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第四章 scene14 熊男変身

森を抜け、視界が開ける。


遠くに石壁。

煙突の白い煙。

午前の街の喧騒が風に運ばれてくる。


サーヤ

「わぁ……!やっと文明ッ!」


レオン

「助かったな……マジで」


熊男は黙って歩く。

背中に熊。もう完全に 規格外の存在感。


街門の兵士たち。

一瞬固まる。


「……」

「…………」

「………………(熊!?)」



門をくぐった瞬間。

サーヤ、熊男の前に立ちはだかる。


サーヤ

「ストップ!!」


熊男

「……?」


サーヤ

「売る気があるなら!!まずは!!!

“身なり”どうにかしよ!!!」


レオン

「…お前、ほんと子どもかよ…」



髭、ざく。

髪、整える。

上着、借りる。

顔、洗う。


熊男、鏡を見る。


サーヤ

「…………」


レオン

「…………」


 


サーヤ

「……………………え、イケメンじゃん」


レオン

「は???誰???(真顔)」


通りの女の人A

「見てあの人……」

通りの娘B

「素敵……」


熊男

「……」


耳が少し赤い。


レオン(ニヤつく)

(不器用イケメン完成)


 

市場の奥の肉商会。

見るからに“金の匂い”の男。


商人

「熊?冗談言うなよ」


レオン、にやり。


「加工済みで持ってきてやったぜ。傷は少ねぇ。

山菜と脂の状態見りゃ、冬越しの上物ってわかるだろ」


商人の目が変わる。


捌かれた肉を見る。触る。脂を指に取る。


商人

「…………」



商人

「……いくら欲しい?」


レオン

「相場の――倍」


商人

「ふざけ……」


レオン

「このサイズ、この状態、山で事故らず持って降りてる。“買える機会”がまず珍しい。買ってくれんなら、次も最初にここに来るよ」


沈黙。


周囲の商人が

(おい、本物だぞ)


ざわ……


商人、舌打ち一つ。


「……半分は金。

残りは保存加工と売り場の権利、だ」


レオン

「成立、でいいな?」


熊男

「あぁ、それでいい」

ほんの少し、目が柔らかくなる。


サーヤ

「売れたぁぁあああ!!!

レオン、すごい!初めて尊敬した!」

 

レオン「いや、初めてかよ?」



商会を出て、通りに出ると


「…………おい」


低い声。

鋭い視線。


鎧の足音。

振り返ると――


騎士団の男。


年は若くない。

でも、熊男を見る目は――


“懐かしさ”

“戸惑い”

“怒り”


全部入り。


騎士

「……やっぱりお前か」


周囲、ざわ……


サーヤ

(うわ……)

(絶対なんかあるやつ……!)


レオン

(……やべぇ空気)


熊男は一度、目を伏せ。

静かに顔を上げる。


「……久しぶりだな」


騎士

「“逃げた騎士”が……

こんなところで生きてたとはな」


空気、凍る。


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