プロローグ・〇〇〇の記憶
この物語を見つけて下さり、ありがとうございます♪
久しぶりの新作になります。
どうか、ゆっくりと楽しんで頂けましたら幸いです♪
――気づけば、私の手は血に塗れていました。
世界のため、人々のため、私は戦いました。
たくさんの生命を殺しました。
その先に、皆が安心して暮らせる未来があるのだと信じて、無我夢中に、懸命に、必死に、身命を賭して戦い続けました。
そして……世界は平和になりました。
ですが、
(ああ……どうして……?)
私の家族は、友人は死んでいきました。
世界は平和になったのに、そこに私の居場所はありませんでした。
私は……。
私の……。
…………。
光も何もない場所でした。
永遠に広がる闇の中で、私は願いました。
女神よ、どうか……。
どうか、お願いです……。
多くは望みません。
長い間、心と身体の痛みに耐え、人々のために尽くしました。
だから、どうか……私にも平穏を。
争わず、憎まず、安らかに、穏やかに、ただ日々を暮らしていける魂の居場所をください。
どうか……どうか……。
…………。
願いました。
強く、強く願いました。
灼けるような痛みと苦しみに、自分が壊れていくのを感じます。
家族の笑顔が……。
友人の声が……。
自分の過ごした日々が……記憶が砕け、消えていく。
その果てで、
パキィン
何かが割れて、私の世界に光が差しました。
…………。
…………。
誰かの声がします。
その光の中で、
「――大丈夫?」
そんな、心配そうな男の子の声が聞こえたのです。