「待ってって、言ってるでしょ!」
ここまで読んでくださり、ありがとうございますm(_ _)m
ふと「ハチミツとクローバー」を読み返し始めたのですが、止まりませんね。
「恋をすると女の子は綺麗になるっていうけど……ダメだな男は。かっこ悪くなるばかり」とかね、真山と理花さんが好きすぎてもう!
後書きにキャラ紹介というか設定(半分ボケ)が載っています。こちらも見ていただければ幸いです。
「今すぐ轟さんを戻せ! 俺が出る!」
竜成がオペレーターに怒鳴り散らしている氷室の襟首を掴みかかった。その行動に、騒然としていた司令室が一瞬静まりかえる。
「貴様、誰に対してそんな口を聞いている!」
「そんなもん知るか! 俺からすりゃあ、あんたは無駄に偉そうなただのおっさんだ!」
二人が数秒睨み合った後、我に返った兵士が竜成を氷室から引き離した。カメラの存在を思い出したのか、氷室は舌打ちをしながら軍服を整えた。
「民間人は黙っていてもらおうか。我ら国連軍はテロリストなどに屈しない。どのような状況にも立ち向かい、平和を勝ち取るため戦うのだ!」
「あぁそうかよ。お望み通り、黙ってやるよ」
兵士たちの手を振りほどいて竜成は司令室を飛び出し、双葉博士の視線に気付いた薫も竜成の後を追った。
二人がいなくなると再び氷室の怒号が飛び、オペレーターたちは各国連軍基地へ戦闘機の緊急出撃を要請していく。
そんな中、部屋の隅で目立たないようにした双葉博士は、こっそりと白衣から小型のインカムを取り出した。
「竜成! ねぇ、ちょっと待ってよ竜成……待ってって、言ってるでしょ!」
「痛ぇな! 何すんだよ!」
後頭部を平手で叩かれて、ようやく竜成は立ち止まって薫の方を向いた。
「私の言うこと聞かないからよ。どこに行くつもりなの」
「どこって、轟さんを助けにいくに決まってるだろ」
再び歩き出そうとする竜成に、薫はため息をつきながら素早く竜成の上着の裾を捕まえる。
「ちょっと落ち着いてよ。いま出ていったってゴウダイナーに乗り込めるわけーーいえ、そこは右です。あとは直進すれば三番ゲートに着きます。扉はこっちで開けますから、着いたら少し待っていてください」
「誰と話してんだよ」
「シンドウさん。これから囮に出てくれるって」
竜成を半ば強引に引っ張って歩く薫は、エレベーターに乗り込むと操作室へ向かうようにボタンを押していく。
「何言ってんだよ! あんな小さいロボットで出たってやられるだけだろ」
「そっか、竜成は知らないんだ。昨日はふてくされて研究所に顔出さなかったもんね」
「別にふてくされてたわけじゃ! ……知らないって、何のことだよ」
「その話は歩きながらしてあげる。竜成は六番に行って」
「六番ってことは、アレを使うのか」
ユウキたちが研究所へ入るために使った秘密の作業場に直結している七番ゲート、そこから麓側に少し下った所に六番ゲートがある。
そこにはゴウダイナーのコクピットを兼ねた小型飛行機『ダイノフライヤー』の予備機が収納されている。
「私が合図したらフライヤーを発進させて。いい、絶対に一人で突っ走ったりしないでね。私たちが必ず竜成をゴウダイナーに乗せるから。分かった?」
「分かった、分かったよ。もう無理はしないから、な」
「よろしい。……気をつけてね」
「おう! そっちは任せたぜ」
先ほどまでの険しさが鳴りを潜めた竜成は、薫に向かって親指を立ててみせながら操作室を出て行った。
一方、操作室に残った薫は真剣な表情に変わり、立ち上げたコンピュータにすごい速さで入力を始めた。
「双葉さん、こちらパルチザン。ポイントに到着、いつでも出られるよ」
ほんの数時間前に改修作業を全て終わらせたパルチザンに乗って、ユウキとウィスは薄暗いトンネルをずっと進んできた。
ようやく行き止まりにたどり着くと、そびえ立つアスファルトの壁を見上げる。数十m上方には閉じている金属製のシャッターがある。
「分かりました、すぐにゲートを開きます。確認ですが、ギスティロへの発言には注意してくださいね」
「あくまで僕たちと研究所は無関係、だよね」
「今日は前回と同じ手は使えませんから、長くは誤魔化せません。急ぎポイントに移動してください」
「了解」
二日前、突然現れた謎のロボットとそこから顔を出したパイロットの報告を受けた双葉博士は、直感的にこのことを国連軍、正確には氷室中将に知られない方がいいと考えた。
ゴウダイナーの格納庫で氷室中将と揉めている最中だった双葉博士から情報を隠匿するよう指示されて、薫は研究所のシステムに入り込んでパルチザンが映りそうなカメラを戦闘の衝撃による動作不良に見せかけて切断していた。
しかし今日は国連軍のスタッフが司令室に詰めているため、同じことをすればすぐに細工が発見されてしまう。
「カウント、三、二、一」
薫のカウントを聞きながら、ユウキはパルチザンを軽く屈ませる。ゼロのタイミングで薫がエンターキーを押すと、司令室内の明かりや電子機器の画面が全て消えた。
「な、何だ!」
「電力途絶! メインバッテリーに異常があったようです!」
「落ち着くんじゃ! じき予備電源に切り替わる!」
暗闇と化し騒然とする司令室で、双葉博士が大声を張り上げる。博士の言う通り、司令室はものの十数秒で再び明るくなった。
国連軍のスタッフたちはコンピュータを急いで再起動させて、ゴウダイナーの出力を安定させようとする作業を再開させる。
一方トンネル内では、カウント終了と同時にパルチザンの周囲の床が急上昇し、それが止まると今度はシャッターの方が開いていく。
薫が散布させたレーダー妨害効果のある煙幕で視界はあまり良くなかったが、一日ぶりに外へ出たユウキは陽の光の明るさに思わず一瞬目を細めた。パルチザンが外に出るとすぐにゲートが地面の中へ消えた。
アレン・ウルフグラム
元軍人のデバッカー。28歳。178cm。
銃撃戦を想定されたアイメンドール戦において、並外れた動体視力と類稀な操縦技術を駆使してバグズ相手に近接戦闘を仕掛ける珍しいパイロット。
口数は多くないものの口下手なだけで無口というわけではなく、戦闘時などは必要事項はきちんと言葉にする。無愛想な印象をもたれることも多い(別に間違ってはいない)が、下の者(今作では主にユウキとウィス)への面倒見は良い。
彼が何故クロスレンジにこだわるのか、それを知る者はごく僅かだが、理由の一つは収入が不安定なデバッカー業をやっていく上で弾薬にかかる費用を削るためらしい。非常に倹約家。「倹約家」と書いて『ケチ』と読むとか読まないとか。
無口、接近戦メイン、部下思いで赤い機体と、伊達や酔狂で角をつけたりしない某アサルト1を彷彿とさせるキャラクター設定になってしまったが、気にしてはいけない。堅実派なので分の悪い賭けは嫌いです。
今作では「異世界Aの主要メンバーその1」へと降格してしまったが、作者がかつてモ〇ゲーで書いていた小説では、片腕を失ってやさぐれていたものの根は熱血で勝気な「主人公」だった。当時は赤色超巨星の名を冠した機体に乗っていたことを考えると、作者が十数年でほとんど成長していないことを伺い知ることができる。




