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魔法少女学園  作者: 弟子
1章
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1章III 『分解』

  2限の英語の授業が終わった。委員長さんやっぱ凄いや。小テストの問題は全問的中、おかげで満点を取ることが出来た。後でお礼でも言いに行こうかな。


「紗夜ちんはさー、どう思うよ?この小テスト」

 

「何が?別になんとも思わないけど。」


 2限と3限の間は20分の業間休みがある。愛莉はチョコスティックのようなお菓子を食べながら私の前の席を占領している。私の前の席に座っている小鳥遊(たかなし)結愛(ゆめ)さんは本当に気の毒だ。


「だってさ〜委員長さんの魔法は『時間遡行』だよ?絶対不正だってこれ」


「いや確かに私もそれは一瞬考えたことあったけどさ、それを暴いたところで私たちに利益ないし別にどうでもいいかな?って」


「ん〜まぁそれもそうだよねー。考えないようにするのが無難ってやつかな〜」


 まぁ誰もが1度は通る考えだ。しかし、それを考えたところで私たちにメリットがない。不正であるという証明も私たちには出来ないしね。

 と、私が愛莉を説得してるとクラスの中心から怒号が聞こえた。


「柚葉!流石におかしい!」


 委員長に楯突く少女が1人。青髪で短髪の少女、セリフの最後には毎回!が付いてるかのような声の大きさで、この学園では風紀委員に所属している。声の大きさのせいで風紀を乱しているのはこの涼風凛花(すずかぜりんか)さんの方なんじゃないかと私は常日頃思っているが。

 そして涼風さんは委員長の机の前を陣取り、委員長の机をバシバシと叩く。あなた本当に風紀委員ですか?学校の備品は大切に扱った方が……。


「どうかなさいましたか?涼風さん」


「どうもこうもないでしょ!今回の小テスト、いつもは先週やった範囲から出るのに今回は先週「まで」にやった範囲から出たから実質抜き打ちだったでしょ!?なのにそれも予測して問題作るとか不可能じゃん!」


「いいえ。常日頃から勉学に励み授業にも真剣に取り組んでおられれば、百鬼先生の性格上今回辺りにこのような仕打ちをしてくるというのは大まか予想出来たことでしょう。あなたの想像力が乏しいだけではないのでしょうか?」


 涼風さんと七五三さんが言い争っている。しかし、これも見慣れた光景だ。別に誰かが止める訳でも無く、そこにいる誰もがBGMとしてその言い争いを消化している。

 七五三さんはその優秀さ故つねに定期テストでは学年1位、それに続くのが涼風凛花さん、定期テストでは常に学年2位を保持している。学園に入学した頃から犬猿の仲という感じであり、いつも言い争いをしているようだ。 でも喧嘩するほど仲が良いというのはあるのだろう。2人で1緒にいるのを見ることも多い。


「あーーもう!頭に来た!細胞分割(セルディバイド)!」


 そう叫ぶと涼風さんの青い髪が靡くと同時に体が青いオーラで覆われる。そして一瞬のうちに七五三さんの体が消えた。一瞬赤い液体が人体の形を模して空気中に浮かび、しかし、それはまた一瞬にして見えなくなる。


「ふん!いつもは四肢分解に留めといてあげてるけど、今回は細胞レベルまで分解してあげたわ!これで少しは痛い目を…」


「痛い目がなんですって?」


「無傷!?本当に柚葉の魔法が強すぎる!」


 やはり涼風さんの魔法は本当に肝が冷える。七五三さんなら大丈夫とは分かっていても、少しは動揺するものだ。自分がやられたら、と思うと鳥肌が立つ。絶対に歯向かわないようにしとこ。

  涼風さんの魔法は『分解』だ。物理的な事象を好きな段階にまで分解することが出来る。人体が分解された場合、痛みは感じないらしいが血管が途切れることによる大量出血によって基本は死に至るらしい。細胞レベルにまで分解されてしまえばもってのほかだ。

  しかし、弱点としては概念的なもの、実体のないものについては分解できないということだ。魔法少女の魔力は基本的に持ち主の精神に宿っていると言われている。

先程のやり取りでは、七五三さんの肉体自体は分解されてしまったものの、精神は分解されなかった。つまり、一度おそらく死んだ状態で七五三さんは魂のみが浮遊する状態となった後、魂から肉体を対象とした時間遡行を実施。そして分解される前に肉体を戻した後で魂を元の位置へ戻したという感じであろうか。


「おっかないな〜、まぁ私が分解されても体に命令すれば元に戻れるけどねー」


「愛莉も愛莉で十分化け物だよ。人間以外じゃなくて意志を持たない植物や無機物にまで、視界に入ってなくても命令できて、無機物の場合はそれが意志を持つかのように、擬人的に動かすことが出来るの本当にイカれてる」


「そんな怖がらなくてもいいのにー、冗談でしか使わないって。対象、購買のクリームパン1個。私のところにおいで」


  途端に、教室内にクリームパンが飛んできて愛莉の前に着地した。おい、これお金どうするんだよ。何も冗談になってないって。



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