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魔素だまり②

初めに動いたのはゴブリンロードだった。

雄叫びを上げると、ゴブリンメイジが杖を振り、地面から木を生やす。

地面から伸びた木は、各グループの間を通り仕切りを作る。

これにより各グループへの援護が封じられ、4つの戦場が出来上がる。

そして、各グループへとゴブリンたちが投入される。


「狼狽えるな!戦い方は今までと変わらない!敵も分散した!逆に分断したことを後悔させてやれ!」


カノンの激励に応えるように冒険者はゴブリンへと立ち向かっていく。

ゴブリンはG~Fランクの魔物。数が減り、さらに分散させた今、冒険者の脅威ではない。

しかし、そこに助太刀に入るのが、ゴブリンナイト、メイジ、アーチャー。

少数ではあるがランクはE~D。そのうえ、ゴブリンロードの指揮のもと実力を発揮しているように思える。

カノンは次の策に考えを巡らせていた。




木により分断された一番端の戦場。そこでは、レアード達”希望の守り手”がゴブリンナイト2体、メイジ1体、アーチャー1体、ゴブリン約10体ほどと交戦していた。


「しゃらくせぇ!!」


レアードが新調した両手剣を振るい、ゴブリンナイトと鍔競り合いをしている。

そこに矢が飛んできてレアードは舌打ちと共に後退する。

今度はゴブリンが集団でレアードを狙うが、それをカインが遮る。

スキル斬撃でゴブリンを狙うが、今度はメイジが木の壁を作り守る。

ならばとリリィが矢を放つがもう一匹のナイトに弾かれる。


レアード達は一旦後退し距離を取る。


しばしのにらみ合いが続く。


「攻めきれないね」


「先にメイジとアーチャーを何とかしないと」


「だが、あの連携じゃあ、こっちの手数が足りねぇ。策を練らねぇとジリ貧だぜ」


「そうだねじゃあプランLでいこうか」


「Lか、よっしゃぁ、いっちょやってみるか」


「ええ!!」


レアードは両手剣をふるい、障害物を作る。これにより”希望の守り手”の全員の姿を隠すことに成功した。


ゴブリンは警戒して、近寄ってこない。


レアードたちは近づきながら障害物を作り続け、近づき続ける。

そして、ある時、カインが顔を出し、斬撃を繰り出す。

予想していない位置からの斬撃に対処できず、ゴブリンが1体倒れる。

次の攻撃に備え、ナイトが向かい、アーチャーが対処する構えを取る。

ナイトが障害物を越えたところで、レアードがスキルで道を塞ぎ、ナイトの分断に成功する。


アーチャーが焦り、移動を開始する。移動先は障害物の上、高いところに移動し見晴らしのようところで、ナイトの援護を試みる。


それが狙いだった。

リリィが死角から顔を出し、矢を放つ。

そして、頭部に直撃。頭部を貫通し、絶命する。


仲間がやられたことが原因なのか、ゴブリンが激高してリリィ目掛けて走り出す。

これにより今度はゴブリン共が分断し、ゴブリンどもの正面にはレアードが待ち受ける。


奮戦むなしくゴブリン共はレアードの前に倒れこんだ。

そしてそれと同時にカインと相対していたナイトもリリィの死角からの攻撃により命を落とした。


これにより、ナイト1体、アーチャー1体、ゴブリン5体を仕留める事に成功した。


ゴブリン進化種を失ったことで、この陣営は一気に破綻した。


同じように障害物で近づき、ゴブリン共がメイジから離れたところを狙ってリリイが矢を放ち、メイジをしとめる。


同様に障害物を利用しリリイの姿を隠し、レアードとカインが気を引いたところを死角から攻めることで、ゴブリンを全滅させることに成功したのだった。




レアード達が動き始めた時、カーフェ達もまた連携での攻めでゴブリンを翻弄していた。


こちらはゴブリンナイト2体。メイジ2体。アーチャー2体。全て進化種であった。


しかし、カーフェ達の闘い方は変わらない。


”4つ子の魂”の4姉妹が四方に散らばり、弓矢の嵐を浴びせる。


メイジ、アーチャーもそれぞれ4姉妹に攻撃を放つも、サポートに回っている2人の教会員たちの魔道具を使った結界に阻まれて攻撃が届かないでいる。


そして、カーフェはその隙にナイト2体と相対していた。


「はあああああ!!」


勢いよく両手剣を振り下ろす。

初めのつば競り合い以降、ナイトは刃を合わせようとしない。

力勝負を避け、隙を狙う動きを展開してくる。

しかし、ナイトだけではカーフェの動きについていくことはできない。

速度で翻弄し、隙を見て思い切り両手剣を振り下ろす。

ナイトは何とか刃で受けるが、その刃もろとも切り裂く。

その隙を突くべく、残ったナイトが剣を振り下ろすが、大振りなため躱され、逆に隙を作ってしまい首を切られる。


カーフェは直ぐに4姉妹のもとに戻り参戦。

4姉妹の攻撃を凌ぐので精一杯になっていたメイジとアーチャーはカーフェに対応出来ず、首をはねられる。


実に一方的な幕切れとなった。




そして、他の陣営。

まずは、”深紅の刃”の4人と教会員2名のグループ。

カノンは全体の指揮に回っているため、パーティーメンバーの4人がメインで戦闘を繰り広げていた。


敵は、ゴブリンナイト6体、メイジ1体、アーチャー1体。


まず”深紅の刃”の槍使いローラと短剣使いアキトがゴブリンナイトと真っ向から激闘を繰り広げていた。


「いいねえいいねえ、これでこそやりがいがあるってもんさ!!」


ローラは意気揚々と敵陣にナイトを押し込む。


「もう少し静かに戦ってほしいんだけどっ!!」


悪態をつくアキトは、ゴブリンの剣筋を冷静に見極め、急所を狙う。


そこに援護を仕掛けるのが、メイジ役をこなすロンド。

彼は腕を横に振るうと、視界に入っているゴブリン共が同時に同じ方角に体勢をずらす。

ゴブリンメイジとアーチャーが援護の為、攻撃を仕掛けるが、サポート役の協会員の結界に阻まれる。

しかし、ゴブリンナイトはさすがの進化種、体勢は崩しても、すぐに持ちこたえて後退する。


「うーん、やっぱカノンがいないと思い通りにいかないね」


ロンドが呟く。

ロンドがふっと、後方に、カノンに目を向ける。

しかし、カノンはその場にいなかった。移動したのだろうか。だとしたら、戦況がよろしくない戦場があるのかもしれない。


「あまり時間はかけられないよ!あれで一気に潰す!」


”深紅の刃”の面々はアイコンタクトを取り行動に移す。

教会員も何かに感づいたのか武器を構える。


ロンドが腕を振るい、ゴブリンナイトの体勢を崩す。

そこにローラとアキトが刃を振るい、ゴブリンナイトを追い詰めていく。


ゴブリンナイトは激しい追撃に合い、少しずつ下がっていたが、そこで腕と腕がぶつかる。

目を向けると、同じように目を向けているゴブリンナイトの姿があった。

ゴブリンナイトはここで気づく。一か所に集まるように誘導されていると。

メイジ、アーチャーに助けを求めるが、彼らは教会員の結界に閉じ込められ身動きを取れずにいた。


全てのゴブリンナイトが集まり、敵の罠に嵌められたと気づいた時、今度は上空から何か玉のようなものが落ちてきて、ゴブリンナイトに触れると同時に視界が黒く染まった。

ゴブリンナイトは視界が遮られ、狼狽えるが、次の瞬間には首が切られる。

この場を脱出しようとしたゴブリンナイトは、視界を取り戻すと同時に体勢を崩され、そして槍で一突きされ倒れる。


そうして、罠にはまったゴブリンナイトは全滅し、残りの結界に閉じ込められていたメイジとアーチャーも簡単に仕留められた。


戦闘が終わり、皆の無事を確認する。


”深紅の刃”の最後のメンバーアキナはやることがなかったと言わんばかりにあくびをしながら集まる。


しかし、その瞬間ほっと一息つく間もなく、木の壁が壊れ、隣の状況があらわになる。






そこに移るのは、倒れ伏す多くの仲間と唯一起き上がっていたカノンの姿であった。

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