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「不吉なこと言わないでくださいよ」

やっとこさ第一章終了です。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


最後になんちゃって次回予告つけてみました。

タイトルを出すだけ系、ストーリーのあらすじを語る系、いくつかセリフを並べる系。

次回予告のスタイルは様々ですが、個人的にはキャラが好き勝手喋るタイプが好きです。

 右腕のマギアクリスタルにはダーニングの余った装甲板で作った簡単な覆いが取り付けられていて、これ以上割れても腕から落ちないようにされている。


 背中にはアレンが使っていたブレードがマウントされていて、左手には昨日と同様にシールドを装備していた。


 右手に持っているアイメンドール用のライフルを改造した銃は、取り回しやすさを考慮して銃身を少し短くしてある。


「すごいです! 一晩でここまで仕上げてくださるなんて!」

「ふっふっふ、うちのスタッフは優秀だからね。このマガジンには左腕についていたマギアクリスタルの欠片が入っているんだ。ウィスちゃんの作業が終われば術を使えるようになるよ」


 アリスの解説を聞いているユウキは、なんとも歯切れが悪そうにしている。


「いや、でも、術の威力とマギアクリスタルの大きさは比例するんです。割れたクリスタルで光弾(バレット)を撃っても、術を複数展開する手間とプラーナを食う割に大した威力は見込めないかと……」

「光弾を収束させる術式が出来上がれば、実戦レベルの威力は得られる」

「マギアマグナム使用時の手間についても心配ご無用。右手のグリップに新しく付けたトリガーを引くと全ての術が発動するようにセッティングしておいたから、最初に撃つ時以外は詠唱も不要なのさ」


 二人の論理的な解説に、ユウキは申し訳なさそうに頭を下げた。


「し、失礼しました」

「うむ、分かればよろしい。今はとりあえず実弾のマガジンを取り付けてあるから、術式が完成するまではそれで我慢してくれ」

「何から何まで、本当にありがとうございます」

「お礼なんていいよ。昨日はいろいろ手伝ってもらったし、ボクも楽しんでたから」


 深々と頭を下げるユウキに、手をヒラヒラとさせながらアリスは笑顔を向ける。


「ほれ坊主、持ってけ」

「これは……?」


 手渡された紙袋を除くと、銀色の物体がゴロゴロといくつも入っていた。


「非常食だ。軍用のレーションだから味は期待するんじゃねぇぞ」

「さっすがおやっさん、気が効くぜ」

「茶化すんじゃねぇ」


 わざとらしく目をそらして自分の無精ひげをなでるロジャーの目の下には、まだうっすらと(くま)が残っている。


「ちなみに俺たちは何も用意してないからな」

「威張るな」

「ウィスちゃんと仲良くしろよ。次に会った時のために、土産、考えとくぜ」

「不吉なこと言わないでくださいよ。僕たちはなるべく早くテルスに戻らないといけないんですから」


 困ったように苦笑するユウキを見て、ドミニクは冗談だってと言って笑い飛ばす。


「シンドウ、常にあらゆる状況を想定するにしろ」

「状況を想定、ですか?」

「お前は突発的な事態の方に意識を引かれがちだ。優先事項に集中しないパイロットは死ぬぞ」

「き、気を付けます」


 緊張して答えるユウキを見て、ロジャーがアレンの頭を軽く叩く。


「ったく、お前はもうちょっと言葉を選べ。心配なら心配してるって言わねぇと分からねぇだろうが」

「……気を付ける」

「もう時間」


 先にパルチザンに乗り込んでいたウィスがコクピットから顔を出して再び昇降機を降ろす。コクピットに上がったユウキは、ウィスと並んで再び頭を下げた。


「ウィスちゃん、ユーキくんのこと、ちゃんとフォローしてあげるんだよ!」

「了解した」


 コクピットが閉じる直前、手を振るアリスに応えてウィスも小さく手を動かした。破壊された機体搬入口への応急処置としてかけられていたシートを整備スタッフがどかしてくれる。


 空は小さな雲がいくつか浮かんでいるだけの快晴。いまだ荒野に転がっているバグズの残骸にさえ目を瞑れば、昨日ここで戦闘があったとは思えないほどに穏やかな空気が流れている。


 ラボから出て進むこと数歩、急にパルチザンの周囲の景色がグニャリと歪む。次の瞬間には、パルチザンの姿は跡形もなく消えていた。


「そういや、ユーキたちの世界の世界連盟が異世界を攻める計画を立ててるって話、あっただろ」


 パルチザンが消えた虚空を眺めながら、ドミニクがポツリと深刻そうな口ぶりで呟いた。


「確かに、そんなことも言っていたね」

「その『異世界』って、ここかもしれないのか」

「可能性は無くもないが……たぶん違ぇだろうな」


 同じように外を見上げていたロジャーが自身のひげを撫でながらさらりと答える。そうだねぇ、とこちらも緊張感のない口調でゆるく相づちを打ったアリスは、白衣をひるがえしてラボへと向かった。


「え、なに? 二人して何を知ってんの!」

「その話はまた今度してあげよう。さぁガンガン働いて今日中に修理を終わらせるよ! アレンとドミニクは規約と契約書に目を通しておいてね。ざっと五、六百ページはあるから」

「マジかよ、冗談だよな、おぉーい!」


 最後まで宙を眺めていたアレンもやがて(きびす)を返し、賑やかに戻っていく三人の後を追いかけていった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「あ〜キツかったぜ。何なんだあの文字数! 規約って無駄に長いよなぁ。どうせまともに読むやつなんていねぇってのによ」

「俺は全部読んだぞ」

「げ、マジか……」

「六十二七条の第二項について不明な点があった。アリス、後で確認してくれ」

「真面目か! 不明といえば、次回タイトルにも知らないワードが入ってたな。何だっけな、ゴウなんとか……」

「ゴウダイナーだよ。聞くところによると、動力に特殊なエネルギーが使用されていて、全長はなんと二〇メートルオーバー。いわゆるスーパー系ってやつだね」

「ダーニングの倍以上じゃねぇか! そんなID(アイメンドール)、どこが開発してるんだ? ソール重工か? まさか連盟軍じゃないよな」

「何言ってんだいドミニク。ゴウダイナーはウィスちゃんたちが転移した別の世界の機体だよ」

「別? ってことは、次は俺たちの出番ないのか!?」

「そりゃ当然ないだろうな。次回、継接(つぎはぎ)のパルチザン『選定! ゴウダイナーに選ばれし者』。さて、俺も整備マニュアルの続き読むとすっか」

「くっ、おやっさんが一番おいしいとこ持っていきやがった……」

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