「皆さん塞ぎましたね? 大丈夫ですね?」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
基本的に週一更新なんですが、日間に載ったのが嬉しくて連続投稿です。
……単純なやつめ[°∀°]クワッ
ご意見ご感想に誤字脱字報告、ブクマに評価、メロン味からブルーハワイまで、何でもお待ちしてますm(_ _)m
でも一番好きなのは宇治金時w
武器のセーフティが解除されていることをチェックした時、足元のスタッフが発進の合図を出した。
モニターの向こうのアレンと視線を合わせる。アレンが小さく頷いたのを見て、ドミニクも同じように頷き返す。
ペダルを踏み込むと機体がわずかな駆動音をたてて前進する。ヘリオス社のIDと入れ替わりに格納庫を出ると、ID訓練場が歓声で揺れた。
カーマインとセルリアンは障害物代わりとしてほぼ廃棄品と化したアイメンドールが配置された訓練場中央を避け、その外周部を観客に向かって腕を振りながらゆっくりと走り始める。
「あの赤い、カーマインってアレンさんが乗っているんですよね」
「そうだよ。どうかしたのかい?」
「いえ、ちょっと意外だったもので」
待機室ではユウキたちがモニター越しにカーマインとセルリアンを見守っている。
ドミニクはともかく、観客へ機体を見せつけるようにアピールしているアレンの姿は、ユウキが彼に抱いていた印象とズレがあった。
「たしかにあいつの好みじゃねぇだろうな。ま、そこは仕事ってことで、大人の対応っつうわけだ」
「いち早くデザイアを乗り回せるんだ、これくらいは我慢してもらわないとね」
「あれ? 名前ってカーマインとセルリアンですよね?」
「それはいわゆる開発コードさ。正式名称はデザイアだ。さぁ、始まるよ!」
そう言ってアリスが瞳を輝かせて笑う。ちょうどその時、二機は会場をぐるりと一周して格納庫の出入り口付近まで戻ってきて立ち止まった。
セルリアンが左右のハードポイントから銃を抜き、アピールするように頭部の近くまで二丁を掲げてみせた。
会場がしんとした一瞬を見逃さず、ドミニクはペダルを一気に踏み込んだ。高速で空回りするホイールと地面を滑る音が会場に響き、摩擦で焼けたホイールからパッと煙が上がる。
次の瞬間、急加速したセルリアンが障害物の間を縫うように走り始めた。両手に持った二丁の銃から放たれたペイント弾はアイメンドールの頭部に次々と命中していく。
セルリアンが訓練場の反対側まで辿り着いた時には、全てのアイメンドールの頭部が青く染められていた。
一際大きな歓声が上がる中、カーマインが右腕を振ると、前腕部に装備された籠手状のパーツからブレードが伸びた。
ダーニングに乗っている時にはロングソードのようなブレードを使っていたが、カーマインのブレードは籠手と一体化したショートソードのような形状をしている。
展開して数秒後、ブレードの色がカーマインの装甲よりも更に明るい赤へと変わる。
歓声に混じり始めたざわめきは、カーマインが走り出すのと同時に消えた。疾駆するカーマインはすれ違いざまに障害物の腕を、またあるものはその首を斬り落としていく。
セルリアンと同じルートをセルリアンよりも障害物に接近しながら辿っているというのに、そのスピードはセルリアンを凌駕していた。
「アレンさん、速いですね!」
「もちろん彼の腕と運動性特化のチューニングによるところが大きいけど、それだけじゃないのさ」
全ての目標を斬り捨てたカーマインは、セルリアンの右隣に並んでピタリと止まった。会場の盛り上がりが室内まで響いてきて、上機嫌なアリスは満足げな表情を浮かべている。
「ドミニクには射撃の正確さをアピールするためにスピード落とすよう指示してあったからな。ま、対比効果ってやつだ」
「え、あ、そうか、作戦だったんですね!」
やや無理矢理に笑いながら少しずり落ちた眼鏡を上げる。スピードを落としていたとはいうものの、ユウキはセルリアンの速さは先にデモンストレーションしていた機体と大差なかったように思えた。
シュミレーターのデータでドミニクの操縦も見ていたユウキはドミニクがかなり本気でやっていたようにも感じられたが、そのことについては黙っていようと心に決めた。
「まぁセルリアンの見せ場はこれからだからね」
アリスが自信たっぷりに言うので、ユウキも再び画面に目を戻す。セルリアンは銃を腰のハードポイントに戻し、今度は背面に装備されていた大型のキャノン砲を腰だめに構えていた。
収納してあった砲身を展開するとその長さはセルリアンの全長とあまり変わらないほどになり、キャノン砲がアイメンドールの装備にしては破格の大きさであることが見てとれる。
従来の重火器装備と比べても口径が一回りほど大きく、観客たちも驚いているいるようだった。
「あーテステス。会場の皆様、耳をお塞ぎください。繰り返します、急ぎ耳をお塞ぎください。五、四……」
セルリアンの拡声機からドミニクの声が響いた。脚部から突き出たスパイクが地面に刺さり、代わりにホイールが収納される。
突然始まったカウントダウンに観客が慌てて両手を耳に押し当てる中、セルリアンの腰から二本のアンカーが伸びて機体を固定した。
「一……皆さん塞ぎましたね? 大丈夫ですね? では、〇!」
轟音と共に腹の奥にズンと響くような衝撃が訓練場を襲う。放たれた一五〇ミリの砲弾はセルリアンの左前方に立っていた障害物二機の胴体を貫通、三機目は直撃の衝撃で後ろに吹き飛ばされた。
空の薬莢を排出しつつ砲身の向きを変え、今度は正面の障害物に照準を合わせ、トリガーを引く。
二度の砲撃で複数の障害物を完全な鉄塊へ変えたセルリアンは、すぐにアンカーとスパイクを収納して幾分かすっきりとした訓練場中央部まで走り、まだ残っている障害物へと二丁の銃を向ける。
ペイント弾の集中攻撃で目標を真っ青に染めたセルリアンが銃をハードポイントに戻すと、会場は今日一番の歓声に包まれた。
ゴウダイナー
全長二〇メートル超のスーパーロボット。
メインカラーは黒、胴体の約半分を覆うほど巨大な肉食恐竜の頭部の骨格のモデルが胸についている。これと手足の一部は白い。
ダイノ粒子を含んだ特殊な金属「ダイノニウム合金」を全身の装甲に用いている。その硬さは、通常の実弾では傷すら付かない。
動力はダイノ粒子から取れるダイノエナジー。その消費量も膨大なため、エネルギー生産施設としての役割をもつ大野エネルギー研究所を離れることは難しい。
開発者は竜成の父親である大野誠博士。既に亡くなっているうえに研究データがあまり残っておらず、その性能の全ては双葉博士でも把握しきれていない。
両手両足にリングを付けたパイロットの実際の動きをそのままトレースして動いているため、操縦自体は難しくない。コクピットはダイノフライヤーとして分離可能。
ダイノエナジーを一般家庭で使用する分には問題ないが、ゴウダイナーのような高出力を求める場合はそれなりの適性が必要。
まず思いついたのが「ゴウダイナー」という名前と、恐竜の骨のモデルが胸にあること。イメージがつきにくいという方はアバレンオーで検索を。ドリルは男の浪漫です。
武装やら何やらを見ていくとマジ〇ガー色が強過ぎる気がするが、それでも作者はゲッ〇ーが好き。
……長ぇなオイ。