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第四章 scene2 好敵手

重く張り詰めていた空気を――

最初に破ったのは、父親の笑い声だった。


「……はっ、はははは!」

娘も、母も、侍女も、料理人も一瞬きょとん。

父は肩を揺らして笑い、そして――サーヤを見る。


「面白い娘だな、君は」


レオン

(助かった…か…?)


父は椅子に深く腰掛け直し、腕を組んだ。

「私は“成金”だ。上に生まれたわけじゃない。

這い上がった。だから、新しい価値観を叩きつけにくるやつは嫌いじゃない」


サーヤ、少し驚く。


父はリリアを見る。

「だがな、リリア」


「“わがまま”なら許さん。“選択”なら、証明しろ」


リリアの胸が高鳴る。


父は指を立てる。

「いいか、――勝負だ」


父は宣言した。

「屋敷の人間を招いた“ガーデンパーティー”を開く」


「客は貴族ではない。この屋敷を支える者たちだ。

料理人、侍女、庭師、門番、皆だ」


屋敷中がどよめいた。

「彼らが『良い』『誇れる』『外にも見せたい』と思ったなら――本番のパーティーも任せよう」


静まる空気。

父の目が笑う。

「それが、お前の“最初の一歩”だ」


リリア、目に涙を溜めて頭を下げる。

「……ありがとう、お父様!」


父は照れたように顔を逸らした。

(嬉しいんだろうな、この人ズルいわ)


その時。背後から、静かな声。

「――では、こちら側の代表は……私でしょうな」


堂々と歩み出る、屋敷料理長。

白髪混じりの落ち着いた瞳。

しかし口元は笑っている。


料理長

「申し遅れました。屋敷料理長、

カインでございます」


サーヤ、頭を下げる。

「不躾な申し出、すみませんでした」


カインは首を振る。

「いいえ。私はむしろ……嬉しいのですよ」


驚くサーヤ。


カインはリリアを見た。


「――お嬢様が、初めて声をあげてご希望を仰った」

「それは、この屋敷にとって誇るべき成長です」


リリア、目を丸くする。

侍女たちも、こっそり涙ぐんでいる。


「だが勝負は勝負だ。手加減はするな、カイン」


カイン、ゆるりと微笑む。

「もちろんですとも」


その夜。

準備のために厨房を借りる許可が下りた。


サーヤとレオンが厨房に入ると――

料理人全員が、ざっとこちらを見た。


(うわ……緊張する)


が。

みんな、にこっと笑った。


若手料理人

「よろしく頼むよ、サーヤさん!」

年配料理人

「お嬢様が笑顔の勝負だ。負ける気はないが、喧嘩する気もないさ」


サーヤ

「……みんな……」


カイン

「我々は敵ではありません。お嬢さまの笑顔を守りたい仲間なのですよ。“どちらが未来を照らす料理か”を競うだけ」


サーヤ、胸の奥が熱くなる。

(大丈夫だ。ここは戦いだけど、誰も傷つけない場所だ)


レオンはレオンで、料理人と肩を組まれていた。


「お前は何ができる?」

「食べる。飲む。盛り上げる」

「最高の仕事だな!」



カイン

「では――互いに“らしさ”を出しましょう」


「こちらは“格式”を守り、美しく整えた王道のガーデンパーティー料理」


「あなた達は――?」


サーヤ


「“手に取れる形で”

“誰でも笑顔になれる”お祭りごはん!」


レオン

「それでいてちゃんと“貴族の屋敷の誇り”になるやつな」


カイン

「ふむ……」

嬉しそうに笑う。


リリア

「わたしもやるわ!これは“私のパーティー”だもの!」


サーヤ

「もちろん!」


レオン

「じゃあ俺は……」


サーヤ

「あなたは“楽しませる係”。

料理以外の――ワクワク、お願い」


レオンはにやっと笑う。


「任せろ。

パーティは“心が踊らなきゃ意味がねぇ”」


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