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こういうのが好きなの?


「お願い、間に合って!!」


 祈るような気持ちでグリモワールの皇宮へ転移する。


 トワとナユタが、駆に会う前に阻止しなければならない。


 あの二人はいわば歩く私の黒歴史! 他人に見られるわけにはいかない。発見次第破壊あるのみ!!



「ヒルデガルド、二人はどこ!!」


 ヒルデガルドのところへ転移すると、すでに二人はおらず、ニヤニヤしている腹黒メイドと目が合った。


『残念でしたね。すでにカケルさまと面会中です。ふふふ』 


「いやあああああ!?」


 面白くてたまらないといった様子のヒルデガルド。


 くっ、この腹黒メイドめ、絶対にワザとだな? もっと早く知らせることも出来たはず。あえてこのタイミングを狙いやがった。覚えてなさいよ! 貴女そっくりなオートマタを作って辱めてやるんだから。


 でも、今はヒルデガルドに構っている暇などない。


 急いで三人がいるという応接室に駆け込んだ。



***



『駆……やっと会えましたね』

『駆……会いたかった』


 刹那そっくりの美女二人が目をうるうるさせながら迫ってくる。いや、これどう見ても人間だろ!? 


「お、おう……えっと、トワとナユタだったな。よろしくな」 


 それにしても、刹那に似ているとかいうレベルじゃなくて、そのものじゃないか……すげぇ変な感じだ。トワはクールな感じの刹那。ナユタが甘えん坊モードの刹那に近い気がする。



『それでは始めましょうか……失礼します』


 いきなりトワが俺の膝の上に馬乗りになり、胸板に顔を埋める。トワの柔らかい太ももの感触と控えめなサイズのふくらみがダイレクトに伝わってくる。肌のぬくもりといい、とても作り物とは思えない。


 いつもの刹那は恥ずかしがって受け身なことが多いので、ぐいぐい迫ってくるのは新鮮でドキドキしてしまう。


「ち、ちょっと待て、トワ!?」


 顔を紅潮させながら、上着を脱ぎだすトワ。露わになった白い裸身に目が釘付けになる。うむ、寸分の狂いもなく本物と同じだな……と妙なところで感心してしまう。


『はぁ……駆……好き……大好き……お願い、耳を噛んで、鼻をかぷってして……?』


 ぐはぁ!? あ、あの刹那がこんなにストレートに甘えてくるとは!? いやまて、落ち着け、これは刹那じゃない、トワだ。だから何だと言われれば、何も言い返せないが。


『ねぇ早く……私の想いはマスター刹那の想い。もう我慢出来ないの……』


 なるほど、トワとナユタには、刹那の想いが込められているということか。


 ふふふ、かわいい……こんな素直な刹那はレアだ。めっちゃかわいい。


 仕方がないな。本人が望んでいるのだから、拒む理由などない。


 トワを抱き寄せ耳を甘噛みしてやる。


『はううううう!? もっと、もっと噛んで~!!』


 いや、構わないんだけど、痛くないの!?




『ねぇ駆……私はお膝の上で、優しく頭を撫でて欲しいのニャン』


 今度はナユタが甘えてくる。


 に、ニャンキター!!!!!!!


 刹那の姿でそれは反則だろう? あまりの破壊力に意識が飛びかける。


――――分裂!!―――― 


 トワとナユタのかわいいお願いに全力で応えてあげなければ!



「ナユタ、これを付けてくれ」


 ニャンニャン鳴いているナユタに、特製の猫耳としっぽを付けてもらう。


『ど、どうかニャ? 似合うかにゃあ?』


 可愛すぎるかよ!! 駄目だ……普段クールな刹那に猫装備がこんなに似合うとは……これは一生の不覚。なぜこの可能性に気付けなかったんだ俺は!!


 しかもこの猫装備、ただのオモチャじゃない。モフモフしている毛は、ちゃんと感覚が同期されるんだ。つまり、モフれば、ナユタもちゃんと気持ちいい。



『ふわあ、駆……しゅき……だいしゅき〜!!』

『にゃはあ〜!! ナユタをお嫁さんにして欲しいにゃああああああ!!』


「ははは! もちろん二人ともお嫁さんにするとも!!」


 三人のテンションが最高潮に達したとき、ばああんと扉が勢いよく開いて、刹那が飛び込んできた。


「…………」


 そして一瞬固まったかと思っていたら、次の瞬間、絶叫が部屋中に響きわたる。


「いやああああああああ!?」 


 膝から崩れ落ち頭を抱える刹那。


 いかん、自らの痴態を見せつけられるほど、キツイものはない。


――――分裂!!―――― 


 可哀想なくらい落ち込んで震えている刹那をそっと抱き寄せる。


「どうしたんだ刹那。落ち込む必要なんて何もないぞ?」


「……でも、でも……」


「トワとナユタは、刹那、お前の一部なんだろ? 俺は刹那のすべてを愛しているんだ。どんな刹那だって好きだよ」


「……駆」


「だからさ、黙ってこれを付けてくれないか?」


 刹那にそっと猫装備を手渡す。


「……これを私につけろと?」


 ジト目で俺を見る刹那。やべえ……いきなりじゃ無理があったかな?


「駆はその……こういうの好きなの?」


「こういうのが好きなんじゃない、これを付けた刹那が好きなんだ」


 本当はこういうのが好きなんだけど、刹那が付けてくれれば、最強だ。決して嘘ではない。



「し、仕方ないわね。駆がそこまで言うなら付けてあげても……いいよ?」


 ま、マジかよ……言ってみるもんだな。内心ガッツポーズをする。

 

「刹那……」

「な、なに?」


「出来れば、裸で猫装備を付けて、駆にゃんって言いながら強気で迫ってきて欲しい。でも耳を甘噛みされて、とどめに鼻をかぷっとされるともう駄目にゃんとか言いながら甘えてくるような刹那が見たい」


「駆……」

「な、なに?」


「……そんなの出来るわけないでしょおおおお!!!?」


 真っ赤になって震える刹那。


 ですよね~。調子に乗ってすいません。


『駆、大丈夫、私がやりましょう』

『駆、安心して。私がやるから』


 トワとナユタがすかさず手を挙げる。


「あんた達は黙ってなさい!! まったく……駆、異空間行くよ」


 刹那から異空間のお誘いだ。はいはい、修行ですね。わかります。


 もうすぐ邪神が現れるかもしれないのだ。いくら強化してもし過ぎるということはないからな。


『マスター、私たちも行きます』

「は? 何で貴女たちまで来るの?」


『駆からもらった情報に興味深いデータがありました。もしかしたら、私たちも眷族化によって進化が可能かもしれません』


「む……確かに興味深い。仕方ない。実験してみよう」


 すっかり科学者モードになった刹那。猫耳科学者……萌える。




 結局、眷族化は大成功。トワとナユタは大幅に強化されて、お嫁さん兼、刹那の助手&ボディーガードになった。  


 刹那? 結局、恥ずかしがりながらもリクエストに全部応えてくれたよ。ふふふ。


  

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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