やり残し
ゴブリンロードを倒した翌日、カーフェはご依頼版のとある依頼に目を向けていた。
急募求む
大事な幼馴染のために香水を作りたい。
協力してください!!
依頼内容:深淵の森にしか存在しない香素花の採取
依頼料:食事
コメント:お願いします!!
こんなの受ける人いないでしょ・・・・・・。
カーフェは呆れながらもその依頼書を手に受付へ向かう。
「依頼人に会える??」
「連絡してみよう」
担当受付員は裏手に向かう。
数分後、一人の女性を連れて戻ってくる。
「彼女が依頼主だ。ちょうどここにいた」
「は、初めまして、レイラと申します。よろしくおねがいします」
「とりあえず話がしたい。受けるかどうかは返答次第よ」
「わ、わかりました」
レイラは落胆の表情を見せるが、カーフェは気にせず、テーブルに案内する。
カーフェはレイラを観察する。
色白の肌で、綺麗で痛んでいない髪。体の線は細いが、瘦せすぎているわけではない。
間違いなく美人の類と言えるだろう。
「私の名前はカーフェ。早速だけど、あの依頼は本気なの??」
「は、はい。お金はないですけど、どうしてもプレゼントしたくて・・・」
レイラはどんどん視線を下げる。
無理難題を押し付けている自覚はあるようだ。
「こんな依頼を行ける人ははっきり言っていないわよ」
「そう・・・ですよね。では私はどうすれば・・・」
「どうして、香素花なの??」
「幼馴染・・・ライトっていうんですけど、彼の好きな香りなんです。いままで好きだとかほとんど教えてくれなかった彼が唯一教えてくれたものだからどうしても、プレゼントしたくて・・・」
「まあ、大切な人に最高のプレゼントを渡したいって気持ちは理解できるけれど・・・」
気持ちだけで依頼を受けられる人はこの街にはいないだろう。
他の花ならともかく、この花は深淵にしか咲いていない。
しかも、この花の咲いている場所も知らない者がほとんどだろう。
命がけの依頼にしては、あまりに依頼料が足りなすぎる。
「やっぱり、そうですよね・・・すみません、依頼を取り下げます」
レイラは受付に向かう。
涙を浮かべ、横を通り過ぎるレイラに、カーフェは思わず手を掴んで引き留めてしまう。
「えっと・・・まだ話は終わっていないわよ。座りなさい」
「でも・・・」
「良いから、私に依頼を受けてほしかったら座りなさい」
「え??」
レイラは再び椅子に座る。
そしてカーフェに目を向ける。
「条件を付け加えてくれるなら引き受けてもいいわ」
「ほ、ほんとですか!!」
レイラはテーブルを叩いて詰め寄る。
「良いから座りなさい。条件は、一か月間、私たちと食卓を共にすること。あなた、料理を依頼料に出すぐらいだから自信はあるのよね??」
「は、はい。将来は料理家を志すくらいには!!」
「そう、ならちょうどいいわ。一か月間、私の家族と一緒に料理を作る。その為に、住み込みをしなさい」
「す、住み込み・・・ですか」
「そうよ。朝昼夜の料理担当。うちは大家族だから大変なのよ。手伝ってくれる??」
「わ、分かりました。私でよければ!!」
そうして、話し合いは終わった。
受付で個人依頼という形に変え、受領してもらう。
立ち入り禁止のはずだが、何故か通ってしまった。
すぐさま依頼開始だ。
しかし、その前にやることがある。
カーフェはまず、とある武器屋に寄った。
「あ、おはようございます!!」
そこにいたのは”4つ子の魂”の面々であった。
昨日の時点で、彼女らは武器屋に行く事をカーフェに話していたのだ。
役に立てなかったことを悔やみ、新しい武器を新調しに行くとのこと。
「これから空いてるかしら?」
「新しい弓の試し打ちをしたいのですが・・・」
「ならちょうどいいわ。いい的があるの。着いてくる??」
「良いんですか!ありがとうございます!」
仲間ゲット!
次は孤児院。つまり自宅だ。
「レアード、カイン、リリイ姉はいる?」
「あらお帰りなさい」
「リリイ姉。みんないる?」
「ええいるわよ。どうかしたの?」
「依頼を手伝ってほしいの」
「良いわよ」
「おい!勝手に了承してんじゃねえよ!」
「妹直々のお願いなのよ。行くに決まってるじゃない。早く支度してきなさい!」
リリイはレアードを引っ張っていった。
仲間ゲット!
仲間を集ったカーフェはさっそく深淵の森にやってきた。
「おい・・・・・・」
「なに?」
「何で深淵に来てんだよ!?」
「依頼のためよ」
「初めに言えよ!!」
「そうですよ!私たちも何も聞いてないですよ」
レアードとファルに説教されるカーフェ。
ここでようやく依頼内容を説明する。
「つまり、深淵にしか咲かない花を摘むためにはカーフェ一人では太刀打ちできない敵がいるってことでいいのかな?」
「ええ、香素花はとある場所に咲いてあるの。私は見たことあるから場所もわかってる。けど、問題はそこは厄介な魔物の縄張りだってこと」
「その魔物は?」
「キラークイーンよ」
カインは顎に手を当て、整理する。
「なるほど。キラークイーンが相手だというのなら短期で挑むのは得策じゃないな。けど、だったらなおさら、もっと前に言うべきだったよ。聞かなかった僕らも悪いけどさ」
「うっ。ごめんなさい」
「とはいえ、もう来ちまったんだ。策を考えようぜ」
「一つ考えた策があるのだけど・・・・・・」
カーフェは一つの策を説明する。
「あまり上手くいくとは思えないけど、やる価値はあるかもな」
そう言い残して、深淵の森に足を踏み入れた。
例の花の群生地にやってきたカーフェ達。
木の陰に隠れ、群生地を観察する。
香素花。
魔素を大量に取り込むことで色が変化した花。
魔素の濃度によって色を変えるため、たくさんの種類がある。
そして、その花に群がる多数のキラービー達。
「あった。香素花。みんな見て!あの赤黒い花がそうよ」
「おぞましい色ね。流石深淵の森に咲く花ってところかしら」
「よし、先ずはキラービーの群れをおびき寄せるとこからだな」
レアードは、群生地を丸々覆うほどの岩の囲いを作り出し、閉じ込める。
囲いの外にキラービーは、警戒し辺りを警戒。
数匹のキラービーは、報告のために巣に戻っていった。
「よし、キラービーが大勢押し寄せてくる前に数を減らすぞ」
囲いを解いて、リリイとファル達アーチャーは、キラービーに矢を放ち仕留めていく。
すべてのキラービーを仕留めた頃、先頭のキラービーが大量のキラービーを引き連れて戻ってきた。
「レアード!!」
「ああ、分かってらあ!!」
レアードは大量のキラービーを岩石の囲いに閉じ込める。
「よしっ!!」
あぶれたキラービーを仕留め、カーフェ達は移動を開始する。
目的地はもちろんキラークイーンの巣である。
道中、小規模の囲いをいくつも作りキラービーを閉じ込める。
「見えた!!」
視界が開けたカーフェ達が目にしたのは、巨大な木とそれに吊るされている強大な巣であった。
「でっか!!」
レアードは驚く。
当然だ。この巣は通常の数倍以上はある。
「どんどん来るよ気を付けて」
巣に目を向けると、巣から数えきれないほどのキラービーが一斉に現れ、襲い掛かってきた。
「みんな行くわよ!」
まず動いたのはファル率いる”4つ子の魂”の四姉妹。
それぞれが矢を構え、放つ。
矢はキラービーを貫き、そのままの速度で次の矢に向かっていった。
「流石魔道弓!」
四姉妹は同じ弓を4つ購入していた。
この弓は放つ瞬間に螺旋の回転を掛けることができる魔道弓で速度、貫通力を飛躍的に高めるものである。
しかし、リスクもあり速度、威力を高めるために反動が大きくなることと、その反動の影響で、命中率が大きく下がることである。
だが”4つ子の魂”の四姉妹はスキル”必中”を持っている。
この魔道弓のリスクはほとんど軽減される。
ファル達は次々に弓を放ち、キラービーに風穴を開けていく。
”必中”があるため、一度に複数の矢を放つこともお手の物。
あっという間に、キラービーの屍の山を築いていった。
「すうううううううううっごく楽!!!」
フォルはすごく気に入ったそぶりを見せている。
他の四姉妹も態度には見せていないが手ごたえを感じているのか、笑みが漏れている。
しかし、キラービーの数は減らない。
やはりキリがない。
カーフェは、作戦通り行動を開始した。
カーフェ、レアード、カインはそれぞれ束になり、敵陣へ突っ込んでいく。
密集しているため、集中砲火を食らうはずだが、リリイと四姉妹に阻まれる。
流石にリリイたちだけでは数が足りなくなるので、カーフェ達も正面の敵を倒し前に進む。
レアードは、囲いを大量に作り、キラービーを次から次へと閉じ込めていく。
おかげで、レアードは大きく体力を使い、ぜぇはぁと口で息をしていた。
「行け!カイン!」
レアードは岩石の道を作り、巣までの道を作る。
カインは道を上り、巣に近づき、斬撃を巣に向かって放つ。
巣の上部先端に大きな傷をつける。
完全に切り裂くことができなかったが、この大きさなら亀裂を入れるだけでも十分。
巣は大きく揺れ、重さに耐えきれなくなったのか巨大な木から地面に落ちていった。




