマインに、サビーノは秘匿回線で話しかける。


「……さっき、デバッカーにとって一番は自分の命だと言ったな」

「デバッカーは、いや、普通は誰でもそういうものだろ?」

「なら俺は、普通じゃない」


 これ以上語ることはないとでも言わんばかりに、アレンは一方的に通信を切った。ヒートエッジを収納し、腰の左側のハードポイントに取り付けてあったマシンガンを構え、周囲を警戒する。


「オレ、彼を怒らせてしまったかな」

「心配すんな。ちょっと前に気掛かりな話を聞いちまってな、焦ってんのさ。ここ数日ずっとあんなだし、アンタが気に病むことないぜ」


 ドミニクとサビーノがそんな会話をしていることなど露知らず、ユウキは目の前のローカスタをシールドで殴りつける。


 敵がよろめいた隙に、マギアマグナムの照準を合わせ鉛玉を撃ち出した。光弾であれば自分のプラーナを消費するだけで済むが、実弾は一発一発に金がかかる。


 普段以上に狙いをしっかりと合わせていたユウキは、ちらりと後部シートに目をやった。元々余計な話はしないウィスだが、いつもより静かにしている。


 ドミニクが何気なくウィスに話を振るまで、サビーノがパルチザンを一人乗りだと勘違いするほどだった。


「ボーっとしてると危ないぜ、シンドウ」


 気がつくと上空にモス型がいて、パルチザンに銃口を向けている。赤みがかった装甲のモスには六本脚の他にジェットを複数装備してあり、バグズの中で唯一、単独での飛行が可能な機体だった。


 サビーノが撃った銃弾はパルチザンをかすめて飛んでいき、モスの胴体、ジェットの一つを正確に撃ち抜く。燃料に引火したのか、モスは空中で大爆発を起こし、その残骸が周囲の工場に降り注いだ。


「あ、ありがとうございます、フランコさん」

「なに、チームを組んでる者同士サポートし合うのは当然さ。だが、死んじまったらさすがに助けられないぜ。考え事は無事に帰ってからにしような」

「すみません、気をつけます」


 軽く頭を振ってからグリップを握り直す。今は敵がどこから現れるか分からない状況で、集中を切らせばそれは死に直結する。そのことを改めて意識し、ユウキは周囲の警戒を強めた。





「あ〜、やっと終わったぜ。こんなに働いたの、いつぶりだか思い出せねぇな」


 コクピットから降りてきたドミニクが首や肩をぐるぐると回しながら言う。口に出したりはしないが、長時間プラーナエクステンションを使用していたユウキの顔にも疲労の色が濃く出ている。


「そりゃあ、お前が日頃から上手いこと手を抜きながら働いてるからだろうが」

「あれ、バレてた?」

「気付かれてたら、全然『上手く』はないですよね」


 日もだいぶ傾いた頃、作戦を終えた三機はとある会社へとやってきた。建物自体に明かりはついていないのだが、敷地内に建てられた巨大な倉庫の中ではロジャーが待っていた。


「あのタイミングで参加を決めて、よくこんな場所を押さえられましたね」

「ここの社長がアリス(ボス)と知り合いらしいぞ。工業地区が占拠されてからは会社を別の街に移してて、頼んだら貸してくれたんだとよ」


 ロジャーの説明を聞きながら天井を仰ぎ見る。倉庫はかなり広く、デザイアが二機、パルチザン、さらに整備のための機材を収容してもまだ余裕がある。


「もうちょっとしたら俺たちはサビーノと飯いくことになってるんだけど、おやっさんも行こうぜ。故障箇所なんて無いし、整備はラボに戻ってからでもいいんだろ?」

「確かにざっと見た感じじゃ問題なさそうだが、消耗してる部品の交換はしとかねぇとな。お前らだって明日があるんだ、ほどほどにして今夜はしっかり休めよ」

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