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異世界放浪機甲兵 継接のパルチザン  作者: 楠たすく
狡猾! 謀略の京都
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「そんな遅い攻撃じゃボクを捕まえられないよ!」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

雨が多くて洗濯物が乾きにくいですねぇ……

まぁだからなんだって話なんですが(笑)

ご意見ご感想、ブクマに評価、アタックからソフランまで、何でもお待ちしております!

「あと一分で着く」


 眼下に見えていた都心の高層ビル群が住宅街に取って代わられる。そこからさらに進み、もうほとんど山の中と言っても過言ではない所まで来ると、ようやく見慣れた大野エネルギー研究所の建物が肉眼でも確認できた。


「光学迷彩装置はまだ使えるな?」


 謎の男から通信が入った。ここから見ると下方になるのだが、国連軍のヘリコプターが三機、研究所の周りや上空を飛んでいるのが見える。


 ヘリコプターは警戒しているだけなようで、まだジルは来ていないのだと、竜成と薫はホッと息をついた。


「大丈夫です。エネルギー残量も問題ありません」

「十秒後に投下する。離れたらすぐに姿を消して、そのまま一番ゲートに降りろ」

「了解。ここまで運んでくださってありがとうございました」

「なぁ、あんたは戦わないのか? このロボットだって、まさか運搬用ってわけじゃないんだろ?」

「……投下」


 竜成の質問に答えることなく通信は切れた。パルチザンは重力に引かれるまま落下していたが、投下されて数秒後にテールバインダーを展開。


 速度と位置を調整して、指示通り一番ゲートに着地した。無事に着いたことを双葉博士に伝えるとゲートが動き始め、完全に閉じきったことを確認してからユウキは光学迷彩装置のスイッチを切った。


 一番ゲートはゴウダイナーが出撃するための通路なので、パルチザンが通るには十分過ぎるほどに広い。


 左のペダルを踏み込んでホイールを出し、滑るように走りながら奥へと進んでいく。やがて格納庫に到着すると静かに(あるじ)を待つゴウダイナーの足下に双葉博士が立っていた。


「せっかくの修学旅行に水を差してしまってすまんの」

「ま、仕方ねぇよ。メタルリザードが出たら俺とゴウダイナーの出番だ。それより博士ーー」


 制服のまま双葉博士からヘルメットを受け取った竜成は、数歩進んでからくるりと振り返る。


「後で聞かせてもらうぜ。あのロボットも含めて、今回のこと全部な」

「分かっておる。気をつけるんじゃぞ」

「絶対に怪我とかしないでね。一七時までに旅館へ戻らないとすっごく怒られるんだから、早く終わらせてよ」

「へいへい。行ってくるぜ」


 竜成は手をひらひらと振りながらエレベーターに向かった。エレベーターはゴウダイナーの頭部まで直通になっていて、そこからコクピットに乗り込むことができる。


「ウィス、僕らも出ようか。二機でやった方が早い」

「おっとユウキさん、ここは俺とゴウダイナーだけでやらせてくれ」


 ユウキが昇降機に手をかけた時、竜成の声が格納庫に響く。出撃準備は双葉博士の手で済ませてあり、竜成はコクピットに入るとすぐにゴウダイナーをゲートに向かって歩かせた。


「俺たちを騙してくれたこと、汚ねぇ手を使って散々走らせてくれたこと、なによりも修学旅行を台無しにしてくれたこと。この借りは利子つきで、耳揃えてきっちり返してもらうぜ!」

「……と言ってますが、どうしますか博士?」

「大丈夫だとは思うんじゃが、念のため待機しておいてもらえるかの」

「了解です」


 ゴウダイナーがゲートから出た後で再びパルチザンに乗り込むと、ユウキとウィスは中継される外の様子をモニターで確認する。


 ゴウダイナーが現れるとすぐにラプトルキングも動き出した。連合軍のヘリコプターは少し離れたところへ退避し、そこで滞空したまま成り行きを見守っていた。


「ちっ、まさかボクが出遅れるなんて……」

「よぉジル、さっきは世話になったな」


 このラプトルキングも金色の装甲で、ランスを装備している点まで先ほどのものと全くの同じだった。ラプトルキングはゴウダイナーよりもわずかに小さい。


 相対して見比べてみると、ラプトルキングは華奢(きゃしゃ)な印象を受ける。ゴウダイナーは左手を前に構えをとったが、ラプトルキングは距離をとって周囲を警戒しているようだった。


「他のロボットはいないのか。あの翼竜と、小さいやつはどうしたんだよ」

「どっちも研究所(うち)のロボットじゃないからな。もうどっか行っちまったぜ」

「このボクと一対一で戦おうなんて、竜成はバカなんだね!」


 森の向こうにいたラプトルキングが、だんと地面を蹴って飛び上がった。ランスを構え、勢いそのままにゴウダイナーに襲いかかる。振り下ろされたランスを、ゴウダイナーは両腕を交差させて受け止めた。


「ダイノ、ビィーーッム!」


 ゴウダイナーの胸部にある恐竜の両目から黄色く輝くビームが放たれる。しかし、ラプトルキングは素早く横に跳び退()いてビームを躱した。


 ビームを出し続けたまま向きを変えて逃げるラプトルキングを追いかけるも、ラプトルキングを捉えることが出来ない。


「そんな遅い攻撃じゃボクを捕まえられないよ!」


 ビームが止むと一転、距離を詰めたラプトルキングの連続突きがゴウダイナーを襲う。竜成はジルの攻撃を読み、左手の甲でランスを弾いてその切っ尖を逸らす。


「今の攻撃を(さば)ききるなんて、竜成もやるね」

「別に大したことはない」


 ゴウダイナーのコクピットの中で、拳を固めて右腕を引き、左手を前に突き出すように構えた竜成がさらりと答えた。


「ふんっ、強がりだね!」


 ラプトルキングがゴウダイナーに突っ込んできた。ジルは攻撃の手をさらに増やしたが、その全てを竜成はあしらっていく。

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