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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第三章 新たなる戦いと急転する情勢と

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37 空の王者 グリフォン


 トンネルの先には、巨大な空間が広がっていた。東京のドームが、2、3個入りそうな空間の奥に湖が見える。あれがワームの巣となっている地底湖だろう。


 湖の手前には、武骨な砦が築かれており、ひっきりなしに、ゴブリンなどが出入りしている。砦の周りには、倉庫のような建物もあり、食料や、武器などが運び込まれているのが見える。


 壁面には、大量に穴が掘られ、簡易の寝床にしているのだろうか。視界に入るだけで、数百~千体ほどのゴブリンがおり、さながらゴブリンタウンの様相を呈している。


(これでは、いくら倒しても、ゴブリンが減るわけないな……)


 ゴブリンのような低ランクの魔物は、単体ではさほど脅威ではないが、その数は人類にとって間違いなく脅威だ。大元を絶たない限り、その数は増え続ける。


 そういえば、ゴブリンとゴキブリって似てるよな……うっ、そう考えたら悪寒が。


 

 雑魚はウサネコさんたちが蹴散らしてくれるから、俺の狙いはゴブリンキングだ。


 まずは厄介な統率スキルを持つキングを倒し、魔物の強化を解除しなければならない。



「フレアバースト!」


 カタリナさんの魔法が、ゴブリンの一群を焼き尽くし灰に変え、道を切り開いてくれる。どう考えてもオーバーキルです。ありがとうございます。


『火魔法【上級】を記憶しました』


「魔殺水連槍撃!」


 セシリアさんの繰り出した無数の槍撃が、まるで水龍のように襲い掛かり、跡形もなく消し去る。……セシリアさんもやり過ぎですよ。


『水魔法【上級】を記憶しました』


 カタリナさんとセシリアさんのおかげで、一気に上級魔法をゲットだ。

 さらに――――


『槍術を記憶しました』

『一定数に達しました。武器スキルを統合します……【武器マスター】を記憶しました』


 【武器マスター】 あらゆる武器を操ることが出来るスキル。


 武器スキルも一気に進化した。

 さらに――――


『魔物強化を記憶しました』 

 

 どうやら、ゴブリンキングが、スキルを使っているようで、期せずして有用そうなスキルをゲット。


 だけど喜んでばかりもいられない。このスキルによって、ゴブリンたちの戦闘力が、大幅に強化されているはず……なんだけど、どうやらあの人たちにはあんまり関係なかったようで。


 魔物たちは、風に舞う落ち葉のように蹴散らされてゆく。決してそんな綺麗なものでは無いけれど、言い方って大事だと思う。主に俺の精神衛生上。


 そんな様子を横目で見ながらも、奥へとすすんで行く。



 お、ついにキング発見!? でかいな……身長3メートルはあるぞ。うわ、統率と強化のコンボか……これは凶悪だ。主力がゴブリンだったのは、ラッキーだったかもしれない。


 さてと、鑑定の結果は以下の通り、


【ランク】 A

【種 族】 ゴブリンキング

【年 齢】 15

【状 態】 怒り


【レベル】 53

【体 力】 5985

【魔 力】 1482

【攻撃力】 5947

【耐久力】 5965

【素早さ】 5466

【知 力】 293


【スキル】 魔物強化 威圧 統率 魔法耐性 物理耐性 土魔法【上級】


 

 予定通り、クロエとエヴァが同時に攻撃を仕掛け、キングの注意を引き付けてくれている。さすがのキングも、二人の息の合った連携に対応できていないようだ。


『くっ、ちょこまかと動き回りおって……永久に埋もれてしまえ【砂地獄】 』


 キングを中心とした半径十メートルが、無限の砂地獄へと変わる。一度踏み込めば、そのまま、さらさらの砂に沈んでいき、身動きが取れなくなる。しかし、クロエもエヴァもすでに有効範囲から離脱していた。


『土魔法【上級】を記憶しました』


 なおもクロエとエヴァに追いすがろうとするキングの前に立ちはだかる。



「残念だが、お前の相手はこの俺だ」


 気配遮断で音もなく接近し、焦ったキングが魔法を行使した瞬間を狙ってデスサイズで首に斬りつける。さすがのAランクでも、身体強化に剛力を加えた一撃には耐えられない。


 首を失った胴体が、血を噴出しながら力を失い轟音とともに倒れ伏す。


『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』 



「クロエ、エヴァ、怪我はないか?」

「大丈夫です。御主人様、見事な一撃でした」

「っ?!ダーリン! 伏せるのじゃ!」


 エヴァの言葉に反射的に伏せると、頭の上を巨大な風の刃が通り過ぎる。あっぶね。


『風魔法【上級】を記憶しました』



『ぐるるるるあああ』


 耳をつんざくような咆哮が辺り一帯に響き渡る。


『グリフォン語』を記憶しました。……グリフォン語ってあるんだな。

『一定数に達しました。言語スキルを統合して【言語理解】を記憶します」


【言語理解】人、魔物、動物など、あらゆる言語を理解し、話すことができるスキル


 武器スキルに続いて、言語スキルも進化した。これは便利そうだな。



「ごめんなさい、貴方様、コイツ、急に強くなったから、防ぎきれませんでした」 


 風の刃を止められなかったことをシルフィが詫びる。


 むむ、どうやらキングの強化スキルは、死んだ後すぐに消える訳じゃないらしい……なるほど厄介な。


「気にするな。こちらは大丈夫だ、シルフィ、時間稼ぎありがとう」

「……貴方様、ボクも頑張ったんだけど?」


 サラがわかりやすくふくれてみせる。


「サラもありがとう。おかげで、キングを倒すことが出来たよ」

「うふふ、それほどでもあるかな。でも、コイツ本当に強いよ。気を付けてね、貴方様」


 どれどれ、鑑定の結果はと、


挿絵(By みてみん)

(イラスト:ウバ クロネさま)


【ランク】 S

【種 族】 グリフォン

【年 齢】 25

【状 態】 強化


【レベル】 63

【体 力】 15985

【魔 力】 11482

【攻撃力】 15947

【耐久力】 15965

【素早さ】 15466

【知 力】 12930


【スキル】 飛翔 風魔法【上級】威圧 加速 毒爪 剛腕 魔法耐性 物理耐性 


 ……ヤバい、本気で強い。しかもデカイ、5メートルぐらいあるか? シルフィたちのサポートがなければ勝てそうにない。


『飛翔を記憶しました』


『なあ、グリフォン! 降参する気はないか? 俺の騎獣に、あまり手荒なことはしたくない』 

『降参だと? 矮小な人間風情が、面白いことを言う。寝言は寝て言え!』


 駄目元で交渉してみたがやはり無理か。


 グリフォンの周囲には、常に凄まじい風の暴力が渦巻き近づくことすら困難だ。


 しかし、相手が風の精霊使いシルフィだったのは不運だったな!!



「私の前では、風魔法など児戯に等しい。シルフィード!」


 風の精霊シルフィードが、その尋常ならざる美しい姿を顕現すると、口を尖らせてシルフィに文句をつける。


『……児戯じゃないよ、シルフィ。存在すら赦さない。無に等しい……だよ』 


 シルフィードが軽く手を凪ぐと、風の精霊の力で、グリフォンの風魔法は霧散する。


『おのれ、精霊使いか。だが、風魔法など使う必要も無い』


 グリフォンが、一瞬消えたと思った瞬間、俺は壁に激突し、その焼けるような痛みと衝撃で、意識が一瞬遠くなる。どうやら爪で吹き飛ばされ、そのまま壁に激突したようだ。


『加速を記憶しました』

『剛腕を記憶しました』

『毒爪を記憶しました』


「貴方様しっかり! くっ、姉様、クロエ、エヴァ、お願いグリフォンの動きを少しの間だけ止めて!」


「「「了解!」」」


 サラが駆け寄ってきて、俺にキスをしてくれる。身体が、燃えるように熱くなり、傷が急速に塞がっていく。これは、サラのスキルか?



【情熱の癒やし】サラの持つユニークスキル。傷を癒やし、状態異常から回復する。別にキスする必要はない。



「うっ……ありがとうサラ、今のはちょっとヤバかったかも……」


 万全とはいかないが、身体は動くようになっている。毒も癒やすとは凄いな。


「さすが貴方様だね、あれで死なないとか……まったくどうなってるの?」


 サラが、泣きながら笑う。


 心配させちまってごめんな。


 今度はこっちの番だ。今ので殺せなかった時点で、お前の負けは確定しているんだよ。


 

 変化スキルでグリフォンに接近する。


『まだ生きていたのか? その羽根……キサマ吸血鬼だったのか!』


 グリフォンが、再び姿を消すが、今度は間一髪で躱す。しかし――

 

『よく躱したな。だがその羽根ではもう飛べまい!』


 かわしたはずだったんだけど中々やる。


 羽根を引きちぎられ、落下する俺にグリフォンが迫る。空中では、もはや躱すことは出来ない。


『ハハハッ死ね!』 

「…………なんてね」


 グリフォンの必殺の一撃が空を切る。


『な、なにっ?!』

 

 飛翔と加速スキルでグリフォンの背後にまわりこみ、身体強化、剛力、剛腕で強化したデスサイズの一撃を振り下ろす。


『グワアアアア!?』


 身体を半ば切断され、明らかに致命傷だが、その瞳から殺意が消えることはない。


 さすがグリフォン、まだ……生きているのか。


「フレアバースト!」


 カタリナさんの得意魔法をぶち込む。弱点属性の上級魔法が直撃したのだ、さすがにひとたまりもないだろう。


『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』 

『レベルが上がりました』


 おおっ! レベルスゲェ上がった。


 地上に降りると、みんなが心配そうに駆け寄ってくる。


「御主人様! 無茶しないで下さい……」

「な、何やってるんですか! 心臓が止まるかと思いました……もう」

「妾は何も心配しておらんかったぞ」

「……1番慌ててたの誰だったかな?」

「ッ?! まあ……心配は……したぞ」



「みんな……心配かけて悪かったな。でも、勝てて良かったよ」


 みんなで無事を喜び合う。



「カケル!大丈夫か? ずいぶん派手にやられたから、死んだかと思って肝を冷やしたぞ」


「カケルくん……最後、私の魔法使ってくれたのね。わざわざ見せた甲斐があったわ」 


 そう言ってウインクするカタリナさん。そうか……それでわざわざゴブリンに使ってくれてたのか。セシリアさんもきっと……いや、あの人の場合は、単なるストレス解消だな。



「カケル、ほら、コイツがレアゴブリンだ」


 セシリアさんが、捕まえたレアゴブリンの首根っこを掴んで差し出す。


 黒光りする皮ふに、頭部に生えた触覚のような角。……うわっ、キモッ! レアゴブリンって云うより、ゴキブリンだろ?! これ……


「なんだか可愛いですね、御主人様?」


 く、クロエさん?!


「うむ、確かにこのてかり具合がなんともいえんな」

「貴方様、これ飼っちゃだめですか?」


 ……異世界の価値観がわからん。だが――


『レアゴブリン、お前の魔物使役能力を見せてくれれば、命を助けることも検討しよう』

『本当かゴキ? 俺の力みせてやるゴキ! いでよワーム!』


 ……お前、絶対ゴキブリだろ……


『魔物使役を記憶しました』

『いや、もういいや。死ね!』

『な、なんでゴキ! 助けてくれるっていったゴキ!』

『ゴキゴキうるせえ! 検討した結果、却下だ』


 ……結局、みんなに泣きながらお願いされて、殺せなかったよ。


 まあ、貴重な魔物みたいだから、アルフレイド様あたりに有効活用してもらおう。決して押し付けるわけじゃないからな。

  

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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] >降参だと? 矮小な人間風情が、面白いことを言う。寝言は寝て言え! いやその前に、俺の騎獣と、最初から決めつけられた件について怒るべきじゃないかな?(;'∀') 言われた側からすると何様って…
[気になる点] 異世界に地球の虫はいないんですか? [一言] レアゴブリンキモすぎるw
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