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告白

僕は、君が嫌いだ。


いつも人の顔色ばかり見て行動して、自分の意思なんてなくて。

自分から何かをしようとはせず、面倒なことからすぐ逃げる。

誰かに任せて、その人がミスをすれば、指摘だけして、自分は何も背負わない。

代案も出さず、ただ「違う」とだけ言う。


人に頼りたいくせに、うまく話せないから勝手に決めて。

でも、それを否定されると、不機嫌になる。

かと思えば、何も言ってくれないと、不安になる。


……何がしたいんだ、君は。


優しいって言われることもあるけど、それは違う。

誰かがミスしても怒らないのは、期待してないだけだろ。

「そういうもんだ」って、自分に言い聞かせて、距離を取ってるだけ。

本当は、誰にも興味がないくせに。


だから君の「大丈夫?」には、心がこもってない。

自分の中の“誰か”に言わされてるだけだ。


誰かといる時、君はいつも聞き役に回っているようで、

実は、自分の話をしたくてたまらない。

けど、話す番が来ると「仕方なく話すよ」みたいな顔で言う。

話したかったなら、もっと楽しそうに話せよ。


女の子とデートしていた時もそう。

本当にその子が好きだったのか?

それとも、“女の子と一緒にいる自分”が好きだっただけじゃないのか?


だから告白までに時間がかかって、

結局、何も始まらないまま疎遠になったんだろ。

それなのに、そのことを人に話して、慰められようとする。

……全部、自分が悪いのに。


君には、何に対しても意欲がない。

それを指摘されても、「わかるよね」で済ませる。

自分でも把握してるくせに、何も変えようとしない。

……そりゃそうか。

意欲って、意思のある人間にしか湧かないものだから。


そんな君なのに、なぜか周りには恵まれていて。

君を慕ってくれる人もいて。

君も、その空間に“なんとなく”心地よさを感じている。

けれど――

君自身は、なぜ好かれているのかわかっていない。


そして、わからないまま、それを人に直接聞く。

「なんで自分のこと、好きでいてくれるの?」って。

そんなことを聞いて、相手が口にした理由を聞いて、

今度はその言葉に、安心して、優越感に浸る。


君が欲しいのは、“ありのままの自分”を好いてくれる人。

だから、自分を変えようとしない。

話せない自分も、理解してくれることを前提にしてる。

――そんな甘えが、まだ通じると思ってる。


君が、このまま世の中で生きていける未来なんて、

僕にはもう、見えない。


君は、たまに「いつ死んでもいい」なんてほざくけど、

本当はそんなこと、少しも思ってないんだろ。


ただ、なんとなく生きるのが面倒なだけだ。

考えて動くのがだるいだけだ。

――死んだ後の周囲の反応を、見てみたいだけなんだろ?


君には、どこまでも“承認欲求”が付きまとってる。

けど、それをむき出しにしないようにしている。

だから、「君ってこういう人だよね」って言葉に、

異様なほど嬉しそうに食いつく。


わかってほしいのは、よくわかる。

でも、人に見せなければ理解されるわけがない。

……そんなこと、わかりきっているくせに、

なんで、そうしないんだ。


……また、か。


やっぱり、ここでもまた――

「ありのままの自分を、察してくれ」ってか。


……ほんとに僕は、どうしようもない。


それでも誰かは言ってくれる。


「君はいい人だ」

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