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帰ろう、我が家へ


「あの……ララさま、ルルさま? なんで狼に戻っているんですか?」


 異空間に移動した後、なぜか元の狼に戻ってしまった二人。これには困惑せざるを得ない。


『ん? なぜって、英雄はこちらのほうが燃えるのであろう?』


 なんということだ。意味がわからない。


「……ちなみにその情報は誰から?」

『……我の前の番であり、ルルの父親でもある英雄だが? 奴は我の狼姿に欲情していたな……』


 遠い記憶を思い出し目を細めるララさま。


 あの、その人、たぶん英雄じゃなくて勇者だと思いますよ?


 

 彼がそういう性癖だったのか、モフらーを拗らせたのか。俺には知る由もないことだが、上には上がいる。それを知ることができただけで満足だ。


 そして今、俺は選択を迫られている。伝統を受け継ぎ、チャレンジするのか。それとも伝統に敬意を払いながらも自分のやり方を貫くのか。




「――――というわけで、後ろ半分だけ狼でお願いします」


『…………いや、無理だから』


 あっさり却下された。完璧な折衷案だと思ったんだが、二兎追うもの一兎をも得ず……か。


 

 結局、人化してもらった。そうだよ俺はへたれたんだよ。でも負けたなんて思っていない。泳げないライオンが水中でサメに戦いを挑むようなものだしね。土俵が違うんだよ、土俵がな。



『にゃ、にゃああああ……こ、こんなの知らにゃい……』

『ふにゅう……もう駄目にゃあああ……』


 無事眷族化も成功して、ルルさまは、神狼に、ララさまは、狼神(おおかみ)へと進化した。ついでにちょっとだけ猫っぽくなった。 


「二人とも、まだまだこれからですよ。さあ今度はモフモフの時間です。さあ狼に変身!」

『もう無理にゃああああ!!』


 異空間にララとルルの絶叫が木霊するのであった。



***



「というわけで、ララさまです。みんなよろしく」

『狼神のララだ。お前たちが英雄の雌か。うむ、さすがは我が番の選んだ者だけあって、みな中々に美味そうだな。ん? 雄も混じっているな? 英雄はどちらもいける口か?』


 ララさま……冗談でもやめてくれ。おい、ベルトナーくん、なんでちょっと嬉しそうなんだよ!!


「ララさま、ベルトナーは俺の雑用係だ。そういう趣味はない」


『そうなのか? まあ良い、どれ、あいさつがわりに味見させてもらうぞ?』


 そう言って、婚約者たちをぺろぺろ味見し始めるララさま。当然ベルトナーのゴーグルは発動済みで、何も見えない、聞こえないので安心してほしい。ちなみに聞こえないのは機能を追加したからだ。



「「「「いやああああああ!!?」」」」


 逃げ惑う婚約者たちを容赦なくぬるぬるべちゃべちゃにしてゆくララさま。うむ……実にエロい。やられるのは嫌だったが、見る側に回れば素晴らしいではないか!!


「駄目ええ!? そんなところ舐めないでえええ!?」


 普通に顔を舐めているだけなんだが、セリフだけ聞けば激エロだな。防音機能を追加しておいて良かったよ。こんなのベルトナーくんに聞かせるわけにはいかない。



「はあはあ……これはこれで中々……」


 美琴……さすがだな。そういうのが好きなら……んふふ。


 まあ、なかなかカオスな状況にはなったが、雨降って地固まるみたいな? なんとなく仲良くなったような気がしないでもない。


「何故だ……何故俺だけ味見されない?」

『ん? 腹を壊すからだが?』


「うえっ!? リッタああああ!! ララたんが酷いことを――――ぶべらっ!!?」


『ララたん言うなああああ!!』



***



 夕食会は軽く済ませて、お土産用に包んでもらった。


 今夜は妖精宮には泊まらない。ゲートは設置させてもらったから、いつでも来れるし、当面のやることはすべて終わらせたからな。


 ちなみにゲートに関しては、結界の内部からでも問題なく使えたので、巨人族のバロールは、一旦キャメロニアに移動してから、ギガン島に送り届けた。ギガン島にもゲートを置いたので、また別の機会にゆっくり訪ねるつもりだ。



「さあ、帰ろう。フェアリーの屋敷へ」


 帰りは大幅に人数が増えた。ルクス、ラクスの妖精巫女、フェリス、パルメ、リリカ、ヨツバ、レーニャさん、リブラさま、ララさま、そしてリーニャさん。行きにはいなかったメンバーが、10名も増えた。二桁増えるとか意味わからないけど、まあ家族が増えるのは良いことだよな。


 帰りは簡単。フェアリーの屋敷にはゲートがあるから、扉を開ければすぐに到着、この便利さヤバいね。



 ―――――ガチャ―――――



『英雄しゃまー!!』


 扉を開けると、真っ先にサーヤが抱き着いてくる。続いて、ノルン、キラ、カトリイヌも抱き着いてくるので、とりあえず人数分分裂して受け止める。そして護衛のクラウスとイライザは、片膝をついて首を垂れる。


「ただいま、サーヤ、それからみんな留守番ありがとう。お土産いっぱいもらってきたからな!! 今夜はパーティにしよう」


『英雄しゃま、たくさん家族が増えて楽しいのです!』


 

 プリメーラの屋敷を中心に各地の屋敷は、すでにゲートで連結してあるので、内部を移動するだけなら、1つの屋敷と変わらない。言うなれば、世界各地に通ずる玄関が複数あるようなイメージだ。


 そのため、家妖精であるサーヤも全ての屋敷を移動出来るようになり、行動範囲は格段に広がった。それでも屋敷から出ることはないのだが。


 結局、その日の夜は、久しぶりに婚約者全員集まってのパーティとなった。調査に派遣しているメンバーも無理やり呼んだ。定期的にやらないと顔合わせがね……。



 そして、長かったような短かったような、婚約者を増やしに行ったような各国歴訪も終わり、ようやく国際会議の場所と日程が決まった。


 場所は俺の屋敷。明後日開催予定だ。なぜ俺の屋敷? って思ったけど、元々自分が言い出したことだしな。


 セキュリティや移動も楽だし、超優秀なメイドも売るほどいる。売らないけど。


 

 料理は、色んな種族が集まるから、ビュッフェスタイルか良いだろうな。

 

 ヤバい、なんかワクワクする。基本、食べるよりも作る方が……いや、食べてもらう方が好きなんだ。


 早くも料理のメニューを夢中で考え始めるカケルであった。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。


第二十一章 妖精の国ケルトニア編はこれで終わりとなります。


少し序盤の手直しをする予定ですので、しばらくの間、更新ペースが落ちると思います。


毎日投稿は変わりません。



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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] すっかり忘れているような気がしないでもないけど、カケルくん瞬間記憶能力あるんだからわざわざ最適(まな板)化しなくでも気分でララさまに魔力やら神力やらそそいで色々思い出しながら楽しむ手もあるん…
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