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本当に異世界楽しいし自由。無味無臭な射手座を添えて〜  作者: 965m(くろごま)と高垣孤宵利と想像で動くリアルでの友人
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あたおか

ねえ僕?隕石が出たんだ。本当だってば

燦然と輝くネオン街。気色の悪い看板、脳を貫く様な色味、身のない人々の姿が嫌でも目に映る。最前列の大柄の男の体が震えているのが見えた。街に喰われたのかと思ったがどうやらそうでもないらしい。と最前列の大柄の男が徐に下段の防具を下に下げ出し、ギラギラと悠然と有る女物の下着を露出させた。そして口を縦に大きくあける。「百鬼夜行って知ってる???」

ああ力を感じてしまうのは嫌な所。彼は大自然の緑。根が張っていくさまを間近で体験している様にこれこそ人間の変化というものではないかと考えてしまった。

「私は悪いと思いましたけれどです」気比たそと名乗る女が小声で喋る。ムカついたので右脇腹を殴ると自分の腹に切り傷が付いていた。ビッグマウスですこと。

「文章が間違え」と最前列の大柄の男の声。もう亜人の君がいうことではないよそれは、と心の中で呟き少しづつ強くなる様な痛みに耐えつつ気比たそと名乗る女を睨みつける。猛烈なかかと落としが来ると反射的に予測したので適当にあしらう。

最前列の大柄の男が無を引き連れ軍隊であるかの様に足と手を前に出し高くあげ歩き出す。

絡まるというもの。そのまま居なくなるでしょうから自分は「ボルト」で狙う。すぐさま脳天にボルトが刺さり脳漿が吹き出す。きっと彼は快楽と夢を見たであろう。可哀想という言葉は出ずにただただ夢と世界を考えた。もうここを壊してはいけない。夢が複雑に絡まり合う所、無限の無駄を重ねて噛み合わない物を無理矢理にはめ込んでしまった所、魑魅魍魎が跋扈する所。それこそ何を隠そうこの世界であろう。「れえ、うんめいの」であろう。


少し待て、この記憶は何だ?誰のものだ?無い、こんなもの。此処は何処だ?喋っているのは、自分は。

吐き気を強く催した。目眩がする。痛みもある。快楽を感じる。脳のシナプスが強く弾けるのを感じた気分になる。壊れたテレビ。ヒカリ。多色のラインが脳内を支配し続ける。

ザラザラとした、背をえぐる様な細かな砂利と冷たく冷たく冷えた石レンガを感じた。


平穏を保ちたいがそんな事は不可能という様な空間だ。心を落ち着かせるために壁に蹴りを入れる。弱い音。蹴りを入れる。弱い音。蹴りをいれ、弱い音。

ぱすん、ぱすんとなる音が広がる。意味はない、無いのだ。この石レンガの前では最高に無意味と言っては過言でない行動に多くの時間を費やしている事は自覚しているが、そんな事はどうでもいい。自分はもう炭酸の抜けたコーラなのだから。魔法が欲しい。この例え方でいくと炭酸水メーカーが欲しいと言ったところか。自分でも苦笑してしまいそうな例えを自分が大真面目に捉えてしまった事に腹が立つ。


地を蹴る音が聞こえた。あれから多分10分前後経った後であろうか。生物というものが此処に存在する事に嬉しさを感じて全速力で音の鳴る方向へと駆けた。大きな軽くも重くもない音を響かせて。

ガニ股で歩く大男の姿をこの目がとらえた。厳つい顔をした大男。貧相な足。何もこんなじゃなくていいだろうと思いたい。楽の鼓動。自分は失敗したのか。いいやそんな事はない、これも生物だ。中途半端な容姿をしているが生物。顔が3分の1くらいで足から華が生えているが生物。

そうなのだ。人間ではなかった。と思う。気色の悪い生物だ事。心の中で呟いてみる。勇気というものが大切な時くらい無くては困ると自分に言い聞かせる。何処の他人でも無くただ一人であって欲しいと願いたい自分に対してだ。

私「ミケちゃん、だめでした」

奴「やたらで。ばか」

回答はいかれている気がしなくもない。気分を害す様な声。とてもノイジー。

奴に握手を試みる。気分がいいから仕方がないと言えばそうなのであろう。

手を向けると顔を近づけてくる。頭が悪い様だ。ばか。

顔がよく知る様なカメレオンやら何やらの爬虫類に見えてしまったので私は奴の顔をそこはかとなく強い力で叩いてみた。ぱぁんという音。

奴「あしか」

顔を険しくして呟いた呟いた。感じた事のない様な強い圧力が脳を刺激する。もうおしまいかもしれない。人生を終わる準備をしないといけないと思った矢先、あれは壁に向かって歩き出し、レンガの溝に体を押し当てた。細かく繊細に震えた後壁を貫通していった。意味不明だ、貫通するというのはどういう事なのだろうか。この世界ではよくあるやつか。なるほど。私はまだ使えないなぁ。

地面には束ねた書類の様なものが落ちている。意味が分からないので拾い上げて確認する。

さっきの奴の絵が描いてある。ページをめくる。「ぱみエテ」と書いてある、名前なのか?

めくる。あ急と書いてある。意味不明でしかない。その下には説明文。「ぱみエテはやばいかもしれない。貧相な体つきのじんにかりめれとチュリップを足すと出来る一般的だけどやばいです。3分の1の頭がかりめれの様になるとやばい。なんかダメージしたくなってしまって攻撃すると元に戻って食される。かりめれ時てびんた、をされた場合だけ逃げる。壁抜けですわ」

文書力が欠如しており読みにくいことこの上無いが意味は分かったので良しとしたい。あれは偶然倒せただけなのだ。もう大変な世界に来てしまったと自覚しなければならない時が来てしまった。がっくりと肩を落とす。思考力を働かせると何で自分は壁抜けが普通と感じるのか等どうでもいい事が浮かんだがそれどころじゃない。自分が今いるこの場所はもう一般的とは遥かに言い難い場所であるのだ。心臓が高鳴る音が聞こえてくるが、とても楽観的に捉えられてしまう程の余裕を残してまでいる自分に恐怖する。

今はこの意味のない石レンガ空間を進むしかないのだ。昔よくゲームでみた様なダンジョンだ。まさにダンジョン。

急に水の音が聞こえた。せりせりと流れる水。気分が悪くなりそうなので偶然持ち合わせがある500mlサイズのペットボトルを地に向かってほぼ垂直に投擲する。とても感受性豊かだ事。自分自身に感心しながら水に近いてみると水ではなく小汚い人間だった。もう此処は信用ならない。自分自身を信用しない。そもそも自分を信用していた事何てあったかしら、よし、これから自分自身に信用なんて言葉使ったら処刑な!と言い聞かせて言葉にロック。

しゃおしゃお鳴くそいつの事が猛烈に嫌になったが此処は我慢して先に進まなければならない所。道は暗くなる。

淡々とこうも代わり映えの無い道を右往左往しながら進んでいくのがどうも嫌になってきた。というかそもそも自分は何でこんな事をしなければならないのか。責任感何てある訳無かろうに、単純に地の底を這い蹲っている気分になって吐き気を催す。「やめろよかす」と小声で自分に向かって説教じみた終わったセリフを吐きかけてしまった。失念。自分の言葉には重みを感じないのだ。意味の無い自問自答。もう快楽に堕ちた方がマシなのではと思う。そうだ此処はよくよく考えたら底の底の底の地獄の様な所だ。あのような物に遭えば命を断つことなんざ余裕だろうに。生命とは。

変化が無いと人はつまらなくなる。つまらないと生きる事に対する気力がどんどんと尽きていく。やめてくれよ。無意味な曲がり角を曲がった時の事。長い長いいつもと代わり映えの無い通路、石レンガ仕込みの通路かと思いきやそこは黒く黒く怪しく輝くいつもとは違う場所だった。嬉しくなる。少しでも生に対する希望が持てたのはとても良い事だと思う。

さて此処を進むべきかどうか。遠くの、通路の遥か遠く、遠近法で霞む視界のさらに奥にかろうじて見えるのが大広間。

無を体感するよりも幾分かは良いと言う事で進もうと思う。コツコツと音を鳴らしながら若干の不安心配と共にある希望を糧に意気揚々と進んでいく。道は暗い。

気のせいだよ。そうなんだ?

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