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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第六章 西への旅路 

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79 異世界で腕相撲

「ところで、婿殿。ついでといっては何だが、最近気になる兆候があってな……」


 辺境伯様によると、最近バドル近郊にあるダンジョン(迷宮)に異変の兆候があるらしい。そもそも、この地域に辺境伯が置かれている最大の理由が、ダンジョンの監視だ。


 国内唯一のダンジョンということもあり、厳重な監視体制が取られている。というのも、ダンジョンから魔物が溢れ出す大量発生現象(スタンピード)が起こる可能性があるからだ。


 なぜスタンピードが起こるかについては、様々に議論されているが、結論は出ていないらしい。ただ、過去のケースから、本来外に出てこない魔物が、ダンジョンの外で発見された場合、近いタイミングでスタンピードが起こるとされている。


「ということは、ダンジョンにしかいないはずの魔物が外で見つかったということでしょうか?」


 最近のコカトリスの件が思い出される。あれは魔人帝国の仕業だったが、これはどちらだろうか。


「そのとおりだ、婿殿。詳しいことは、冒険者ギルドで聞いてもらえると助かるのだが」

「それは、我々のパーティ、黒の死神への依頼と考えても良いのでしょうか?」


「引き受けてくれるのであれば、私から正式にギルドへ依頼を出そう」

「わかりました。その依頼、引き受けます」


 フリューゲルに連絡して、みんなにバドルまで来てもらうかについては、ギルドで話を聞いてからにするか。とりあえず、ギルドへ行ってみることにする。


「私の騎士、もちろん私も行くからね!」


 リーゼロッテ様もやる気十分だ。街の案内もしてもらえるし、辺境伯様も連れて行って構わないと言っているので、一緒に行くことにするか。


「よろしくお願いします、リーゼロッテ様」

「むぅ……私の騎士、これからはリーゼロッテって呼んで。も、もう他人じゃないんだから……他のみんなと同じ話し方にしてよね」


顔を赤くしながらそんな言い方されると恥ずかしいな。あと、照れながら腕組んでくるのは可愛らしくて良いんだけど、他の人にそれやったら腕取れるから気をつけて!!


「……わかった。よろしくな、リーゼロッテ」



***


「なあに、またミノタウロスの目撃報告なの?……今月だけで、もう10件以上となると、偶然とは考えにくいわね」


 最近、ダンジョンの外で、本来迷宮内にしかいないはずの、ミノタウロスが目撃されている。


 上層部の魔物が迷い出ることはさほど珍しくないが、中層部の魔物であるミノタウロスとなると話は別だ。人為的なものでなければ、迷宮内部でなにか異変が起きている可能性は否定できない。


「はい、ギルドマスター。辺境伯様からも本格的な調査依頼が入っています」


「ダビドから? ちょっと見せてちょうだい……あら指名依頼? 黒の死神って、あの?」

「はい、プリメーラ所属のB級パーティですね。最近ギルド中で、何かと話題になってるあのパーティです。今現在、このバドルに来ているようですね……」


「ふーん、リーダーが異世界人なのよね? うふふ、会うのが楽しみね」

「……ギルドマスター、顔がにやけてますけど、大丈夫ですか?」


「気にしないで、リノ。美味しそうだなんて全然思ってないから……」

「うわあ……久しぶりにスイッチ入っちゃってますね、黒の死神さんがピンチです」



 うちのギルドマスターのリリスさまは、この辺りでは珍しい純血のサキュバスです。ほとんどのサキュバスは、その種族特性を活かして、主に夜のお店を経営することが多いのですが、リリスさまは、非力なはずのサキュバスの中で、なぜかとっても強くて冒険者を長くやっていたという変わり種なのです。 

    

 私も以前は知らなかったんですが、サキュバスにとって、強い男性の魔力を吸うことは、至高の快楽なんだとか。私はてっきり、男性のその、アレを吸うのかと思ってたので、めっちゃ恥ずかしい思いをしましたよ!! そう考えれば、冒険者ギルドは、サキュバスにとって意外と良い職場なのかもしれませんね。


 でも、当然ながら、勝手に魔力を吸うのは認められていませんから、吸うときは、きちんと交渉しているらしいです。何を交換条件にしているかは、私に聞かないでください。もちろん知りませんよ、怖くて聞けませんし。



「リノ、何しているの? ちょっとみて、髪型と服装はこれで良いかしら?」


 なんか、ギルドマスターが気合入れておめかししてるのって……ちょっとかわいいかも。


「いいと思いますよ、リリスさまとっても素敵です!」



***



 リーゼロッテと冒険者ギルドへ向かう。このバドルのギルドは、主に迷宮に入って素材を集めてくる冒険者が多く在籍しているため、ちょっと趣がプリメーラやフィステリアとは異なるらしい。

 

 俺は、てっきり迷宮内で魔物を狩って素材を取るのかと思っていたのだが、実際のダンジョン内は鉱石や素材の宝庫で、壁を削って採ってくるのが仕事なんだとか。魔物はむしろ邪魔なだけらしい。っていうか、それもうただの鉱山じゃないの? なんかイメージと違うな。


 ギルドに到着すると、まずその大きさに驚き、次にその暑苦しさに驚く。なにせ、冒険者のほとんどが、ムキムキな熊男みたいなのばかりなんだもの。しかも、なんでみんな上半身裸なんだよ!! ぱっとみたところ、女性は1割程度しかいない。いや、むしろ1割もいるというべきか。


 そんな中に、リーゼロッテみたいな美少女を連れていったら、そりゃ目立つ。テンプレじゃないけど、さっそくゴツイ大男たちに絡まれた。



「おい、もやしの兄ちゃん、悪いこと言わねえから、その女を置いて帰りな。ここはお前みたいなひ弱なやつがくるところじゃねえんだよ」


 うむ、清々しいまでのテンプレありがとうございます。


「ご忠告どうも。でも俺、結構腕っぷしには自信があって、これでも街で1番だったんだぜ、ちょうど良いから、俺と勝負しないか? 腕相撲で」


 その言葉にギルド中が笑いに包まれる。


「ギヤーハハハッ、お前みたいのが1番とか、どんな田舎町だよ、しかもよりにもよって腕相撲だと? は、腹が痛え!!」


「なんだ、負けるのが怖いのか? 図体ばかり大きいのに肝っ玉の小さい連中だな」


「な、何だと!」


 ギルド中の笑い声が、怒声に変わる。


「仕方ない、有り金を賭けてやるよ、白金貨1枚でどうだ? ただし、俺が勝ったら有り金貰うぞ、さぁ、早い者勝ちだ」


 いい塩梅に舐めてくれているので、さらに白金貨という餌を垂らす。


「俺だ、俺がやる! 今更無しにはならねえぞ!」


 最初に絡んできた男が、勝負に乗って来た。毎度あり!


「あっ、てめえ、マックス、ズリぃぞ!」

「ケッ、早い者勝ちだって言ってたろ! 後で酒くらい奢ってやるよ。なんせ白金貨だからな、フへへッ」


 

「じゃあ、始めましょうか? 俺はカケル、賭ける金額は、白金貨1枚だ」

「俺はマックス、賭ける金額は、金貨3枚だ」


 テーブルの上で勝負が始まり、ぎりぎりの接戦を演じる俺。そして――


「勝者、カケル!!」


 ギルド中が熱狂する中、次々とを勝利を重ねてゆく。


「な、何なんだ、あの兄ちゃん!? めちゃくちゃ強いじゃないか!」


 ギルド内の空気が変わってきた。結構稼いだし、そろそろお終いかな。


「なんだ、このギルドも大したことない――」


「……まて、もやし、俺様が相手してやる金貨50枚だ」


 お、1番力が強そうな奴だ。ギルドがざわつく、結構な有名人みたいだな。


「あ~あ、あの兄ちゃんも強かったが、運が無い。連戦の後で、ギガスと勝負するとか」

「結局、美味しいところを持っていくのかよ、ついてるなギガスの奴」


「じゃあ、これが最後の勝負だ。本気で来いよ、ギガス」


(ち、ちょっと、大丈夫なの? 私の騎士)

(大丈夫、見てろよ)


「もやし、俺様にも情けはある。疲れているお前に勝ってもつまらんからな。その女を渡すなら、勝負を止めてやってもいいぞ」

「お気遣いどうも、ほら、さっさとやるぞ!」


「バカなもやしだ……」


 息を吐くギガス。ていうか、そう言いつつもやる気満々じゃねえか。



 ギガスの腕は、丸太のように太く、掌はまるでグローブのように分厚く硬い。


「それでは、勝負はじめ!!」


「うおおぉ!!」


 雄叫びとともに、力を込めるギガス。しかし――


「ば、馬鹿な、なぜ動かないんだ……」


「残念だが、俺は一度も本気を出していない。これまでも、そしてこれからもな、お前も人間にしては強かったぞ、ギガス」


 ドガベキッ


 ギガスの丸太のような腕を叩きつけ、テーブルを破壊する。


「勝負あり、勝者カケル!!!」



 後ろから、肩を叩かれる。リーゼロッテ? どうだ! 格好良かっただろ?


「……テーブル弁償して下さいね」


 睨むギルドのお姉さん。


 はい、すいませんでした。



 

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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] >これからはリーゼロッテって呼んで 自分は名前で呼ばんくせに( ´∀` ) そして最後……そりゃあねぇ(;'∀')
[一言] カケルイキってんなぁw
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