新しい年 そんなことなくってよ
新年あけましておめでとうございます~(*´▽`*)
今年も『異世界スケッチ』をよろしくお願いいたします~。
聖女アリエス(使用メーカー様:こんぺいとう**メーカー)
クール系神官ミランダ(使用メーカー様:こんぺいとう**メーカー)
「聖女さま、お顔が緩んでいらっしゃいますが……?」
「そうかしら? そんなことなくってよ、ミランダ」
いけないいけない、今夜のことを考えると自然と笑みがこぼれてしまいそうになる。
年越しの神事。
例年なら、ひとり祈祷室に籠って一晩中祈りを捧げるのだが、今年は違う。
女神さまの御神託によって、カケルさまと一晩祈祷室に籠ることになった。
いつもなら辛い説法や、世界中から集まってくる賓客との会話も、ご褒美が待っていると思えばなんてことはない。聖魔法も絶好調で、いつもの5割増しに治療することができた。
「一体なにがあったんでしょう。今日の聖女さまは神がかっていらっしゃる」
「大変です!! いつもは無表情な聖女さまの微笑みに意識を失った犠牲者が山のように……」
本人的にはいたって絶好調の聖女アリエスだが、周囲は大騒ぎになっていた。
「聖女さま、本日はお疲れさまでした。ですが、そろそろ年越しの神事の準備を始めませんと……」
ミランダたち聖女付きの神官に身を委ね、湯浴みをして身体を清める聖女アリエス。
カケルの妻となったことで、その美しさは何倍にも増しており、普段から慣れているはずの神官たちですら意識を保つのがやっとの有様だ。
湯浴みを終え、特別な聖服に着替えると、ひとり山の頂上にある祈祷室へと向かう。
祈祷室周辺は聖域のため、聖女以外何人たりとも立ち入ることが出来ず、近づくことすら許されていないのだ。
「ふふふ、祈祷室の中では、カケルさまが待っているはず……」
毎日会っているというのに、ドキドキが止まらない。会うたびに好きになってゆく。
ありがとうございます……女神さま。いつも頑張っている私へのご褒美ということですね。
カケルさまを一晩独り占めする絶好のチャンス!!
本来ならばもう一人の聖女であるソフィアにも権利があったのだが、面倒な仕事から逃げてくれたおかげで、彼女はここには居ない。
「カケルさま~!!」
勢いよく祈祷室へ入ると……そこは真っ白で光り輝く空間だった。
『ふふふ、待っていたわよアリエス』
「……女神……さま?」
そこで待ち構えていたのは、他でもない女神イリゼ。
「……ま、まさか?」
『ふふふ、さすがアリエス、察しが良くて助かるわ。じゃあ身体借りるわね~』
「いやああああああ!!」
『……というわけだから、今夜は二人きり、ゆっくり楽しみましょうね、カ・ケ・ル・くん♡』
『馬鹿なの? イリゼなの? 私の目が誤魔化せると思っている?』
『くっ……みこちん、一体どうやって……』
「……っていうか、さっきまで一緒に居ましたよね?」
カケルが呆れたようにツッコむ。
『馬鹿ね、神界と地上では、味わいが全然違うんだから!!』
『そうそう、別腹』
こういう時は息ピッタリなイリゼさまとミコトさん。別腹なら仕方ないね。
「でも、アリエスが可哀想じゃないですか。そうだ、ちょっと待ってろよ」
カケルが妄想スケッチで、アリエスの身体を創りだす。
「か、カケルさま……ありがとうございます~!! って、なんで水着なんですかっ!?」
用意されたアリエスの身体には、しましま柄のビキニと靴下。
「え? ほ、ほら、来年は寅年だから。異世界では、その年を象徴する動物の格好をするんだよ。そうすることで、その動物の持っている力を分けてもらうんだ」
嘘ではない。広い意味ではそういう風に言えなくもない。
「そ、そうだったんですね……ごめんなさい、てっきりダーリンの趣味かと……」
「うわっ!! アリエスさん、知ってたのね……」
膝から崩れ落ちるカケル。ダメージは甚大だ。
『ほらほら、見てダーリン、私も似合うかしら?』
『どう……ダーリン?』
ぐはっ!? いつの間にか虎娘スタイルに着替えている二人の女神。
どうやら異世界で迎える新年は、最高のものになりそうだ。
え? いつもとやっていること変わらないって?
そんなことなくってよ?