85/181
第六章 scene10 風
ひとりになって、ある日。
昼の光。
人の声。
コーヒーの香り。
ドアが鳴り、入ってきた青年。
爽やかで。
優しそうで。
柔らかい立ち方で。
――横顔。
サーヤの呼吸が止まる。
(修……)
喉が勝手に動く。
「……修?」
青年、振り返る。
「え?」
全然知らない顔。
でも、似てる。
目の奥の光が。
サーヤ、笑う。
でも震えてる。
「…あ…ごめんなさい。
ちょっと、知り合いに似てたから。」
青年はきょとんとして――
ふっと優しく笑う。
「――幸せな人だったんですね、その人」
胸に刺さる。
でも、温かい。
青年
「ここ、すごく落ち着きますね。
一人でやってるんですか?」
サーヤ
「……うん。“いまは”ね」
青年は椅子に座る。
少し子どもみたいに足を揺らして。
「じゃあ、通います。ここはいい時間を過ごせそうだ。……許可、もらえます?」
サーヤ、
笑う。
完全に今の世界の笑顔で。
「――どうぞ。いつでもいらしてください」
青年は常連になり、イケメンムーブをかましてサーヤに懐く。
だがサーヤの心の声。
いや、修ポジションでそれやられると、母性の方向に情が出るだけなんだけど?キュンじゃない。むしろ――ひくわぁ。どうしよう。これは恋愛ポジなのかしら
日常は続く?




