第三章 scene3 居酒屋
案内された先は、祭りの喧騒から少し外れた通りにある居酒屋だった。
暖簾は下がっているけど、灯りはまだ温かい。
木の扉の向こうは、油と肉と酒の匂いが心地よく染みついた場所。
男――店主は、扉を押し開ける。
「ほら、入んな」
中は静かだった。
夜は戦場になるであろう空間。
今だけは嵐の前の静けさみたいに落ち着いている。
レオン
「うわ……いい店だな……」
サーヤ(胸の奥で)
(ちゃんと“料理の店”だ……大事にされてる空気)
店主が椅子をひっくり返して並べる。
「今日は祭り初日だからな。人は来ないから、安心して、まぁ座れよ」
木の卓に、紙と炭筆。サーヤは自然と前のめりになる。
「――三日間、全部勝ちに行く」
静かな空間に、その言葉が落ちる。
サーヤ「まず大前提!!売り切るのは“今日”だけじゃない。“3日間全部”売り切ること!」
レオン
「お、おう……」
店主
「いい顔するなぁ、お嬢ちゃん」
サーヤは紙に線を引く。
⸻
◆時間配分
▼ 今(祭り初日夜から明け方)
休む!
▼ 翌朝
夜明け後、早朝から準備開始
市場でまとめ買い〜分量調整〜借り仕込み
一旦休んで
▼ 昼前〜
本仕込みと翌日に備えて冷蔵管理
→ 二日目の祭り参戦!
レオン
「俺の相棒すご――」
サーヤ
「はいはいはい。無理して今日のうちにやるのは違う。“準備不足の勢い”なんて、ただの事故。
ちゃんと勝ち続けたいんだ。これから酒飲むとかないからね!」
店主は静かに笑う。
「……いい覚悟だ。寝床はそこ。荷物は棚。
鍵は預ける」
レオン
「……いいのか?」
店主は鼻で笑った。
「明日、ちゃんとうめぇもん、作ってくれりゃいい」
サーヤの胸が、じん、と温かくなる。
荷物を置いて。必要なことだけ済ませて。
横になる。
レオン
「サーヤ。なんだか……楽しいな」
サーヤは天井を見上げ、少し笑う。
「……うん」
2人はすぐに眠りにおちた。




