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会議

オークスギルド3階大会議室。


トライセン率いる一行はミランダと対峙していた。


「お帰り。随分早かったな。時間いっぱいたっぷり使うと思っていたんだがな・・・」


妖艶な笑みを浮かべるミランダ。

足を組み直し、トライセンに視線を向ける。


「確認は取れましたので、早々に戻ってきました。それに此度の探索と先にある調査を考えれば、早めに休みたいところでしたので・・・」


トライセンは多少疲れを感じていた。

そして、カーフェらはさらに疲れを感じていることを気遣っての発言であった。


ミランダはさらに深く笑みを浮かべる。


「ほお、お前の実力をもってしても今回の遺跡探索は困難を極めたようだな・・・」


「ええ、まあ・・・」


トライセンが言いよどむのに気づくミランダ。


「何があった」


トライセンは今回の探索を一つ一つ細かく説明する。

遺跡の実情。

カーフェが扉を開いたこと。

遺跡とカーフェとの関係性。

ラスボス的な魔物について。

内部に隠されていた魔刀について。

それらの話をミランダは黙って聞いていた。


「なるほど、そこの娘・・・カーフェと言ったな。お前には特別な何かがあるのかもしれないな」


「カーフェの件については・・・」


「分かっている。本部には話さない。話してしまえば、どんな扱いをされるか分かったものではないからな」


ミランダはカーフェに目を向ける。

ミランダとカーフェの目が合う。

じーっとにらみ合いが続き、やがて、ミランダが目を背ける。


「だが、お前が我々の不利益を及ぼすようなことがあれば、すぐに本部に報告されてもらう」


「感謝いたします」


トライセンがカーフェに代わって頭を下げる。


「魔刀の件だが、調査したいといったところだが実際のところ、そこの子がいないと入れないのか」


「試してみないとわかりませんが、おそらく出来ないと思われます」


トライセンは脱出後、扉を調べたことを明かす。


「で、お前はどう思った?魔刀を見て」


「禍々しい・・・と感じました。それ以外は特に・・・」


「他はどう感じた」


ミランダは一行に目を向ける。

一行はそれぞれ考えるそぶりを見せる。

そして遠慮がちにミランダに目を向ける。


「どうした?皆一緒なのか?」


一行は頷くことで同意を示す。


「お前は?」


ミランダは目を向ける。


「私は・・・」


カーフェは、ミランダの目力に押され、一歩後退る。

しかし、リリイがカーフェに寄り添うことでカーフェの目に力が戻る。


「私も禍々しさ・・・というか不気味さを感じました。なので、触れることはしませんでしたがその・・・なんとなく懐かしい感じがしました」


「懐かしい感じ・・・」


ミランダはしばし考えるそぶりを見せる。


「まあいい。実際に見ないと分からないからな。遺跡はしばらく探索禁止にする。ダンジョンごとだ」


「そのほうが宜しいかと思われます。何が起きるか我々にも分かりませんので・・・」


話がいったん途切れると、ミランダの隣にいた初老の男性が口を開く。


「話はそれぐらいにして次の件に移りましょう。彼らもお疲れのようですし・・・」


「そうだったな。で、トレストの冒険者の見極めはどうだ?その顔を見る限り聞く必要はなさそうだが・・・」


トライセンは笑みを浮かべていた。

トライセンだけではなく、レオーネやエルザノーツらも笑みを浮かべている。


「我々ほどではありませんが、さすがトレストのトップ冒険者と言ったところですね。実力もさることながら連携力もさすがの一言ですね」


「お前たちはどうだ?レオーネ、エルザノーツ」


「右に同じです」


「私もだ」


レオーネとエルザノーツも同意する。


「で、調査隊の増員についてだが・・・」


「増員は必要ないと思われます。今回の探索で大分打ち解けましたし、増員しすぎも良くありません。増員した結果、連携がおざなりになるのもまずいでしょう。今のままがベストかと思われます」


「そうか。分かった。なら、調査隊の到着までゆっくりしているといい。幸い、ここは一大都市だ。時間潰しにはちょうどいいだろ」


「分かりました。では失礼します」


トライセンは頭を下げた後、一行を引き連れて会議室を後にした。






大会議室、会議後。

トライセンが去ったのち、しばらく経ったころ。


「セバス。至急カーフェの素性と人間関係、生い立ちを事細かく調べろ」


「かしこまりました」


セバスと呼ばれた初老の男性は軽く頭を下げ、すぐに会議室を後にした。


「さて、どうなることやら・・・」


ミランダもまた会議室を後にした。






「さて、時間が来るまで解散としようか」


「あら、このまま解散では寂しいではありませんか。観光したいのなら私たちが案内しますよ」


どうやらイーリアはカーフェらに付き合う気があるようだ。

しかし、カーフェらも今は疲れている。

イーリアもそう言ったものの内心疲れているだろう。

トコトン気が利く女性のようだ。


「ありがとう。けど、今日は休ませてほしい。出来れば明日、付き合ってほしい」


カーフェは今日はもう遅いからという意味も込めて、夕暮れの空に目を向ける。


イーリアも意図に気づいたのか笑みを浮かべる。


「そうですね。今日はゆっくり休んでまた明日会いましょう」


この日は一旦解散の流れになった。






翌日、早い時間に目を覚ましたカーフェらは時間通りにギルド前に集まる。

すでに到着していたイーリア一行とあいさつを交わし、さっそく移動する。


観光に付き合ってくれるのは、イーリア、トライセン、レオーネ、ランザ、セレスティア、ミニヴィアの6人であった。

他の者は、柄じゃないだの、会話が苦手だの、眠いだので不参加となった。


一行は観光を始めた。

美味しい甘味処、博物館、美術館などを楽しむことが出来た。


その翌日も、その翌々日も別々で好きなように観光したが充実した楽しい日々を送ることが出来た。


この数日で、カーフェとリリイはイーリア、レオーネ、アンネローゼ、セレスティア、ミニヴィアと交代交代で行動を共にしていた。

レアードはガイア、エルザノーツと毎晩飲みに行っていた。

カインはトライセン、レイブン、エイドスと馬が合うようだ。


そして、調査隊が到着した。

ギルド前にカーフェらが集まると、街道を馬進みこちらに近づいてくる一行を確認できる。

辺りを見回すと、トライセンらだけではなく、ミランダも待ち構えていた。


白いマントで覆われた彼らはまさしく神聖なる騎士団といった雰囲気を醸し出していた。


その数4人。

その先頭に立つ男性は馬から降りると一直線にミランダの元へに向かう。

その男性はミランダの前に立つと、口を開く。


「わざわざ迎えていただき感謝頂きます。ミランダ領主。いや、この場ではミランダギルド長と呼んだほうがよろしいかな」


「どっちでもいい。つーか相変わらず固いなお前は」


「私は騎士団として参上いたしましたので、騎士である以上、礼儀は重んじるべきかと・・・」


「ああ、分かった分かった。もういい、早く行け」


男性は頭を下げると、今度はトライセンの元へ向かった。


どうやらミランダと騎士団の男性は知り合いのようだ。

どんな関係なのか非常に気になる。

後で聞いてみようとカーフェは感じた。


男性はトライセンの前に立つ。


「お久しぶりです。オークスのSランクパーティー”勇敢なる者”のリーダー、トライセン。ご機嫌はいかがかな?」


「久しぶりだね。ロズワルド。相変わらずだね君は」


「先ほども言いましたが、私は騎士として参上いたしましたので。それで、共に行動を共にする有志はどちらに?」


「これから紹介するよ」


「なら、移動しながら話しましょう」


一行は出発の準備を開始した。

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