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魔法少女学園  作者: 弟子
序章
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序章 『はじまり』

  2075年5月6日、世界は4度目の崩壊を迎えた。2036年以降、世界は13年起きに崩壊を続けている。崩壊というのはその名の通り、空間があたかもシールを剥がすかのようにぺりぺりと剥がれていくのである。その剥がれたシールの先には別世界、言うなればあの世が拡がっているのが確認できるだろう。ブラックホールのようにそこから発生する引力に引き込まれたが最後、命の保証は無い。


  では、人類は絶滅したのか。残念ながら生きている。2023年、人類は人智を超え、物理を超越した力を発見した。それが「魔力」である。

  始まりはある白髪の少女であった。日本の中枢都市の片隅に存在する路地裏、少女はそこでホームレスさながらの生活を送っていた所を保護された。身寄りは不明。年齢は11歳程度と思われ、栄養失調により極度に痩せた姿をしている。警察はその少女を児童養護施設に預け、数週間が経った頃異変は起きた。


  その原因は単純、「蚊」である。施設付近に生息していた蚊が、特殊な力を発現し始めたのだ。あるものは水を生成し、あるものは電気を纏う。この異変は即座に周囲へと伝播し、生物学者はこの調査にあたった。しかし、この異変そのものの原因は不明。ただ、能力を発現した蚊には共通点があった。それは体内に白髪の少女の血を取り込んでいたことである。


  学者たちは直ぐにその共通点に気づき、少女の血を採取、その後実験を行った結果、少女の血を体内に取り込んだ生物は特殊な力を発現することが明らかになった。彼らはこの力を「魔力」と名付け、学会に提出。その結果世界を騒がせることとなる。

  その噂が一般市民に広まりきるのも僅かな期間の間だった。魔力の存在を知った市民はこぞってその力を欲しがり、ある国ではクーデターが起こるまでとなった。そこで国際連合は緊急で国際魔力連合を設立し、数多くの規律の元に一般市民に魔力を与えることを容認した。


  以後、希望した全人口の25%は魔力を持つ人間となり、様々な異能を持ち合わせた。面白いのがその種類である。1つとして同じ異能を持ち合わせた人間がいなかったということだ。世界で自分一人が持てる力、これだけでも人間の承認欲求を満たし、魔力の保持が拡大することは想像に難くないだろう。

 

  しかし、6年後の2036年に事件は起きた。それが世界の崩壊である。ある日突然空間が、床のタイルが剥がれるかのように崩れ始めた。さらに、その崩壊の地点は世界に10億個存在する。そう、その場を経験したなら明らかに原因が確認できた。魔力を取り込んだ男を震源として世界の崩壊が起きているのである。魔力を取り込んだ男の胸から始まる世界の崩壊、もちろんその男は絶命すると共に、その周りにいた人間も亜空間に吸い込まれ消息を絶った。

  世界の崩壊という超人的な現象の前に人間の力は無力、立ち向かえたのは魔力を取り込んだ女のみであった。崩壊している空間そのものを切り取り消滅させる者。崩壊している場所付近の時を1000年ほど戻して一時しのぎをする者。数々の異能力によって世界の崩壊は無事に止まったのであった。


  この時全人類80億人のうち生存したのはおよそ20億人と言われる。その60億人の犠牲の中に全ての始まりである白髪の少女も含まれていたと言われている。

  この事件を受けた国際魔力連合は即座に法を制定、内容は「男性の魔力適合を禁止する」という旨のものであった。今回の崩壊は魔力を取り込んだ男が原因となって起こっているように見えたのだ。当然である。

  そしてそこから13年間の間、女性だけが魔力を持ち、平和な時代が送られてきた。しかし、2049年に事件が起きる。また世界の崩壊が起きたのだ。今回の震源は完全にランダム、が、後の調査によるとこの崩壊の震源の数はおよそ50、第一回目の崩壊の震源の数よりもかなり減少していたのだそうだ。


  2回目の崩壊も魔力を持つ女性によって災害は収まった。この時の犠牲はおよそ5億人、全人類の人口がおよそ15億人にまで減少した。

  これを受け、人類はとある作戦を実行することにした。それが、世界の崩壊に対処するために魔力を取り込むということである。国では、学校のような施設として、魔力を取り込んだ少女たちを訓練するような施設を作り上げた。魔力を取り込んだ少女たちが使う異能力のことを魔法と呼び、そのような学校を魔法少女学園として、各国の様々な都市に置いた。

  結果として2062年の世界の崩壊は簡単に処理ができた。被害は多くても1000人程度、人類の勝利である。


  2062年の崩壊以降、新しく生まれた少女の魔力適合が義務化されており、遺伝的に魔力を発現している者以外は皆7歳になった後魔力に適合する。

  それではこの4度目の世界崩壊までのある少女のお話を今からご覧いただきたい。

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