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第六章 プロローグ

爆音

叫び声

崩れる建物

割れるガラス


レンズ越しの世界を見る


火の色

泣いている女の人

走る兵士

倒れる男


【撮れ】


頭のどこかが命じる


止まるな。考えるな


 これが“真実”だ

 記録しろ

 この地獄を存在させろ


シャッターが落ちる


カシャッ

カシャッ

カシャ…


涙を流す資格はない


そこにいるのは――

“人間”じゃない


ただの、“カメラ”



視界の端に――

倒れる、小さな影


泥と血の中で、必死に手を伸ばす少年


その前に――

立つ兵士


銃口が向く

時間が歪む


やめろ、声が出ない


やめろ、足が動かない


やめてくれ、ただ――


シャッターだけが落ちた


カシャ


乾いた音

取り返しのつかない証拠


次の瞬間、銃声

少年の体が、崩れ落ちる


雨が降り出す


火が消える


音が戻る


悲鳴

怒号

泣き声


世界が戻る


その時、手が震えた


カメラを抱えたまま、膝が落ちる

顔が上げられない

胸の奥に刺さる


俺の下に赤い雨が流れていく


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